50 / 58
最終章
07
しおりを挟む
シルクの掛布をお互いの胴体部分にかけて、枕があるにも関わらず腕を差し出してくるユーグス陛下
「ユーグス陛下、枕がありますわ」
「あぁ、知っている。」
だからなんだ?頭を乗せろ。と目が言ってるわよ。
「サフィ、」
渋々と感じ取られないようゆっくりだが頭をユーグス陛下の腕に預ける。もちろんその分、顔の距離が縮まってしまったが仕方ない。
「俺の愛おしいサファリーア、いい夢をみろ。」
チュッと瞼の上にキスをして自由なもう片方の手で私の髪を梳きながら優しく撫でてくる。
何もかもに疲れを感じていた私にはユーグス陛下の充分な睡眠を誘う行動に、直ぐに意識を手放した。
.
.
どれだけ寝たのか分からないが目を覚まし、瞼を開ければロウソクの灯火が色んな所に置かれており、部屋が温かい色で灯されていた。
身体を起こそうとしたが、腰に乗っている手の重さで1人じゃないことを思い出す。
ふと横を見れば此方に向いて目を閉じているユーグス陛下の、整った顔がロウソクの灯火で見えた。
本当に眠っているのかしら?とロウソクの灯火では置いてる場所からの距離から限度もあり、顔を近づけて確認する。
『…まつ毛長いのね。鼻筋もしっかり通ってるし、肌も綺麗、ニキビすらないのね…凛々しい眉毛だこと。自分で整えてるのかしら?』こんなにまじまじとユーグス陛下の顔を見たのは初めてかも知れない。いつも私より先に起きているか、目を閉じているからと言ってこんな距離で顔を見ることなんて無かったもの。
「サフィ、キスはまだか?」
顔を近づけたまま、ボーッとしていたら寝てる筈のユーグス陛下の口から聞き間違えであって欲しい言葉が聴こえてきた気がする。
『えぇ、きっと気の所為ね。』
そう思うことにして、ぽすりと体をベッドに戻せばぱっちり澄んだ青色の瞳が此方を見ていた。
「サフィ、」
「おはよう、ユーグス陛下」
ベッドの中で、下半身を使って挨拶なんて出来ないので、笑顔を貼り付けて挨拶をする。
「サフィ、眠る王子に真実の愛を込めたキスをして目を覚ます物語を知っているか?」
知るわけないでしょ。
私が知っているお話はどれも男性の真実のキスでお姫様が目を覚ますということよ。
それはどこの国のお伽噺なのかしら、私が考えるに100%リヴォルノ王国産だと思うわ。
「残念ながら存じ上げませんわ。」
「なら調度良い機会だ、実践して学べるな」
ただ、キスをして欲しいだけでしょう。
「サフィ、真実の愛を込めて俺を起こしてくれ」
残念ね、一生起きれないんじゃないかしら。
私の片手を握り、目を閉じているユーグス陛下に『こんな事をしたがるような少年の様な心を持ち合わせていたのね。』と静かに見つめていてもいいのかも知れないけど、痺れを切らして襲われるなんてことが無きにしも非ず。
「ユーグス陛下、失礼しますわ」
そう言って、こめかみに触れるだけの軽いキスをすれば、ぱちりと瞼を開いたブルーの瞳と近距離で目が合う。
「…サフィ場所が違う。」
「いいえ、私の知っている物語ではこめかみになさっていましたわ。現に、ユーグス陛下お目覚めではございませんか。…私の愛が足らなかったと、おっしゃりたいの?」
少し寂し気な表情で下を見る。
「ユーグス陛下、枕がありますわ」
「あぁ、知っている。」
だからなんだ?頭を乗せろ。と目が言ってるわよ。
「サフィ、」
渋々と感じ取られないようゆっくりだが頭をユーグス陛下の腕に預ける。もちろんその分、顔の距離が縮まってしまったが仕方ない。
「俺の愛おしいサファリーア、いい夢をみろ。」
チュッと瞼の上にキスをして自由なもう片方の手で私の髪を梳きながら優しく撫でてくる。
何もかもに疲れを感じていた私にはユーグス陛下の充分な睡眠を誘う行動に、直ぐに意識を手放した。
.
.
どれだけ寝たのか分からないが目を覚まし、瞼を開ければロウソクの灯火が色んな所に置かれており、部屋が温かい色で灯されていた。
身体を起こそうとしたが、腰に乗っている手の重さで1人じゃないことを思い出す。
ふと横を見れば此方に向いて目を閉じているユーグス陛下の、整った顔がロウソクの灯火で見えた。
本当に眠っているのかしら?とロウソクの灯火では置いてる場所からの距離から限度もあり、顔を近づけて確認する。
『…まつ毛長いのね。鼻筋もしっかり通ってるし、肌も綺麗、ニキビすらないのね…凛々しい眉毛だこと。自分で整えてるのかしら?』こんなにまじまじとユーグス陛下の顔を見たのは初めてかも知れない。いつも私より先に起きているか、目を閉じているからと言ってこんな距離で顔を見ることなんて無かったもの。
「サフィ、キスはまだか?」
顔を近づけたまま、ボーッとしていたら寝てる筈のユーグス陛下の口から聞き間違えであって欲しい言葉が聴こえてきた気がする。
『えぇ、きっと気の所為ね。』
そう思うことにして、ぽすりと体をベッドに戻せばぱっちり澄んだ青色の瞳が此方を見ていた。
「サフィ、」
「おはよう、ユーグス陛下」
ベッドの中で、下半身を使って挨拶なんて出来ないので、笑顔を貼り付けて挨拶をする。
「サフィ、眠る王子に真実の愛を込めたキスをして目を覚ます物語を知っているか?」
知るわけないでしょ。
私が知っているお話はどれも男性の真実のキスでお姫様が目を覚ますということよ。
それはどこの国のお伽噺なのかしら、私が考えるに100%リヴォルノ王国産だと思うわ。
「残念ながら存じ上げませんわ。」
「なら調度良い機会だ、実践して学べるな」
ただ、キスをして欲しいだけでしょう。
「サフィ、真実の愛を込めて俺を起こしてくれ」
残念ね、一生起きれないんじゃないかしら。
私の片手を握り、目を閉じているユーグス陛下に『こんな事をしたがるような少年の様な心を持ち合わせていたのね。』と静かに見つめていてもいいのかも知れないけど、痺れを切らして襲われるなんてことが無きにしも非ず。
「ユーグス陛下、失礼しますわ」
そう言って、こめかみに触れるだけの軽いキスをすれば、ぱちりと瞼を開いたブルーの瞳と近距離で目が合う。
「…サフィ場所が違う。」
「いいえ、私の知っている物語ではこめかみになさっていましたわ。現に、ユーグス陛下お目覚めではございませんか。…私の愛が足らなかったと、おっしゃりたいの?」
少し寂し気な表情で下を見る。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。


親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる