視界を埋めるのは貴方だけ

奏 -sou-

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これが最後だ!と絶賛願掛け中

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二人が部屋から離れて沈黙が訪れる。

とても、とても気まずく感じる沈黙

この際だから、大切なことを伝えておかないといけないと思い下に向いていた顔を上にあげてルイスさんの顔を見る。

「ジェシカさん、初めて出会った時のこと覚えていますか?」 

また、私から話すきっかけを逃したわ。

「この前の「いいえ、この前は2度目の初めましてをしましたが本当のはじめましては、もう10年も前です。」」

まさか、彼も覚えていたのね。

「覚えていたんですね」
「えぇ、忘れるわけがありません。私にとって貴女は運命の女性なのですから」

真剣な表情のルイスの言葉に目を見開く

「運命...?」
「ジェシカさんは運命を信じませんか?」

政略結婚でしかないこの場で“運命”なんて奇跡的な言葉が聞けるとは思わなかったことで一瞬驚いてしまったけれど、きっとうまくことを運ぶように私の知らないところで言われているに違いないんだわ。

「まだ出会ってはいませんが運命はあると私も思います。」

 「私に運命を感じませんか?」


「..申し訳ありません、」

彼の外見は、女を魅了するような甘いマスクを持っており、右目じりに泣きホクロが魅力を引き立てており身長も190センチ近くあるようで、体型も細すぎず筋肉もしっかりありそうで服の上からだが美丈 夫のように思う。

俺様を気取っているわけでもなく感じよく笑顔も爽やかで、紳士的な対応も様になっておりその上家柄も付いてくるとなれば、正直男性との免疫が無いに近いような世間ん知らずな私と見合いなどせずしとも事足りている筈だし、運命なんか感じる前に寒気で鳥肌になるくらいだもの。

きっと表向きいい人なんでしょうけど私の中の警報がなっている以上信用できないし、断る方向に話を進めないと..


「それは残念です。でも、これから私のことを知っていただければ私以外にあいてはいないって確信につながりますね」

ニコッと微笑んで言うけど、
どこからそんな自信が湧くのかしら? 

また今日の本題であるお断りの
タイミングを失うわけにはいかないと

「あの、申し訳ございませんが今回のお見合いの件お断りをさせていただきたいです。」

ドレスにシワができても今は気にしてられない。

言わなきゃ流されると思い、話の振りタイミングが間違っているのは理解しているけど精一杯の勇気を振り絞っていい辛くて仕方なかった言葉を口にする。


「..何か気に入らないようなことしましたか?」 

「いえ、紳士的振る舞いに申し分ありません。私の方が粗相をしているのでビストンさんに呆れられてもおかしく無いかと思います。」 

「粗相だなんて..ジェシカさんが女性しかいない環境で育ってきたことは存じています。そんな状況では仕方のないことも多いと理解しています。...理由を教えてはいただけませんか?」

ルイスさんの真剣な瞳にただただ断りを入れても納得していただけないどころか失礼極まりないと、しっかり私の気持ちを伝えて納得してもらおうと小さく一呼吸

「..父と母が政略結婚だったんです、この世界ではそれが当たり前だと理解しています。ですが、 私は例え貧しくなろうとも一緒に楽しいことも辛いことも共有し守り守られ共存できる関係を築ける男性ヒトと恋愛をした上で結婚したいんです。
..世間知らずのお嬢さんだと鼻で笑われるかもしれませんが、愛の無い会社のためだけの温かみもない上辺だけの共存は私には苦痛でしかありません。
ゆくゆくは子供も欲しいし、笑って過ごしたいので。今回の件、ビストンさんに何の非もありません。
私の勝手なわがままに父を巻き沿いにしている状況です」

ルイスさんの目を見て気持ちを伝える。

「..ジェシカさんのお気持ちはわかりました、ジェシカさんのお父さんは何とおっしゃっていますか?」

ルイスさんも私から目をそらさずに問う

「父は..お父様は、理解してくださっています。もちろん話した時に絶縁されても仕方ないと思い話をしています。」

「理解あるお父さんですね。」

「はい、政略結婚といえど母や私を大切にしてくれます。ですが、そんな方に親が決めた結婚で出 会える奇跡なんて1%にも満たないように感じます。でも、父みたいな方に出会えたら決意が揺らぐかもしれませんね..」

少し寂しい気持ちになり目線が下がる。

「ジェシカさん、私との奇跡を信じませんか?」

首をゆっくり横に振り、

「本当にごめんなさい。ビストンさんにはきっと他に運命の女性がいると思います、その方と幸せになってください。本日は貴重なお時間をありがとうございました。」

伝えることは伝えて、

そのあとはなぜだかここまで食い下がることもなく私と婚約をしようとしてくれたルイスさんには申し訳ない気持ちでいっぱいになったけれど仕方のないことだと自分に言い聞かせる。


これで、いつまで伸ばせるかわからない婚期が手に入った。

・・何でこんなことに私はこだわってるんだろう。

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