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過去 ー SS短編そのまま読めます ー
真夜中の変態との静かな戦い ー兄の場合ー
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ガチャガチャガチャ、
ガチャガチャガチャ・・
真夜中だというのにまるで開けてくれと言わんばかりの物騒な物音が響きわたる。
少しの間が、諦めたのかと思わせたが
バッチン・バッチン、ガチャ
次に硬いものを硬いもので
無理やり切断する音が次に響く
・・・キィーーィ
扉が悲鳴のような音を出して開かれる。
コツ、コツ、コツ
目的が定まった足音が
一直線に同じテンポで聞こえてくる。
コツン、コツン
少しずつ速度が落ち、ピタリと足音が止まる。
ギシッ
足音の主が目の前のベッドに腰をかける音が小さく鳴る
薄暗い中で、お月様の日からがカーテンの隙間から眩しいくらいに差し込む窓側で揺れ動く光に男の顔が映し出される。
「やぁ、こんばんは」
「カ、カルリト様」
焦り照れているメイドに笑みを見せながら挨拶をする
「確か、僕は妹の部屋に来たつもりだったけどここは君の部屋だったのかい?」
「も、申し訳ご座いません、こちらの部屋は紛れもなくお嬢様のお部屋でございます」
青ざめて、ガバッと寝そべっていた体を起き上がらせてメイドがベッドの上で正座をして謝る
そんなメイドの肩に触れて、そのまま顎に手をやり上を優しく誘導し向かせる
「大丈夫だからその可愛い顔を上げて、君が妹のベッドになぜ、潜り込んでいたかは問わない変わりに、今日のことは僕たちの秘密にしよう、ね。」
優しく甘く声をかけて、人差し指でメイドと自分の唇の間に挟んで見つめている。
「さぁ、自分の部屋に戻るんだ。もちろんドアをしっかり閉めて帰ってね」
「はいぃぃっ」
「お嬢様失礼いたしますうぅ・・・」
そんな二人のやりとりをベッドの足元から少し離れたところにある椅子に腰掛けてみていた私と、兄に一礼してバタバタとなるべく足音を立てないようにしながら、逃げるように消えていたメイド
『私のこと忘れてなかったのね』
消えていったメイドに少し関心しながら、ベッドに腰掛けたまま動かない兄に
「お兄様もどうぞ自室へおかえりになってちょうだい」
私も椅子から立ち上がることすらせず、月の光に照らされている兄の目を見ながら促す。
「・・・くっ、くくくっ、焦らしプレイに加えて君だと気付かずあの女を抱くか試したんだろ?」
この男は今日もまた何を言ってるのか。
毎度、毎度飽きずに人の部屋に夜中になったら忍び込もうとする。
「ワタクシも、もう眠りにつきたいわ」
若いといえど乙女の肌や成長期と考えたら真夜中にこんなに気を張って不健康そのものよ
「愛しいイザベル、あの女に触れたから怒ってるのかい?」
勘違いも大概にしてほしいわよね。
メイドはそろそろ自分の身の危険を感じたからわざとベッドに寝てもらってたのよ。
お兄様、顔や外面はとても良いから一夜でも可能性があるならと思ってる女性なんてすぐ見つかるし、あとは私じゃないとわかった時の態度を取り繕ってくれれば、なんなら二人仲良く私の部屋から出ていってくれたらと思ったぐらいよ、えぇ。本当に。
「・・・お兄様」
「なんだい?」
「明日お話をしましょう。今日はもう疲れましたの、寝たいわ」
「あぁ、そうだね。今日は違う刺激があって楽しかったよ」
「えぇ、喜ばせる気など何一つありませんわ。」
座った状態から動いたかと思えば、
ベッドに横になってこっちを見てるお兄様。
「お兄様、それはどういうことかしら?」
「ん、ほらおいで、」
ご存知かしら、あなたがそこにいるから私が一歩も動けないのよ。
今回も失敗ね。
にしても毎回、毎回、ドアの持ち手両サイドにチェンをグルグル巻きにして南京錠で固定したり、化け物でも監禁しているのかというようなほどにいろんなパターンでドアを開けれないようにしていても、この男は無理矢理真夜中ということも関係なしにどうにかこうにか部屋に入って来ようとする。それじゃあどうにもならない時は、音を立ててドアがそのまま倒れてくるんじゃないかというこじ開けをして、中に入ってくるようになった。
それもこれも、年々兄と一緒に過ごしていた時間が減り今や食事時でしか顔を合わすことがなくなったのも一つにあるとは感じている。が、それとこれとは別である。
家族といえど身の危険しかない状況だ。
現状まだ、言葉ではなんだかんだアウトな線をたどった発言が多いが無理やり襲われてはいないので危険な綱渡り状態だったりする、勿論、ゲームオーバーになるつもりはないので兄とのやり取りには神経をとても使う。
どうして誰も、ドアを壊すような大きな音を聞いても見にこないのかしら。 おかしいわよね、不審者が出た時どうするつもりなのかしら、もはや兵隊さんに突き出しても良いぐらいのことをこの男はしてきてるんだけどね。もしかして、誰もこないよう何かしてたりするのかしら・・・
「ふふっ、お兄様ったら冗談が過ぎますわ。他の女性に触れた手でワタクシを触れようなんて一昨日来てくださいまし。」
ガバッと起き上がってものすごいスピードで私の目の前まで近づいてきたお兄様、怖い
「イザベル、僕が愛してるのはイザベルだけだ、あんなビッチな女になんの感情もあるわけないじゃないか・・あぁ、妬いてくれたのかい?ふふっ、大丈夫だよ。僕は君が一番なんだ、可愛い可愛い僕だけのお姫様」
座ってる私の前で膝をつき両手で私の手の下に手を入れて軽くあげて自分の頰を置いて弁解をしてくる
私の表情を見るために顔を上げて目を合わせてくるけど、月の光だけでもわかる、この男の目に光が宿っていないことが。
「えぇ、わかりましたわ。ですがお預けです。おかえりになって」
何がお預けかなんて知らないが埒が明かないので乗ることにする。
「僕のハニー、ご褒美まってるから。おやすみ」
スッと立ち上がったかと思えばチュッとおでこにキスをして何事もなかったかのようにドアの外に消えていった。
いつもは会話を少しすれば満足をして帰るのに今日は行動にまで出られて落ち着きがなかった。
きっと何かあったのでしょうけど、お兄様を癒すのは私ではないわ。
妹離れが中々できないどころかとても酷い症状になってきてる。
だけど、あともう少しでこの家ともお別れ、我慢、我慢よ。
お兄様が壊しかけたドアを閉めて、元からついていた鍵をかけてベッドに戻り軽く布を叩いて、綺麗にしてから寝そべり満月を眺めながら、
どうかお兄様に素敵な女性との縁談が舞い降りることを願いやっと朝まで数時間瞼を閉じて眠りにつく。
END
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