騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第三章

03

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「ちょ、騎士!」

私をベッドの端に降ろして、手に持っていたドレスをするりと奪われる。

「着にくそうなドレスだな手伝おう」
「騎士、まだお願いしていないわ。」
「さっさと着替えて朝食に行こう。」

私の否定的な言葉など右から左で聞いてくれない。

「ちょっと、嫌よ!騎士!」
「あの男がいるからか?」

悲しそうな、怒りを含む目を向けられて
また同じ言葉を繰り返される。

『もし見つかれば騎士の立ち位置が危うくなるし、昨日の無礼といいエドウィー王子の一言で処刑されるようなことに発展する可能性が無いとは言いきれない。だからこそ、貴方を守りたいからこそなのにどうして分かってくれないの?』そんな悲しみに目が潤む。

「そうよ」
「あいつがいなくなれば済むのか。」

『彼は何を言ってるのかしら?』

「エドウィー王子がいなくなればサファリーアは俺と結婚できるということだな。」

エドウィー王子がいようがいまいが、私は貴方と結婚する気は無いのに、旅から帰ってきてからどうしてしまったのかしら。

「騎士、どうしたの?」
「何がだ」
「貴方は貴方の道を進んでいいのよ」
「あぁ、進んでいる」
「なら、私は私の道を進むわ」
「何を言ってる?サフィ、お前の道も俺の道も一緒だ。」

私が述べてる言葉が理解できないと言うニュアンスで共に進む道が一緒だと言われる。

騎士が考えてることと私が思ってる未来にズレが生じてるようにしか思えなくて、誰の邪魔もないこの空間で何を考えているのか聞くには絶好のチャンスだと思い、今までお互いのことを話し合うことなんてなかったけど、このチャンス逃したらいけないと1度深呼吸をして聞きたいことを頭の中で整理する。

「サフィ、どうした?」
「大丈夫よ。それより騎士、頭の中を整理したいの…その為に今から1つ1つ聞くから答えて頂戴」

その言葉を聞いて反対に向いていた椅子をベッド側に向かせて、私と向き合って座る騎士

「まず、騎士にとって私は妹?」
「いや違う」
「それじゃあ、どう見てるの?」
「一人の女性として見ている」

いつから一人の女性として、見てくれていたのか気になるところだけれど、肝心なのは

「そう、私に対して恋愛感情はないのよね?」
「恋愛感情?」
「好きという感情よ。」
「好きという言葉じゃ収まらない。」

『それは、どういうことなのかしら?』訳がわからず、眉間にシワが少しずつ寄ってきている。

「じゃあ、なんて表現するの?」
「愛してる」
「…身内に対する愛してる?」
「いいや、違う。」

私に着せようとしていたドレスを私が座ってる横に置き、両手で私の両手を包み込むように触れる

「一人の女性として愛している。サフィ結婚しよう。」

澄んだ青色瞳がブレることなく見つめてくる。
冗談で言ってる訳じゃないのは雰囲気からも見て取れる。

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