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最終章
08
しおりを挟む「あぁ、もっと欲しい。お前からの愛ならいくらあっても足らないからな。…俺からの愛はまだまだ足らないだろう?」
足らないってどういうことよ!
貴方からの愛情表現は足りに、足りまくってるわ。もうお腹いっぱい通り越して吐きそうよ。
「私はもう満足よ。…目が覚めてお腹空いたわ、でもその前に御手洗に行きたいから手を離して頂戴。」
「少ししか注ぐことが出来てない愛情で満足されては困る。あぁ、分かった。」
楽しそうに笑いながら返事をした癖に手を離すどころか、持ち上げて私の手の甲にキスをしてくる。
「ユーグス陛下」
楽しいのは貴方だけよ。
「サフィ、そう怒るな。連れて行ってやろうか?」
「怒っていません。いいえ結構ですわ、場所を教えて頂戴。」
離れていた身体を急に引き寄せられ、お互いの距離はゼロになる。
私の顔はユーグス陛下の胸の前にある。
「サフィ、愛してる。幸せで堪らない。俺はお前がいなくなったら生きていけない…出入口ドアの近くに扉がある。そこだ」
「必ず帰ってこい」と額にチュッとキスを落として手を離して私を解放してくれた。
重みある告白をされたが、あの出入口まで行くのにモンスターでも出てくるのかしら。
「心配しなくても済めば戻ってきますわ。」
ゆっくり起き上がりベッドから降りて、ロウソクの灯火を頼りに言われた通りの場所目指して歩く。
昼間よりまだマシにはなっていたが、まだまだ足の力の入れ方が不安定で歩き方にバランスの悪さが出てしまう。
やっとたどり着いた時、ふと目的のドアの横の外の光が漏れているドアを横目で見る。
逃げる。という考えは無きにしも非ず。
だがタイミングをミスれば死しかないのも事実
気にしないようにして、教えて貰ったドアを開けて手探りでスイッチを探す。
カチッと言う音と共に電気がついたので、状況を確かめてお花摘みをすることにした。
済んで手を洗い、鏡で身なりを確認してガチャりと音を立てて、ドアの外に出れば不安気な表現で此方を見て突っ立ているユーグス陛下が数歩先にいた。
「…ユーグス陛下?」
「サフィ…」
その場から動かずに両手を広げて私を呼ぶ
この数分の間に何があったというの?
「サフィ、」
小さく、弱い声で呼ぶので私もだんだん不安になる。
「ユーグス陛下、どうなさったの?」
そう言いながら、ゆっくり歩くが数歩分の距離しか離れていないので直ぐにユーグス陛下の胸の中へたどり着いてしまった。
ぎゅっと抱きしめ首に鼻をあてがい、私の匂いを嗅ぐ。その時間がとても長く感じるが何も言わずされるがまま真っ暗な天井を見つめていた。
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