42 / 58
第四章
08
しおりを挟む騎士に連れらた食堂までの道
ひたすら長く目的地まで遠い廊下
誰一人と合わずにいた。
そしてやっとついた食堂のドアを騎士が開けてくれた。メイドは本当にいないの?
食堂の中は何十人で食卓をするつもりなのかと思う程縦に細長いテーブルとクローゼット同様に凝っている木彫の椅子がバランスよく並べられており、この部屋の広さが私の国よりも数十倍あるように感じる。
一番端の中央には少しサイズの違う椅子が二つ並び、椅子の造りも他のよりも豪勢で金箔と赤いカシミアの生地で作り込まれていた。
二つ椅子が並んでるということは、王様と妃様の席になるのよね。どこに座ればいいのかしら?と席を見ていれば騎士が王の席に私を横抱きのまま座る。
自然と騎士の膝の上に座ることになり
「騎士、他の席に座るわ」
と、焦って退こうとすれば
「何を言っている?退く必要など無い。…今日ぐらい俺の膝の上にいてくれ。」
いつもの私なら、力を絞ってでも退くところだけれど力が思ったように入らない今、その言葉に抵抗することを止めた。
ただ、足は下ろさせてと騎士の片足にちょこんと座るかたちになり腰を抱かれる状態で落ち着いた。
「さぁ、食べよう。」
目の前にはフルーツの盛り合わせとスープとパンが並べられていた。
豪勢な部屋の造りに目が行き過ぎて、本来の目的である朝食が目に入っていなかっただなんて…私やっぱり疲れているのね。
「サフィ、何が食べたい?」
「…スープを飲みたいわ」
腰を抱いていない方の手で、ゆっくりスープを取ってくれた騎士の手から受け取ろうとしたら、スープ皿を両手で持っている私の手の上から腰に回していた片手で覆い被さるように下から持ってくる騎士
もう片手でスプーンを取り、一口目は自分で飲んだかと思えば、二口目からは熱を冷ましながら私の口へと運んでくれる。
久々にスープを飲んで、ちょうどいい温かさでもあり胃がほわっと温かくなるのを感じながらゆっくり飲み込む。
お腹空いたと感じていたはずなのに、数口目で満たされたように感じ騎士に「もういらない。」と伝える。
「…美味しくなかったか?」
「いいえ、美味しかったわ。…久々に口に入れたからお腹がいっぱいに感じるの」
「そうか、…なら果物はどうだ?」
マスカットを1つ房からちぎって口に持ってきてくれた、そのマスカットがとても魅力的に感じて、ぱくりと口の中へプツリと皮から実と果汁が溢れてその甘さに幸せを感じる。
「おいしいわ。騎士も食べて」
「あぁ、なら良かった。これなら食べれるか?」
そう言って、もう1つ口に持ってきてくれたが
「ごめんなさい、今日はもう満足なの。…せっかく用意して頂いたのに残してしまったわ」
食べれそうにもなく、謝る。
騎士がそのまま自分の口へとマスカットを入れるのを見て、「おいしいでしょ?」と問えば
「あぁ、サフィと食べる朝食はどれも美味しい。」
なんて、少しズレた返事が返ってきた。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる