視界を埋めるのは貴方だけ

奏 -sou-

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「何を言ってるの?」

「幼いながらも一目惚れをした運命の女性にそっけない態度をされた挙句、当時から女性たちには年齢問わず関心を抱かれることが多くて口以上に目が語るって言葉もあるように、それなりに好意も敵意も感じれていた私は、ジェシカの態度を見て客観的にどうやら苦手のように感じていると見れた」

そこまでわかっていて何故運命だというの?

私の髪を梳くように撫でながら

「ジェシカの瞳のその奥に私を映し出したい。私という男を忘れないように印象づけたい」

毛先を掬い、自分の指に絡めてキスを落とす

「どうしたらできるのか考えても、どうすることもできないけど毎年開かれているこのパーティできっと会えるから少しずつ交流を深めて私を知ってもらおう、2度目は完璧な紳士としての態度でちゃんとした挨拶をしてもらえるように頑張ろう。そう思って、毎年ジェシカが参加するのをずっと待っていたのにあの出会いが本当は幻だったのかと思えるほど何年経ってもパーティーには来ない。」

切なそうに苦しそうに
その綺麗な顔を歪めて伝えてくる

「このまま何もしないまま、婚約の話も2、3年前から出だしていたこともあり諦めてジェシカが嫌だという愛も何もない政略結婚をするか悩んだけど、やはり私は貴女を諦めきれなくてもう一度会いたいとお義父さんにお願いをしました。
もちろん、娘なんていないと言われてしまうとどうしようかという不安をぬぐいきれず」

頬を優しく撫でながら

「ちゃんと存在した。嬉しかった、あの時からずっと会いたくて仕方なかったジェシカに会える日が来るなんて、あの日の挽回ができてちゃんと挨拶を交わしてもらえたのなら運命で愛することを許されたと思おう、もしまた挨拶をしてもらえない時は潔くこの気持ちに終止符を打とう、と.. 考えたくもない」

ハァ、と辛そうに息を吐いて体の向きを向かい合わせに座り直させられたかと思うと真正面から抱きしめ直してくる。

『是非ともその独り善がりの恋愛に終止符を打ってもらってよかったのに』

口に出すと何が起こるかわからず心の中で毒づく

「流石に待ち望んだあの日、君を一目視界に入れた時の私の胸の高鳴りや呼吸の仕方を忘れるほどに一瞬時が止まったかと思ったんだ、天使が再び目の前に降りてきたと。
やっぱり実在したんだって、その時に赤い糸でジェシカと繋がってるって理解した」

この男はクスリでもやっているのかしら?

「ふふふっ、安心してクスリはしていないよ。握手を初めてした時にそのまま見えない羽を全て切り落として私だけの存在する部屋に閉じ込めようかと思ったけど、きっとジェシカは望んでくれないって思ってね」

怖い、この男本当にこわい

やっぱり、あの当時から頭の中で鳴っていたサイレンは当たっていたのね

「えぇ、望まないわ。見えない羽など私にはないもの、きっと誰かと間違えているのよ」 
「私が間違うはずがない。ずっと君だけを見てきたんだ、政略結婚ではなく恋愛がしたいって訴えてくれてたね」

貴方とではない誰かとの恋愛をしたいとね

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