視界を埋めるのは貴方だけ

奏 -sou-

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メイドや執事はどこに行ったの

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ガチャッ

「ルイス、連れてきたぞ」
「...父さん、何処に行っていたかと思えば」

ドアを開けて入れば、ルイスさんが困ったような表情でビストンさんを見ていた

その流れで、私とも目が合い少し驚いた表情を見せて立ち上がる

「ルイス、ファントムさんたちを迎えに行ってたんじゃ」

「そうでしたか、言っていただければ僕も一緒に出迎えましたのに残念です」

とても残念そうな表情でこちらをみてくる

「いやいや、ビストンさんに出迎えていただけただけでも一大事だというほどに驚き申し訳ないと思っているのに、息子のルイス君にまでしていただいたら今後合わせる顔がありませんよ」

ははは、と笑いながら冗談ぽく断りを入れている父の横顔を見て父のいる立ち位置などそこまで気にしたことも理解をする機会にも無関心だった私にでも薄々わかるぐらいにやはり格式が上、それも屋敷の大きさや身なりや振りからして相当上の方とのお見合いだと実感する。

『こんなに気さくに話してくれているけど、本当はもっとかしこまらなきゃいけないんじゃないのかしら?』

「そんな気にする仲ではないじゃろう。それよりいつまでも突っ立っておらずに座らんかのぉ」

「えぇ、そうですね。」

そう言ってルイスさんがわざわざ私たちが座る方の椅子の後ろまでくる

「ジェシカさん、さあ」

促されて、ルイスさんに引いてもらった椅子にゆっくり腰をかければそのまま前に椅子を動かしてくれたけど

『これって執事やメイドさんが本来ならしてくれることよね?』

「ありがとうございます」

小さな声になってしまったけどお礼はしっかりルイスさんの目を見て伝える

少し驚いた表情の後、ニコッと笑みを見せて先ほど座っていた席へと戻っていった。

簡単な自己紹介を父がしてくれて、
形ばかりの堅苦しい挨拶も程々に終わり

話が盛り上がるわけでもなく、そろそろおいとまできるタイミングかと父に目で合図するが全くこちらを見ない父にもどかしくなり、こうなったら仕方ないと

「h..「ジェシカさん」」 

ルイスさんの声に遮られ思わず驚いた表情で見てしまう。

「良ければ2人でもう少しお喋りしませんか?」

 「え「おお!それがいい、気がきかんかったのぉ そしたらワシらはお邪魔のようだからおいとま しようかの」」

親子して私の言葉を遮るのね。

「ジェシカ、私たちは仕事の話を少ししているから大広場の方に顔を見せておくれ」
「えぇ...」


『本当に行ってしまうの?』と訴えるように父を見ればウインクをしてさっさとビストンさんと席を立っていた。




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