視界を埋めるのは貴方だけ

奏 -sou-

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悪夢フラグは自分の手で折る

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翌日ーーーー

トントン

ノックをして相手の返事を待ち
返答が返ってきたので書斎のドアを開く

「お父様、何か御用?」

呼び出した張本人に用件を問えば

「あぁ、ジェシカ・・・」

目があちこちに泳ぎながらも言いずらそうにしている父になんだか嫌な予感がした。

 「お前も結婚してもいい歳になった、本来ならこの歳には既に婚約相手がいて当たり前なんだが・・」

「何がおっしゃりたいの、お父様」

昨日の今日で

「ずっと女子学園を付属で上がらせてきて男に免疫がないお前に無理維持はと思っていたんだが・・やはりそういうことを断れる歳でないことを知って欲しい。」

悪夢が続くなんて

「お前を嫁に欲しいと言ってくれている(男性ヒト)がいるんだ。」

「..よ...嫌よ、お父様!!」

父と母が政略結婚だったことを知っていた私は、恋をしてちゃんとその人を知って結婚をしたいと思っていた。

今まで自分の意思なんて年に1度のパーティの参加を断ること以外してこなかった

それ以外は、両親の望むレールに従って歩いてきたつもりだったけど、今回のことは大喧嘩になろうとも縁を切られる流れになろうとも意思を貫き通すつもりで心を決める。

「ジェシカ・・」 

「取り乱してしまってすみません。でも、私は恋をしてそのお方を知って結婚をしたいと望んでいます。申し訳ございませんがお断りしていただきたいです。どうしても無理だというのであれば、私もこの件だけは譲ることができませんので縁を切っていただいても構いません」

目を見据えて父に自分の意思をここまでしっかり伝えたのはきっと初めてのことではないかと思う。

正直、体は硬直気味で力が入り手は少し震えている。

「ジェシカ…そこまで気持ちがあるのなら、先方には断りを入れておくよ」

少し驚きを含んだ表情の後、苦い笑みを見せるも理解をしてくれた父の言葉に溢れ出しそうな涙をこらえて一礼して部屋を出る。

溢れ出した涙を止めることなく、父の期待に応えて上げれないもどかしさと自分を否定されるかもしれないと思っていた自分の気持ちを認めてくれたことの嬉しさに酔いながら部屋に戻る。

今まで9割女性しかいない学校に通っていてどうやって恋愛をするのかと悩んでいる部分はある。


出会うにしたって自然に出会うことが難しいし、学校では女性として奥さんになるためにという作法がメインで習ってきてるからその点は嫁ぐのに問題がないとしても、サブ学習で他国の言葉をかじり程度に習いはしているもののもっと男社会に出れた時に備えておかなくてはいけないようなことが何一つ身につけていないことも自覚している。


今日の話し合いは将来が不安だと感じる中で一つでも前に進めたのかな。
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