56 / 58
最終章
13
しおりを挟む
.
.
ゴーン、ゴーンという鐘が鳴り響く
少し開いた窓から外の音が聴こえてくる。
「サフィ、起きろ」
眠たい目を擦り開ければ、騎士の顔がいっぱいに見える。
「おはよう」
そう言って両頬に軽くキスを落として微笑む
「…おはよう、騎士」
「姫はまだ夢の中か?もう準備する時間だ」
上半身を起こされてベッドの上に座った状態でハテ?と首を傾げて騎士を見ると
「…今日の夜まではガマンと己を言い聞かせているんだ、挑発するなサフィ、ガマンがきかなくなる。」
腰かけたまま私の頬に手を添えて、唇の端にキスを落とす騎士
何をするのよ!?と思ったところで昨日の記憶がフラッシュバックする。
騎士じゃない…ユーグス陛下だったわ!
なんてことなの、これが現実なのね…。
「さぁ、サフィ結婚式の準備をしよう」
そう言って横抱きをして寝室をでる。
「ユーグス陛下、まだ準備が出来ていませんわ!」
「気にするな、長官であるメイドに任せている」
食堂とはまた別の道を歩く
「朝食を共にできず、ゆっくりする間も無いが披露宴をさっさと終わらせる為だ。許せ」
昨日は今日を楽しみだといい、今日は早く終わらせる為だという…楽しみにしていたんじゃないの?
「昨日も言ったが、必要最低限の会話で頼む。」
本当に自分勝手な発言だわ、困ったものね。
「…えぇ」
「さぁ、着いた。」
ドアが自動で開けられる。
それに驚いていたらメイド二人がドアを開けてくれたようだった。
「お待ちしておりました、よろしくお願いします。」
頭を軽く下げて挨拶をしてくれるメイドの横をなんの反応も示せず通り、部屋の真ん中に合ったとても贅沢気回りないボディの椅子に体を下ろされる。
私の体重を支え包みこむような低反発性の座り心地に小さく感動を覚え思わず手で確かめてしまう。
「サフィ、その椅子が気に入ったのなら寝室に移動させておくから…今は俺の為に結婚式の衣装を見に纏いおめかしをする時間だ。」
頭を撫でながらまるで幼い子に言う様に言い聞かせてくる。
「俺は隣の部屋にいる、何かあれば直ぐに言え」
そう言い額にキスを落として、部屋と部屋の繋ぎ壁の左奥にある扉を開けて消えていった。
「早速ですがお着替えからお手伝いさせて頂きます。」
その声の近さにビクッとなる。
ユーグス陛下に向いていた顔を前に向ければ、音もなくなのか単に私が気づかなかっただけなのか分からないが、メイドが目の前に少し腰を屈めた状態で立っていた。
「えぇ、よろしくお願いします。」
そのあとは、無駄のない動きで淡々とウエディングドレスへと着替えさせられ化粧や髪までも全て整えてくれた。
.
ゴーン、ゴーンという鐘が鳴り響く
少し開いた窓から外の音が聴こえてくる。
「サフィ、起きろ」
眠たい目を擦り開ければ、騎士の顔がいっぱいに見える。
「おはよう」
そう言って両頬に軽くキスを落として微笑む
「…おはよう、騎士」
「姫はまだ夢の中か?もう準備する時間だ」
上半身を起こされてベッドの上に座った状態でハテ?と首を傾げて騎士を見ると
「…今日の夜まではガマンと己を言い聞かせているんだ、挑発するなサフィ、ガマンがきかなくなる。」
腰かけたまま私の頬に手を添えて、唇の端にキスを落とす騎士
何をするのよ!?と思ったところで昨日の記憶がフラッシュバックする。
騎士じゃない…ユーグス陛下だったわ!
なんてことなの、これが現実なのね…。
「さぁ、サフィ結婚式の準備をしよう」
そう言って横抱きをして寝室をでる。
「ユーグス陛下、まだ準備が出来ていませんわ!」
「気にするな、長官であるメイドに任せている」
食堂とはまた別の道を歩く
「朝食を共にできず、ゆっくりする間も無いが披露宴をさっさと終わらせる為だ。許せ」
昨日は今日を楽しみだといい、今日は早く終わらせる為だという…楽しみにしていたんじゃないの?
「昨日も言ったが、必要最低限の会話で頼む。」
本当に自分勝手な発言だわ、困ったものね。
「…えぇ」
「さぁ、着いた。」
ドアが自動で開けられる。
それに驚いていたらメイド二人がドアを開けてくれたようだった。
「お待ちしておりました、よろしくお願いします。」
頭を軽く下げて挨拶をしてくれるメイドの横をなんの反応も示せず通り、部屋の真ん中に合ったとても贅沢気回りないボディの椅子に体を下ろされる。
私の体重を支え包みこむような低反発性の座り心地に小さく感動を覚え思わず手で確かめてしまう。
「サフィ、その椅子が気に入ったのなら寝室に移動させておくから…今は俺の為に結婚式の衣装を見に纏いおめかしをする時間だ。」
頭を撫でながらまるで幼い子に言う様に言い聞かせてくる。
「俺は隣の部屋にいる、何かあれば直ぐに言え」
そう言い額にキスを落として、部屋と部屋の繋ぎ壁の左奥にある扉を開けて消えていった。
「早速ですがお着替えからお手伝いさせて頂きます。」
その声の近さにビクッとなる。
ユーグス陛下に向いていた顔を前に向ければ、音もなくなのか単に私が気づかなかっただけなのか分からないが、メイドが目の前に少し腰を屈めた状態で立っていた。
「えぇ、よろしくお願いします。」
そのあとは、無駄のない動きで淡々とウエディングドレスへと着替えさせられ化粧や髪までも全て整えてくれた。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる