騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第四章

06

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「サフィ、国に帰りたいか?」

帰りたい、帰りたいけど、さっきの話の流れから言葉を間違うことはできない。

「私一人で?」
「…?何を言う、俺と二人だ。」
「すぐに、か、えれるの?」
「いいや、帰れるようにあの国の人員配置や設備を整えてからになる。」
「……そう。なら、いい。帰らないわ」

騎士が言う人員配置や設備という言葉に、前と同じような生まれ慣れ親しんできた状態が望めないことを理解した。

「ねぇ、騎士お腹が空いたわ。」
「あぁ、サフィ着替えよう」

立ち上がり際に私のおでこに触れる程度のキスを落として、木彫の彫刻が凝っているクローゼットに向かう騎士

クローゼットの扉を開けば、色とりどりのドレスが姿を現す。

「サフィ、どれがいいとかあるか?」
「…いいえ、どれでもいいわ」

その言葉に、見慣れない姿の騎士がドレスを1着選んで手に持ち戻ってくる。

「さぁ、着替えよう。」

そう言って、今着ているシルク生地の寝間着用のワンピースを丁寧に脱がしにかかる。

「このドレスは誰のドレス…なの」
「サフィのドレスだ。」
「そう、…私の部屋にあったかしら」

独り言のようにボソボソ呟く私の言葉を騎士が拾う

「いいや、用意していた。」
「………騎士が?」
「あぁ、お前に似合うと思ってな。」

口角を上げて、嬉しそうに言う騎士

「…そう」

私は、何も嬉しくないわ。

「サフィ似合ってる」

しっかり一人で立つことがまだ出来ない私を支えて青色ベースの清楚感があるドレスを着させられる。後ろは胸周りはコルセット仕様となっているが、きつく縛らず不格好にならない程度に後ろで縛ってくれた

「…ありがとう。」

昔から、してもらったらお礼をしっかり言うように育ち望んでもいなくとも自然と口から出るようになっている。習慣とは怖いものね。と思うが、言いたくない時でも感情より先に言葉がでるのでその場を上手く流せているのならこの習慣も損は無かったのだと言える。

現に騎士は私の言葉に気を良くし、自分の身なりをクローゼット備え付けの大きな鏡で確認し、この国の紋章がしっかり縫い込まれたジャケットを羽織りこちらへ戻ってくる。

「騎士、私お化粧も身なりも整えれていない…」
「そのままでも充分お前は美しい」

そういうことじゃないわ。と言えず
騎士を黙って見つめていれば、優しいく微笑む

「…何が欲しい?」
「顔を洗いたいの、あとクシを貸していただけないかしら、髪を解きたいわ」
「分かった、少し待っていろ」

頭を撫でて、頬にキスをおとして騎士は出入口の外へ消えて行った。

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