9 / 12
しつこいなぁ。
しおりを挟む「・・言えばやめたわけ?」
「あぁ」
反論がくるかと思えば静かに認めた。
それには少し驚いたが
「うそだ、どうせ僕をからかったゲームにしか過ぎないくせに」
肝心の”ゲーム”という言葉への否定はまだ流されたままでモヤモヤとした気持ちをぶつけるように言えば
「そういう涼こそどうなんだ」
今にも射抜きそうなほどの怒りを宿した瞳が僕を真っ直ぐに見つめ返してきた。
『なんで君が怒ってるんだよ!ってか、なんの確信があってそんな目で問い詰めるように言えるんだ』
恋人として裏切るような行為をしたのは彼であって、何故、僕が別れてまでも問い詰められる意味がわからない。
「なにがですか?」
『というか、何もしてないのに僕が問い詰められてるようなこの空気なんなの?』
身に覚えのないことをどう話せというのだろう。
「あの男と本当はデキてるんじゃないのか?」
眉間にシワをよせながら疑い深い表情で問いかけてくる深藤の言葉に誰を指してるのかわからず
「あの男?」
僕も眉間にシワを寄せ考える羽目になった。
「・・・いつも一緒にいるだろ」
少しの間の後、本当に分からないのかという感じで渋々名を言いたくないのかボソリと返答が返ってきた。
「あぁ!坂東のこと…え?なんでそうなるんですか」
誰を指したか判明してスッキリしたのは一瞬
「・・・お前の本命なんだろ」
「・・・」
『こいつ何いってんの?』と一瞬思考が停止しかけた。
「何も言わないってことは、そうなのか」
元々そこまで高くも無い深藤の声が1オクターブ下がったことで、直ぐに否定すべきだったとハッとして口を開く
「いや、違う坂ひ「嘘だ!!」」
深藤の力強い否定にビクッと威圧に呑まれそうになる
『・・ちょっと待って!なんでさっきと状況が入れ替わってんの?ねぇ、ちょっとそれっておかしくない?まるでさ、浮気していたのは僕だったみたく言ってきてるけど、そもそも、君の不誠実な態度で僕たち別れてるよね?』
ここで怯めば、『僕が悪いわけじゃないのになんの問題解決にもならない。』と握りこぶしに強く力を込めて、なんで決めつけて疑われなきゃいけないのかと怒りよりも悲しみがじわじわと増してきて泣きそうになりながら、今ここで涙を見せればいい恥晒しだ。と自分に言い聞かせて、キッと深藤の目を睨み返すように見つめる
「ちょっと待って、なんで僕が責められてるわけ?」
ここで深藤の勝手な思い込みに呑み込まれるわけにはいかない。
10
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説

火傷の跡と見えない孤独
リコ井
BL
顔に火傷の跡があるユナは人目を避けて、山奥でひとり暮らしていた。ある日、崖下で遭難者のヤナギを見つける。ヤナギは怪我のショックで一時的に目が見なくなっていた。ユナはヤナギを献身的に看病するが、二人の距離が近づくにつれ、もしヤナギが目が見えるようになり顔の火傷の跡を忌み嫌われたらどうしようとユナは怯えていた。


そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

ホストの彼氏ってどうなんですかね?
はな
BL
南美晴人には彼氏がいる。彼は『人気No.1ホステス ハジメ』である。
迎えに行った時に見たのは店から出てきて愛想良く女の子に笑いかけているのは俺の彼氏だったーーー
攻め 浅見肇
受け 南美晴人
ホストクラブについて間違っているところもあるかもしれないので、指摘してもらえたらありがたいです。


みどりとあおとあお
うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。
ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。
モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。
そんな碧の物語です。
短編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる