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最終章
05
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「サフィ、泣くな」
目元に唇をあてがいチュッと涙を吸うように舐められて、ビックっと体が揺れる。
「サフィ大丈夫だ、お前を守れるのは俺だけだ。」
背中をさすり抱きしめられ、騎士の肩に顎を乗せる程に密着している状態で、これからのことを聞く覚悟をしなきゃと自分に言い聞かせる。
「騎士、改めユーグス陛下とお呼びさせて頂きたいの、いいかしら。」
「そうだな、騎士と呼ばれていたのも特別感があり好きだったが、ユーグスでいい。陛下は要らない」
呼び捨てなんて、出来るわけないじゃない!
「慣れるまで、ユーグス陛下と呼びたいの…それとも陛下とだけお呼びした方がいい?」
涙は止まったが潤んだままの瞳で騎士の瞳を見つめる。
「…あぁ、分かった。だが陛下とだけ言うのはダメだ。呼び捨てかどちらかだ。」
「ありがとうございます。」
「サフィ今後敬語を使ったら罰を与える。」
「…罰って」
「そうだな、俺の望む場所にサフィから口づけをしてもらう。どうだ?これではご褒美になってしまうか?」
安心して頂戴、充分私には罰よ。
楽しそうな声で私の頬にキスの雨を降らせる。
「あぁ、早く明日にならないか」
「…明日は何かあるの?」
問うた私に機嫌の良い目で口角を上げたまま
「俺とサフィの結婚式だ」
「…聞いてません、わ」
とんでもない爆弾発言を落としてくる。
「あぁ、今伝えたからな。案ずるな準備は9割済んでいる、あとはサフィがウェディングドレスを着て俺の元へ正式に嫁ぐ儀式が終了すれば、晴れてサファリーア王妃になる。」
「…まだ、心の準備が」
「俺はこの日が来るのを10年以上も待った、まだ待たせるのか?」
待たせた記憶なんてないわよ。
「…時間に有余があれば数日待つことは出来たんだがな、明日はこの国の繁栄を願う公爵達を既に招待しているから、サフィ…待ってやれないのが事実だ。」
口の横ギリギリにキスを落として
「あぁ…はやく、その小さくも赤く旬の果実のようなお前の唇に貪り尽くしたい。」
親指の腹で私の唇を撫でながら、欲を孕んだ目で見てくる。
「ユーグス陛下、ウェディングドレスは…」
「案ずるな、サフィに似合うのを数着選んでおいた。明日は俺がこの国の王である事を再度認識させ、王妃となるサフィの存在を周りに知らしめる機会と言えど、美しいお前のウェディングドレス姿を他の男も見るのかと思うと気が狂いそうだ。」
吸い込まれそうな奥深い闇色をした瞳で私を見てこないでと言いたい。
「私1人で着替えるのる?」
「最低限のメイドがつく。」
「そう…」
「大丈夫だ、メイドの中でも信頼を置ける者をつける。だが極力言葉を交わさないで欲しい。」
「なぜ?」
「サフィが、俺以外の奴らと会話をしていることをずっと我慢してきた。誰の目にも本当はこれ以上触れさせたくはない」
そっと両眉下にキスをし、額と額を合わせ
「どんなに信頼を置けるメイドであろうが、サフィと目を合わし、会話をし、触れるものなら…切り落としてやりたくて堪らなくなる。それを明日は我慢しなくてはならない日だ。喜ばしい事には我慢もつきものだということか…」
重なり合った額を離し軽くキスを落として髪を梳かすように撫でてくる。
正気の沙汰ではない発言に、これ以上何かを聞きたいと思えず
「メイドの件は分かりましたわ、ユーグス陛下、私からの話は以上です、わ」
「サフィ、ちょうど昼時だが食べに行くか?」
何処をみて昼時だと分かったのか私には分からないけれど、お腹はこれっぽっちも空いておらずどう伝えるか言葉を選ぶのに数秒の間ができた。
目元に唇をあてがいチュッと涙を吸うように舐められて、ビックっと体が揺れる。
「サフィ大丈夫だ、お前を守れるのは俺だけだ。」
背中をさすり抱きしめられ、騎士の肩に顎を乗せる程に密着している状態で、これからのことを聞く覚悟をしなきゃと自分に言い聞かせる。
「騎士、改めユーグス陛下とお呼びさせて頂きたいの、いいかしら。」
「そうだな、騎士と呼ばれていたのも特別感があり好きだったが、ユーグスでいい。陛下は要らない」
呼び捨てなんて、出来るわけないじゃない!
「慣れるまで、ユーグス陛下と呼びたいの…それとも陛下とだけお呼びした方がいい?」
涙は止まったが潤んだままの瞳で騎士の瞳を見つめる。
「…あぁ、分かった。だが陛下とだけ言うのはダメだ。呼び捨てかどちらかだ。」
「ありがとうございます。」
「サフィ今後敬語を使ったら罰を与える。」
「…罰って」
「そうだな、俺の望む場所にサフィから口づけをしてもらう。どうだ?これではご褒美になってしまうか?」
安心して頂戴、充分私には罰よ。
楽しそうな声で私の頬にキスの雨を降らせる。
「あぁ、早く明日にならないか」
「…明日は何かあるの?」
問うた私に機嫌の良い目で口角を上げたまま
「俺とサフィの結婚式だ」
「…聞いてません、わ」
とんでもない爆弾発言を落としてくる。
「あぁ、今伝えたからな。案ずるな準備は9割済んでいる、あとはサフィがウェディングドレスを着て俺の元へ正式に嫁ぐ儀式が終了すれば、晴れてサファリーア王妃になる。」
「…まだ、心の準備が」
「俺はこの日が来るのを10年以上も待った、まだ待たせるのか?」
待たせた記憶なんてないわよ。
「…時間に有余があれば数日待つことは出来たんだがな、明日はこの国の繁栄を願う公爵達を既に招待しているから、サフィ…待ってやれないのが事実だ。」
口の横ギリギリにキスを落として
「あぁ…はやく、その小さくも赤く旬の果実のようなお前の唇に貪り尽くしたい。」
親指の腹で私の唇を撫でながら、欲を孕んだ目で見てくる。
「ユーグス陛下、ウェディングドレスは…」
「案ずるな、サフィに似合うのを数着選んでおいた。明日は俺がこの国の王である事を再度認識させ、王妃となるサフィの存在を周りに知らしめる機会と言えど、美しいお前のウェディングドレス姿を他の男も見るのかと思うと気が狂いそうだ。」
吸い込まれそうな奥深い闇色をした瞳で私を見てこないでと言いたい。
「私1人で着替えるのる?」
「最低限のメイドがつく。」
「そう…」
「大丈夫だ、メイドの中でも信頼を置ける者をつける。だが極力言葉を交わさないで欲しい。」
「なぜ?」
「サフィが、俺以外の奴らと会話をしていることをずっと我慢してきた。誰の目にも本当はこれ以上触れさせたくはない」
そっと両眉下にキスをし、額と額を合わせ
「どんなに信頼を置けるメイドであろうが、サフィと目を合わし、会話をし、触れるものなら…切り落としてやりたくて堪らなくなる。それを明日は我慢しなくてはならない日だ。喜ばしい事には我慢もつきものだということか…」
重なり合った額を離し軽くキスを落として髪を梳かすように撫でてくる。
正気の沙汰ではない発言に、これ以上何かを聞きたいと思えず
「メイドの件は分かりましたわ、ユーグス陛下、私からの話は以上です、わ」
「サフィ、ちょうど昼時だが食べに行くか?」
何処をみて昼時だと分かったのか私には分からないけれど、お腹はこれっぽっちも空いておらずどう伝えるか言葉を選ぶのに数秒の間ができた。
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