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第五章 黎明
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浄化のメンバーとして神官庁に呼ばれたのは、それから5日後のことだ。
王城の東側にある神官庁には、高くそびえる塔があった。
天辺が雲に隠れて見えないほどで、どれだけ高いのかと僕は目を眇めた。
「あれも遮蔽の能力の一部だ。見えないように雲で隠している」
「なるほど。雲を突き抜ける高さというわけではないんですね」
リディアンの説明に頷いてから、僕は門兵の横を通って塔の中へ入る。黒尽くめの神官に案内されて階段を上り、奥にある部屋の前で足を止めた。
「リディアン王子とサガン様です」
「入りたまえ」
中からしゃがれた声がして、僕たちは足を踏み入れた。
返事をしたのはゴドフレド神官で、窓を背にして一人掛けのソファに座っていた。
簡素な応接セットが置かれただけの部屋には、壁一面に本棚があり、片隅には地球儀に似た球状の模型がいくつも置かれていた。その中には、円環のある星が2つあり、もしかしたらキリロスなのかもしれないと僕は眺めた。
「どうぞこちらへ」
神官に席を勧められて、ゴドフレドの向かい側のソファに腰掛けた。
ゴドフレドはこちらに話しかけることなく、机の上に積まれた書類を見ていた。
「リディアン様、先日の用水路の件、ありがとうございました」
神官の一人に話しかけられたリディアンは、笑顔で応じている。
程なくして、一人の女性が入ってきて、僕たちにお辞儀をした。
僕は頭を下げたけれど、その人について誰も紹介はしてくれない。
リディアンは、話が続いているせいで、それどころではないようだ。
ゴドフレドは、そもそも僕に紹介するなんて念頭にないんだろう。
女性は、僕より年下に見えた。
肩より長い黒髪の一部を三つ編みにして下げていて、瞳がとても印象的だ。まるで南国の海のような、エメラルドグリーンの瞳。ゴドフレドが話しかけると、口元を隠してくすくすと笑う。スティーナとはまた違う雰囲気の、美しい人だ。
神官たちと同じ黒色の衣装を身に着けているというのに、とても華やかに見えるのはなぜなんだろう。僕はつい、視線を逸らすことも忘れて見つめてしまっていた。
「ユレイヌに見惚れるのは、そこまでにしておくんだな」
突然割って入った声に驚いて振り返ると、ソファの背凭れに寄りかかる白い毛に覆われた腕が見えた。いつ部屋に入ってきたのか、立っていたのはバルツァールだ。
「バルツァール、そなた……よくもここに顔を出せたものだな」
それまでユレイヌと呼ばれた女性と話していたゴドフレドが、険しい顔つきで慄いたように言う。
バルツァールは意に介した様子もなく、大きな口を開ける。
「うちの可愛い弟子のために一肌脱ぐことにしただけだ。教えるだけ教えられたら帰るから、私のことを気にする必要はない」
可愛い弟子、というのはこの場合、僕のことなんだろう。
今までそんな呼ばれ方をしたことがなくて、リディアンに視線を投げかけられて、挙動不審になってしまう。
「王が何と言うか」
「心配無用だ。王とは話をつけてある」
バルツァールはきっぱりとそう言って、僕の隣に腰掛けた。
4人掛けのソファではあるけれど、バルツァールの重みで沈み込んだ。
「随分と良い匂いがするな。レンリーフの香りか?」
身を寄せてくんくんと匂いを嗅ぎ、バルツァールは聞いてくる。
真っ先に湯殿で使っている香油が思い浮かんで、僕は頷いた。
「ララノアさんにいただいたんです」
「ほう? ララノアか。いい趣味をしている」
そうしてバルツァールと話している間に、最後の人物が現れた。
護衛が先に部屋に入り、到着の旨をゴドフレドに告げる。
間もなく、金色の瞳で周囲を睥睨して、マティアスが入ってきた。
靴音も高く部屋の奥へ向かうと、ゴドフレドが立ち上がって礼をし、中央の席を勧めた。
「それでは、書記官より説明をいたそう」
ゴドフレドが顎先で指示を出すと、一人の男性が進み出て頭を下げた。
「皆様には明日より浄化の儀を執り行っていただきたきます。予定表をこちらにご用意いたしました。浄化は日に2度。朝と夕に行います。所要時間は各1時間。お2人で組んでいただきます。今日より当面2週間分の予定表となりますので、もし更に必要であれば随時追加いたします」
予定表は各自に書面で配られて、僕もそれに目を通した。
「今回は、誰よりも身体の空いている者を率先して入れることとした」
見れば、確かに僕の名前が一番多い。
次いで、リディアンの名前だろうか。
説明によると、能力に応じて組むことになっているとのことだけれど。
渡された書面を見て、僕は少し驚いた。
てっきり、リディアンや他の神官と組むことになるのかと思っていた。
ゴドフレドはまだわかる。
マティアス王太子の名前があるのは予想外だった。
まさか、二人で共同作業に当たることになるなんて。
頭の中に、侯爵邸の酒蔵のことが浮かんだ。
僕を捕らえた人間がポロリと零した台詞。
──『おかげで、王子の面子も丸つぶれってわけよ』
もし僕を捕らえて、強姦するよう指示を出したのがマティアスだとしたら。
僕はそこまで考えて、一度目を閉じた。
たとえそうだとしても、もう言っても仕方がない。
あの件は、すでに決着を見ているんだから。
蒸し返したところで、どうしようもない。
書記官の話はまだ続いている。
主にこの組み合わせにした理由を説明しているようだ。
僕は大体1日おきの予定で、夜の担当らしい。
時間にしたら1時間ほどだから、負担にはならないんだろうけれど。
これまで1時間を通して能力を使ったことがなく、魔力切れが懸念される。
初日は、リディアンと。
2度目は、ユレイヌ・ベドナーシュとあった。
ベドナーシュということは、宰相の一族の方なんだろう。
もしかしたら、娘なのかもしれない。
3度目の相手が、ゴドフレド。
最終日が、マティアスだ。
2週間は、同じ順序でこの組み合わせを繰り返すようだ。
リディアン以外と組むのは、初日でないだけまだ助かるけれど、やっぱり緊張する。
特に、ゴドフレドとマティアスと組むとわかって、気が重くなった。
思わずたため息を吐きそうになっていると、隣からバルツァールが声を掛けてきた。
「初日と2度目には、私も参加する。その間に覚えろ」
「わかりました」
浄化は、ピクスを蔓延させないための、大切な儀式だ。
気を引き締めて事に当たらなければならない。
人への好悪で心を乱している場合じゃない。
僕はそう思い直して、書面から顔を上げてゴドフレドを見た。
ゴドフレドもちょうど書面から顔を上げていて、こちらを苦々しい顔つきで見ている。
僕をかと思ったら、どうやらバルツァールを見ているようだ。
「それでは、皆様、どうぞよろしくお願い致します」
書記官が頭を下げ、マティアスがゴドフレドに近付いた。
「この程度のこと、私の力など要らないのではないのか?」
「ぜひ、王太子であるマティアス様のお力添えをいただきたく」
2人が話し込む姿を尻目に、僕たちは部屋を出た。
「バルツァール様、御機嫌よう」
「ユレイヌか。大きくなったな」
バルツァールはそう言うと、ユレイヌの頭に手を置いてぽんぽんと撫でた。
「もう! 私はそんな子供ではありませんよ」
すると、僕の隣を歩いていたリディアンがくすりと笑った。
「あちらがユレイヌ・ベドナーシュ。宰相の娘だ」
やはり思った通りのようだ。
僕は、その明るい笑い声を聞きながら、塔の外まで歩いた。
既に馬車が来ていて、ユレイヌが乗り込んでいく。
「リディアン様、サガン様。また後日、お会いしましょう」
「ああ、またその時に」
馬車の扉がそれで閉まり、ユレイヌは去っていった。
「私もこれで」
バルツァールがそう言った次の瞬間、姿が掻き消えた。
恐らく、クロンヘイム宅まで転移したんだろう。
「俺たちも帰ろうか」
リディアンに促されて馬車に乗り込み、僕たちはアデラ城へと帰った。
浄化の儀は明日から始まる。
必ず、やり遂げなければ。
「そんなに緊張しなくていい。1人じゃない。俺もいるんだから」
夜に部屋に来たリディアンにそう言われたけれど、だからと言って甘えられない。
「明日は、バルツァール先生も来てくれるそうです」
すると、僕を抱き締めるリディアンの腕に力がこもった。
「仕方がないこととはいえ、俺たちの間に割って入ってくるとはな」
「割って入るってことではないとおも……ひあっ」
突然リディアンが服の中に手を入れてきて、その滑らかな感触に声を上げてしまう。
「お前は、鈍感だな」
「鈍感って……」
手を入れられるだけでこんな声を上げてしまうなんて、むしろ敏感過ぎると思うんだけれど。
「リディ、今日は駄目です。言ったでしょう? 明日はバルツァール先生も来るんですから」
「俺の残滓が邪魔をするから、抱き合うなって? その程度が雑音になるんなら、大した能力者じゃないな」
どうしてこう、棘のある言い方をするんだろう。
いつものリディアンからは考えられない。
「今日は、これだけで」
僕はそう言って、リディアンの身体に乗り上げて、軽くキスをした。
「おやすみなさい、リディ」
「はあ、お前は罪な男だ。無知ほど怖いものはない」
どういう意味なのかと聞き返す前に、後頭部を掴まれた。
「もう1回、タカトからキスして。そうしたら、大人しく寝るから」
僕は、青い瞳を間近で覗き込んでから、目を閉じてキスをした。
リディアンの手が背中に回り、思った以上に深いキスになる。
でも、約束通り、リディアンはそれで眠りについた。
僕も、すぐ隣に移動して、胸元に顔を寄せて眠った。
王城の東側にある神官庁には、高くそびえる塔があった。
天辺が雲に隠れて見えないほどで、どれだけ高いのかと僕は目を眇めた。
「あれも遮蔽の能力の一部だ。見えないように雲で隠している」
「なるほど。雲を突き抜ける高さというわけではないんですね」
リディアンの説明に頷いてから、僕は門兵の横を通って塔の中へ入る。黒尽くめの神官に案内されて階段を上り、奥にある部屋の前で足を止めた。
「リディアン王子とサガン様です」
「入りたまえ」
中からしゃがれた声がして、僕たちは足を踏み入れた。
返事をしたのはゴドフレド神官で、窓を背にして一人掛けのソファに座っていた。
簡素な応接セットが置かれただけの部屋には、壁一面に本棚があり、片隅には地球儀に似た球状の模型がいくつも置かれていた。その中には、円環のある星が2つあり、もしかしたらキリロスなのかもしれないと僕は眺めた。
「どうぞこちらへ」
神官に席を勧められて、ゴドフレドの向かい側のソファに腰掛けた。
ゴドフレドはこちらに話しかけることなく、机の上に積まれた書類を見ていた。
「リディアン様、先日の用水路の件、ありがとうございました」
神官の一人に話しかけられたリディアンは、笑顔で応じている。
程なくして、一人の女性が入ってきて、僕たちにお辞儀をした。
僕は頭を下げたけれど、その人について誰も紹介はしてくれない。
リディアンは、話が続いているせいで、それどころではないようだ。
ゴドフレドは、そもそも僕に紹介するなんて念頭にないんだろう。
女性は、僕より年下に見えた。
肩より長い黒髪の一部を三つ編みにして下げていて、瞳がとても印象的だ。まるで南国の海のような、エメラルドグリーンの瞳。ゴドフレドが話しかけると、口元を隠してくすくすと笑う。スティーナとはまた違う雰囲気の、美しい人だ。
神官たちと同じ黒色の衣装を身に着けているというのに、とても華やかに見えるのはなぜなんだろう。僕はつい、視線を逸らすことも忘れて見つめてしまっていた。
「ユレイヌに見惚れるのは、そこまでにしておくんだな」
突然割って入った声に驚いて振り返ると、ソファの背凭れに寄りかかる白い毛に覆われた腕が見えた。いつ部屋に入ってきたのか、立っていたのはバルツァールだ。
「バルツァール、そなた……よくもここに顔を出せたものだな」
それまでユレイヌと呼ばれた女性と話していたゴドフレドが、険しい顔つきで慄いたように言う。
バルツァールは意に介した様子もなく、大きな口を開ける。
「うちの可愛い弟子のために一肌脱ぐことにしただけだ。教えるだけ教えられたら帰るから、私のことを気にする必要はない」
可愛い弟子、というのはこの場合、僕のことなんだろう。
今までそんな呼ばれ方をしたことがなくて、リディアンに視線を投げかけられて、挙動不審になってしまう。
「王が何と言うか」
「心配無用だ。王とは話をつけてある」
バルツァールはきっぱりとそう言って、僕の隣に腰掛けた。
4人掛けのソファではあるけれど、バルツァールの重みで沈み込んだ。
「随分と良い匂いがするな。レンリーフの香りか?」
身を寄せてくんくんと匂いを嗅ぎ、バルツァールは聞いてくる。
真っ先に湯殿で使っている香油が思い浮かんで、僕は頷いた。
「ララノアさんにいただいたんです」
「ほう? ララノアか。いい趣味をしている」
そうしてバルツァールと話している間に、最後の人物が現れた。
護衛が先に部屋に入り、到着の旨をゴドフレドに告げる。
間もなく、金色の瞳で周囲を睥睨して、マティアスが入ってきた。
靴音も高く部屋の奥へ向かうと、ゴドフレドが立ち上がって礼をし、中央の席を勧めた。
「それでは、書記官より説明をいたそう」
ゴドフレドが顎先で指示を出すと、一人の男性が進み出て頭を下げた。
「皆様には明日より浄化の儀を執り行っていただきたきます。予定表をこちらにご用意いたしました。浄化は日に2度。朝と夕に行います。所要時間は各1時間。お2人で組んでいただきます。今日より当面2週間分の予定表となりますので、もし更に必要であれば随時追加いたします」
予定表は各自に書面で配られて、僕もそれに目を通した。
「今回は、誰よりも身体の空いている者を率先して入れることとした」
見れば、確かに僕の名前が一番多い。
次いで、リディアンの名前だろうか。
説明によると、能力に応じて組むことになっているとのことだけれど。
渡された書面を見て、僕は少し驚いた。
てっきり、リディアンや他の神官と組むことになるのかと思っていた。
ゴドフレドはまだわかる。
マティアス王太子の名前があるのは予想外だった。
まさか、二人で共同作業に当たることになるなんて。
頭の中に、侯爵邸の酒蔵のことが浮かんだ。
僕を捕らえた人間がポロリと零した台詞。
──『おかげで、王子の面子も丸つぶれってわけよ』
もし僕を捕らえて、強姦するよう指示を出したのがマティアスだとしたら。
僕はそこまで考えて、一度目を閉じた。
たとえそうだとしても、もう言っても仕方がない。
あの件は、すでに決着を見ているんだから。
蒸し返したところで、どうしようもない。
書記官の話はまだ続いている。
主にこの組み合わせにした理由を説明しているようだ。
僕は大体1日おきの予定で、夜の担当らしい。
時間にしたら1時間ほどだから、負担にはならないんだろうけれど。
これまで1時間を通して能力を使ったことがなく、魔力切れが懸念される。
初日は、リディアンと。
2度目は、ユレイヌ・ベドナーシュとあった。
ベドナーシュということは、宰相の一族の方なんだろう。
もしかしたら、娘なのかもしれない。
3度目の相手が、ゴドフレド。
最終日が、マティアスだ。
2週間は、同じ順序でこの組み合わせを繰り返すようだ。
リディアン以外と組むのは、初日でないだけまだ助かるけれど、やっぱり緊張する。
特に、ゴドフレドとマティアスと組むとわかって、気が重くなった。
思わずたため息を吐きそうになっていると、隣からバルツァールが声を掛けてきた。
「初日と2度目には、私も参加する。その間に覚えろ」
「わかりました」
浄化は、ピクスを蔓延させないための、大切な儀式だ。
気を引き締めて事に当たらなければならない。
人への好悪で心を乱している場合じゃない。
僕はそう思い直して、書面から顔を上げてゴドフレドを見た。
ゴドフレドもちょうど書面から顔を上げていて、こちらを苦々しい顔つきで見ている。
僕をかと思ったら、どうやらバルツァールを見ているようだ。
「それでは、皆様、どうぞよろしくお願い致します」
書記官が頭を下げ、マティアスがゴドフレドに近付いた。
「この程度のこと、私の力など要らないのではないのか?」
「ぜひ、王太子であるマティアス様のお力添えをいただきたく」
2人が話し込む姿を尻目に、僕たちは部屋を出た。
「バルツァール様、御機嫌よう」
「ユレイヌか。大きくなったな」
バルツァールはそう言うと、ユレイヌの頭に手を置いてぽんぽんと撫でた。
「もう! 私はそんな子供ではありませんよ」
すると、僕の隣を歩いていたリディアンがくすりと笑った。
「あちらがユレイヌ・ベドナーシュ。宰相の娘だ」
やはり思った通りのようだ。
僕は、その明るい笑い声を聞きながら、塔の外まで歩いた。
既に馬車が来ていて、ユレイヌが乗り込んでいく。
「リディアン様、サガン様。また後日、お会いしましょう」
「ああ、またその時に」
馬車の扉がそれで閉まり、ユレイヌは去っていった。
「私もこれで」
バルツァールがそう言った次の瞬間、姿が掻き消えた。
恐らく、クロンヘイム宅まで転移したんだろう。
「俺たちも帰ろうか」
リディアンに促されて馬車に乗り込み、僕たちはアデラ城へと帰った。
浄化の儀は明日から始まる。
必ず、やり遂げなければ。
「そんなに緊張しなくていい。1人じゃない。俺もいるんだから」
夜に部屋に来たリディアンにそう言われたけれど、だからと言って甘えられない。
「明日は、バルツァール先生も来てくれるそうです」
すると、僕を抱き締めるリディアンの腕に力がこもった。
「仕方がないこととはいえ、俺たちの間に割って入ってくるとはな」
「割って入るってことではないとおも……ひあっ」
突然リディアンが服の中に手を入れてきて、その滑らかな感触に声を上げてしまう。
「お前は、鈍感だな」
「鈍感って……」
手を入れられるだけでこんな声を上げてしまうなんて、むしろ敏感過ぎると思うんだけれど。
「リディ、今日は駄目です。言ったでしょう? 明日はバルツァール先生も来るんですから」
「俺の残滓が邪魔をするから、抱き合うなって? その程度が雑音になるんなら、大した能力者じゃないな」
どうしてこう、棘のある言い方をするんだろう。
いつものリディアンからは考えられない。
「今日は、これだけで」
僕はそう言って、リディアンの身体に乗り上げて、軽くキスをした。
「おやすみなさい、リディ」
「はあ、お前は罪な男だ。無知ほど怖いものはない」
どういう意味なのかと聞き返す前に、後頭部を掴まれた。
「もう1回、タカトからキスして。そうしたら、大人しく寝るから」
僕は、青い瞳を間近で覗き込んでから、目を閉じてキスをした。
リディアンの手が背中に回り、思った以上に深いキスになる。
でも、約束通り、リディアンはそれで眠りについた。
僕も、すぐ隣に移動して、胸元に顔を寄せて眠った。
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