彼の瞳に映らないように

奏 -sou-

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その後

遠方配達もやってます。

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カランカラン

「おはようございます!」
「「おはよー」」

カリサさん夫婦がこちらを見て挨拶をしてくれる。

「ベルちゃん、今日は配達を頼みたいんだけどいいかい?」
「はい、どちらに行きますか?」

「2、3度届けてくれたダウトさんところだよ」

ダウトさんは、この街からは幾分と離れている、隣国と境目に近い付近にある農場の家主の名である。

私が馬に直接乗ることが得意なことをかってくれたこともあり雇ってもらえた。

経緯は、旦那さんが馬好きで、少し店から離れた場所で飼育している馬の名をスティッフィリオといい、若い雄馬である彼を仕事上中々自由に走らせてやれておらず、どうにかさしたいと考えていたところ、私が、彼に乗ること許可してもらえるなら遠い場所への配達も可能になることを伝えた上で実際に、旦那さんの前でフィリオに乗り実力を見てもらった上で、任せてもらえるようになった。


「わかりました、他は立ち寄るところはありませんか?」 

「ああ、大丈夫さ。帰りは、焦らなくていいから気をつけて帰ってくるんだよ」

 「はい、ありがとうございます。それでは準備をして行ってきますね」

二人に軽くお辞儀をしてダウトさん家へ向かう。


馬に乗れるようになるには、過保護が過ぎるシュワット公爵家では馬を習えるはずなど無く、学園の放課後や空いた時間に乗馬ができるエリアで飼育されていた馬の元に、こっそりと通っていた。もちろん婚約破棄イベント後の為にね。

そこで出会った飼育担当に『馬の飼育を将来したいから教えて欲しい』と乗ること以外も色々と一から教わりながら徐々に経験値を積んできたのだけど、『やっとあの日々の努力がここで発揮出来る日が来るなんて!!』といった流れだ。

名が呼びにくいので、愛称でフリオと彼のことを呼んでいる馬の彼に乗り、急ぎすぎない程度に見慣れた道を進んでもらう。

行動範囲が広まるということは会いたくも無い過去の関係者に会うことがないとは言い切れないので、バレないであろうと思いつつもいつでもこのまま何かあれば逃げれるように警戒心は解かず、不審に思われない程度に周りを視野にいれながら、馬の脚を持っても小走り程度には走ってもらったが数十分はかかる目的地に着いた。

そして、フリオをいつも繋がせてもらってる定位置に繋いで、持ってきていたフリオの餌を与えてから家主のところへ向かう。


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