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しつこいなぁ。
しおりを挟む「・・言えばやめたわけ?」
「あぁ」
反論がくるかと思えば静かに認めた。
それには少し驚いたが
「うそだ、どうせ僕をからかったゲームにしか過ぎないくせに」
肝心の”ゲーム”という言葉への否定はまだ流されたままでモヤモヤとした気持ちをぶつけるように言えば
「そういう涼こそどうなんだ」
今にも射抜きそうなほどの怒りを宿した瞳が僕を真っ直ぐに見つめ返してきた。
『なんで君が怒ってるんだよ!ってか、なんの確信があってそんな目で問い詰めるように言えるんだ』
恋人として裏切るような行為をしたのは彼であって、何故、僕が別れてまでも問い詰められる意味がわからない。
「なにがですか?」
『というか、何もしてないのに僕が問い詰められてるようなこの空気なんなの?』
身に覚えのないことをどう話せというのだろう。
「あの男と本当はデキてるんじゃないのか?」
眉間にシワをよせながら疑い深い表情で問いかけてくる深藤の言葉に誰を指してるのかわからず
「あの男?」
僕も眉間にシワを寄せ考える羽目になった。
「・・・いつも一緒にいるだろ」
少しの間の後、本当に分からないのかという感じで渋々名を言いたくないのかボソリと返答が返ってきた。
「あぁ!坂東のこと…え?なんでそうなるんですか」
誰を指したか判明してスッキリしたのは一瞬
「・・・お前の本命なんだろ」
「・・・」
『こいつ何いってんの?』と一瞬思考が停止しかけた。
「何も言わないってことは、そうなのか」
元々そこまで高くも無い深藤の声が1オクターブ下がったことで、直ぐに否定すべきだったとハッとして口を開く
「いや、違う坂ひ「嘘だ!!」」
深藤の力強い否定にビクッと威圧に呑まれそうになる
『・・ちょっと待って!なんでさっきと状況が入れ替わってんの?ねぇ、ちょっとそれっておかしくない?まるでさ、浮気していたのは僕だったみたく言ってきてるけど、そもそも、君の不誠実な態度で僕たち別れてるよね?』
ここで怯めば、『僕が悪いわけじゃないのになんの問題解決にもならない。』と握りこぶしに強く力を込めて、なんで決めつけて疑われなきゃいけないのかと怒りよりも悲しみがじわじわと増してきて泣きそうになりながら、今ここで涙を見せればいい恥晒しだ。と自分に言い聞かせて、キッと深藤の目を睨み返すように見つめる
「ちょっと待って、なんで僕が責められてるわけ?」
ここで深藤の勝手な思い込みに呑み込まれるわけにはいかない。
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