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最終章
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「全ての準備が整いました。」
「ありがとう」
「ティアラですが、指輪の交換と同時に国王陛下より渡されます。今着用していますティアラは仮の品物となっていますので、その際交換して頂く形でお願いします。」
ユーグス陛下の目がないのだからそこまで気にしなくてもいいんじゃないのかしら?と思うほど視線を合わしてくれず業務的な発言しか言ってもらえず少し寂しい気持ちになる。
なんだか、サランが恋しくなる。
「それでは国王陛下がお待ちになっております。行きましょう」
「えぇ」
挙式の場所まで、何処に隠れていたの?と思うほどの護衛やメイド達がずらりと道にそって一列に並んでいる。
私が通る少し前から腰を曲げて無言の挨拶をされる。
業務的な雰囲気に祖国の情緒溢れる人々の接しが懐かしく恋しさを倍増させる。
ユーグス陛下が既にレッドカーペットの向こうで正装をして立っていた。
歓迎の鐘は鳴り響き、耳障りでは無い程度に演奏家達の音楽が広い教会の様な建物の中で響き渡る。
出入口の線を越えてから、一人でユーグス陛下の元に行けと言わんばかりにメイド達の足が止まる。
ウエディングドレスの布を先程までメイド達が汚れないようにと持っていてくれた事もあり重さに耐えれたが、誰の手も無くこの赤いカーペットの上を歩くことに不安を感じる。
メイド達の方に振り向きたくとも頭が重くて断念して重さと虚しさで泣きそうになりながら1歩、1歩前に進む。
そんな私を色んな目が見ていた。
やっとユーグス陛下の近くまでたどり着いた私に手を差し出して微笑む。
「サフィ、よく頑張ったな」
私にだけ聞こえる声で囁いて腰を抱き寄せ、よたっている私を支えながら主祭壇へと進む。
「それでは今から誓いの儀を行います。」
私はユーグス陛下に片手を繋がれたまま向き合って、神父が目の前の分厚い本に目を通しながら淡々と誓い書を読むのを聞いている。
互いを思いやり幸せになる為の誓いのはずが、私には悪魔との契約を結ぶような呪文を唱えているようにしか聞こえない。
「サファリーア・デンは夫となるユーグス・リヴォルノと共に生涯今日より良い時も悪い時も病める時も健やかなる時も愛し慈しみ、そして死が二人を分かつまで貞操を守ることをここに誓いますか」
神父の問いかけとは言えない問に、涙腺の糸が切れたかのようにポロポロと大粒の涙が頬を伝う。
すぐにでもイエスと答えなければいけないのに、声がでない。
そんな私をみてユーグス陛下は
「サフィ、大丈夫だ。ゆっくり息を吸いてはけ」
そう言いながら労るような優しい目で見つめてくる
きっと何か勘違いしてる。
「緊張されているのね」
「感極まって泣いていらっしゃるのよね」
「余程嬉しいんじゃないかしら」
ヒソヒソと所かしこから聞こえてくる声
聴こえてくる声のように、気持ちがそうだったらどれだけ良かったことか
ユーグス陛下との結婚を認めないと
この式を邪魔してくれる人はいないの?
貴女にはユーグス陛下とは釣り合わないと、式を壊してくれるようなユーグス陛下を愛してやまない女性は来ないの?
此処で”いいえ”と言えなたなら、どれ程スッキリするのかしら
優しくこぼれ落ちる涙を神父から渡されたハンカチで拭いてくれるユーグス陛下の行動に周りの貴婦人達から「なんて素敵なの」などと「なんだか、泣けて来ちゃうわ」なんて言葉も聞こえてきて、意識を失ってこの結婚式を無かった事にしたくなる。
意識を失って欲しい時に限ってハッキリとした意識なうえに神父からのこれ以上言葉を押し留めて置くことは出来ない空気が人一倍漂っているように感じ、震える声を振り絞って
「…は…い…」
消え入りそうな声で返信を返した。
「ありがとう」
「ティアラですが、指輪の交換と同時に国王陛下より渡されます。今着用していますティアラは仮の品物となっていますので、その際交換して頂く形でお願いします。」
ユーグス陛下の目がないのだからそこまで気にしなくてもいいんじゃないのかしら?と思うほど視線を合わしてくれず業務的な発言しか言ってもらえず少し寂しい気持ちになる。
なんだか、サランが恋しくなる。
「それでは国王陛下がお待ちになっております。行きましょう」
「えぇ」
挙式の場所まで、何処に隠れていたの?と思うほどの護衛やメイド達がずらりと道にそって一列に並んでいる。
私が通る少し前から腰を曲げて無言の挨拶をされる。
業務的な雰囲気に祖国の情緒溢れる人々の接しが懐かしく恋しさを倍増させる。
ユーグス陛下が既にレッドカーペットの向こうで正装をして立っていた。
歓迎の鐘は鳴り響き、耳障りでは無い程度に演奏家達の音楽が広い教会の様な建物の中で響き渡る。
出入口の線を越えてから、一人でユーグス陛下の元に行けと言わんばかりにメイド達の足が止まる。
ウエディングドレスの布を先程までメイド達が汚れないようにと持っていてくれた事もあり重さに耐えれたが、誰の手も無くこの赤いカーペットの上を歩くことに不安を感じる。
メイド達の方に振り向きたくとも頭が重くて断念して重さと虚しさで泣きそうになりながら1歩、1歩前に進む。
そんな私を色んな目が見ていた。
やっとユーグス陛下の近くまでたどり着いた私に手を差し出して微笑む。
「サフィ、よく頑張ったな」
私にだけ聞こえる声で囁いて腰を抱き寄せ、よたっている私を支えながら主祭壇へと進む。
「それでは今から誓いの儀を行います。」
私はユーグス陛下に片手を繋がれたまま向き合って、神父が目の前の分厚い本に目を通しながら淡々と誓い書を読むのを聞いている。
互いを思いやり幸せになる為の誓いのはずが、私には悪魔との契約を結ぶような呪文を唱えているようにしか聞こえない。
「サファリーア・デンは夫となるユーグス・リヴォルノと共に生涯今日より良い時も悪い時も病める時も健やかなる時も愛し慈しみ、そして死が二人を分かつまで貞操を守ることをここに誓いますか」
神父の問いかけとは言えない問に、涙腺の糸が切れたかのようにポロポロと大粒の涙が頬を伝う。
すぐにでもイエスと答えなければいけないのに、声がでない。
そんな私をみてユーグス陛下は
「サフィ、大丈夫だ。ゆっくり息を吸いてはけ」
そう言いながら労るような優しい目で見つめてくる
きっと何か勘違いしてる。
「緊張されているのね」
「感極まって泣いていらっしゃるのよね」
「余程嬉しいんじゃないかしら」
ヒソヒソと所かしこから聞こえてくる声
聴こえてくる声のように、気持ちがそうだったらどれだけ良かったことか
ユーグス陛下との結婚を認めないと
この式を邪魔してくれる人はいないの?
貴女にはユーグス陛下とは釣り合わないと、式を壊してくれるようなユーグス陛下を愛してやまない女性は来ないの?
此処で”いいえ”と言えなたなら、どれ程スッキリするのかしら
優しくこぼれ落ちる涙を神父から渡されたハンカチで拭いてくれるユーグス陛下の行動に周りの貴婦人達から「なんて素敵なの」などと「なんだか、泣けて来ちゃうわ」なんて言葉も聞こえてきて、意識を失ってこの結婚式を無かった事にしたくなる。
意識を失って欲しい時に限ってハッキリとした意識なうえに神父からのこれ以上言葉を押し留めて置くことは出来ない空気が人一倍漂っているように感じ、震える声を振り絞って
「…は…い…」
消え入りそうな声で返信を返した。
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