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盗人の目
百目鬼
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虎和は早速、町人に変装して通りを歩き始めた。昨晩から一睡もしていないが、早ければ今夜にでも解決できるので我慢する。
今回、お藤は着いて来ていない。少しでも相手を油断させるための、虎和の策だ。
昨日と同じように、懐にお金を入れた麻袋を入れて通りを歩き回る。たまに麻袋があるか確認しながら、興味のある店を覗いてみたり、菓子を食べてみたり、自由に放浪する。
歩き始めてしばらく経ったが、まだ麻袋は盗まれていない。賭場の近くを通りかかった時、女に話しかけられる。
「あ、昨日の町人さん。まだ調査を続けてるんですか?」
その女は昨日と変わらず、豪華な着物を身にまとい、黒い手袋をしていた。名前は確か真奈子。最近賭場で名を上げている天才賭博師だとか。
「はい。でも中々手掛かりが掴めなくて……」
「昨日は女の方と一緒に調査してましたよね? その人は今日はいないんですか?」
「……あまりにも手掛かりが掴めなくて、諦めちゃいました。なので今日は俺一人で調べてるんです」
そう伝えると、真奈子は悲しげな———しかし何か裏がありそうな表情で虎和を見た。
「そうですか……。昨晩も、私の行きつけの店が被害にあったみたいなんです。もう、どうして私の行きつけばかり被害が出るんでしょうか……? 常連として店に通ってるのに、何もできない自分が無力で仕方ありません」
「そりゃあ、心配ですよね。実際、この一連の盗難でやっていけなくなった店もあるみたいですし。なので被害が大きくなる前に、俺が止めてみせます」
虎和はそう言って、その場から立ち去った。
「調査頑張ってくださいね!」
真奈子の言葉を受け取り、虎和は歩き出した。
そしてそれから少し歩いて。虎和が懐の中を確認すると、そこに麻袋は無かった。
「かかったな」
虎和はほくそ笑み、城へと戻っていった。眠くてたまらない。夜まで仮眠を取ろう。
~~~
夜。
暗がりの中を、手足の生えた目が歩いていた。目玉から直接手と足が生えており、非常に気持ち悪い見た目をしている。
目は両手で麻袋を持っていた。今日の昼間に虎和から盗んだ物だ。懐に忍び込んで麻袋を盗んだ後、人混みにまぎれて逃げ出し、暗くなるまで隠れていたのだ。通りでのスリは全てこの手法で行われていた。
目はやがて、おんぼろな家の中に入っていった。その家の座敷に、女の姿をした妖魔が鎮座していた。
「おかえり。よく無事に帰って来たね」
妖魔が手を差し出すと、目は着物の中へと入っていった。そして、自らの定位置に戻る。
「さて、これは……昼間に私を調べてた奴のだね。真相が分からないまま、私に金だけ盗られて行く気分はどうかしら? 想像するだけでたまらないわ。……それにしても、良い匂いがするわね。匂い袋でも入れてるのかしら? あの男にそんな趣味があったなんてね」
自分をまるごと包み込んでくれるような、そんな包容力のある香りだった。
妖魔は麻袋の中を確認する。中に入っていたのは小判が五枚に、藤色の匂い袋が一つ。そして、赤く染まった紙切れだった。
「何……この赤い紙切れ。趣味が悪いのね、不気味だ———」
そこまで言った所で、妖魔の言葉は途切れた。
妖魔の首筋に、刀が触れていたからだ。
~~~
「あれ、また会いましたね真奈子さん。それで、あなたが盗難事件の黒幕の妖魔、『百目鬼』で間違いないですか?」
刀を真奈子———百目鬼の首筋に当てながら、虎和は冷酷に問いかける。
「そんな……なんで? 『目』はすごく目が良いから、追尾に気付かないなんて事はないはず。そもそも、この家に入って来た時点でどうして気配を感じられなかったの……?」
百目鬼はひどく困惑していた。百目鬼は体中に無数の目を持つ、非常に目の良い妖魔だ。そして体中の目を分離させて、単独行動をさせる事もできる。察知に適した力を持つ百目鬼が、虎和の接近に気が付けないなどあり得ないのだ。
「お前も薄々勘付いてるんじゃないのか? 麻袋の中に変な物が入ってただろ?」
百目鬼は慌てて麻袋の中身を確認する。変な物……藤色の匂い袋と赤い紙切れだ。
「その紙切れには俺の血を染み込ませてある。俺の漢字は『血』だからな、その行く先を把握することができるんだ。それでここまで辿り着いたって訳だ。そして匂い袋、そっちは同僚のくノ一の異能だよ」
お藤に刻まれた漢字の異能は『惑』だ。自作した匂い袋の匂いを嗅いだ相手を『惑わす』事ができる。
匂い袋の匂いを嗅いだ目と百目鬼を惑わせて注意を散漫にさせ、視覚機能を低下させる事で、虎和の追尾・侵入を気付かせなかった。
「クソ……! 妖魔狩り、何故私の邪魔をする!? 人を殺したりだとか、もっと極悪な事をしている妖魔は他にいくらでもいるじゃないか! それに比べてどうだ、私は商人や侍どもから金を盗んでただけだ! 大した事はしていない!」
「お前からすればそうかもしれない。だが、その盗みで店を潰された人はどうなる? 収入が無くなり、結局野垂れ死ぬんじゃないのか? というか、一撃で仕留める妖魔よりも、しつこく粘着して盗み続けるお前の方がある意味では極悪だろ」
虎和は刀を握る手に力を込める。このまま首を切って、さっさと終わりにしよう。
だが、百目鬼は抵抗した。
「まだだ! まだ死ぬわけにはいかない! 折角盗んだ金で賭博で大儲けできたんだ! まだまだ成り上がってやる!」
百目鬼が叫んだ瞬間、その体から大量の目玉が放たれ、虎和に襲い掛かる。
「気持ち悪っ!」
「私の子供たちを悪く言ってんじゃないわよ!」
大量の目には全て、腕と足が生えていた。手には爪が付いており、最低限の武器にはなりそうだ。
「一体一体はそこまで強くなさそうだが……流石に多すぎだろ!」
そう、放たれた目は二百にも迫る数だった。とんでもない目の大軍が、一斉に虎和に襲い掛かる。
一体一体は脅威でなくとも、これだけの数が集まれば十分虎和と戦えるだけの戦力になる。
……惑わされなければ、の話ではあるが。
「虎和君!」
いつの間にか家の中に侵入していたお藤が、目の大軍目掛けて匂い袋の中身をばら撒いた。途端に、部屋中に甘い匂いが充満する。
「ギョロ?」
「ギョロ!」
「ギョロロー!」
目の大軍は惑わされ、何を見始めたのか、くるくると回ったり意味も無く飛び跳ねたり、意味不明な行動を取り始めた。少なくとも虎和を襲う意志を持つ目は一つも無くなった。
「ちょ、ちょっと何やってるのよ!」
「虎和君、今よ!」
目の大軍を失い無防備になった百目鬼に、虎和が迫る。
「畜生……こんな所で死んでたまるか!」
百目鬼は両手の黒い手袋を投げ捨てた。両掌には、大きな目玉がついていた。
(この掌の目は『未来』を見る事ができる。これで未来を見て攻撃を避け続ければ、私にも勝ち目が———!)
掌の目は大きく開かれ、未来を見る。
だが、見えてきた景色は、一面の赤だった。
「……は?」
「その目は何かやばそうだったから、先に潰させてもらった」
虎和の血の矢は、既に両掌の目玉を撃ち抜いていた。
「嘘、でしょ……?」
「無駄に増やした目玉でもっとよく相手を見極めるんだったな。桜様のお気に入りの店を狙った事、そして俺の貴重な金を盗んだのがお前の運の尽きだ」
次の瞬間、虎和の抜刀術により、百目鬼の首は宙を舞っていた。
今回、お藤は着いて来ていない。少しでも相手を油断させるための、虎和の策だ。
昨日と同じように、懐にお金を入れた麻袋を入れて通りを歩き回る。たまに麻袋があるか確認しながら、興味のある店を覗いてみたり、菓子を食べてみたり、自由に放浪する。
歩き始めてしばらく経ったが、まだ麻袋は盗まれていない。賭場の近くを通りかかった時、女に話しかけられる。
「あ、昨日の町人さん。まだ調査を続けてるんですか?」
その女は昨日と変わらず、豪華な着物を身にまとい、黒い手袋をしていた。名前は確か真奈子。最近賭場で名を上げている天才賭博師だとか。
「はい。でも中々手掛かりが掴めなくて……」
「昨日は女の方と一緒に調査してましたよね? その人は今日はいないんですか?」
「……あまりにも手掛かりが掴めなくて、諦めちゃいました。なので今日は俺一人で調べてるんです」
そう伝えると、真奈子は悲しげな———しかし何か裏がありそうな表情で虎和を見た。
「そうですか……。昨晩も、私の行きつけの店が被害にあったみたいなんです。もう、どうして私の行きつけばかり被害が出るんでしょうか……? 常連として店に通ってるのに、何もできない自分が無力で仕方ありません」
「そりゃあ、心配ですよね。実際、この一連の盗難でやっていけなくなった店もあるみたいですし。なので被害が大きくなる前に、俺が止めてみせます」
虎和はそう言って、その場から立ち去った。
「調査頑張ってくださいね!」
真奈子の言葉を受け取り、虎和は歩き出した。
そしてそれから少し歩いて。虎和が懐の中を確認すると、そこに麻袋は無かった。
「かかったな」
虎和はほくそ笑み、城へと戻っていった。眠くてたまらない。夜まで仮眠を取ろう。
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夜。
暗がりの中を、手足の生えた目が歩いていた。目玉から直接手と足が生えており、非常に気持ち悪い見た目をしている。
目は両手で麻袋を持っていた。今日の昼間に虎和から盗んだ物だ。懐に忍び込んで麻袋を盗んだ後、人混みにまぎれて逃げ出し、暗くなるまで隠れていたのだ。通りでのスリは全てこの手法で行われていた。
目はやがて、おんぼろな家の中に入っていった。その家の座敷に、女の姿をした妖魔が鎮座していた。
「おかえり。よく無事に帰って来たね」
妖魔が手を差し出すと、目は着物の中へと入っていった。そして、自らの定位置に戻る。
「さて、これは……昼間に私を調べてた奴のだね。真相が分からないまま、私に金だけ盗られて行く気分はどうかしら? 想像するだけでたまらないわ。……それにしても、良い匂いがするわね。匂い袋でも入れてるのかしら? あの男にそんな趣味があったなんてね」
自分をまるごと包み込んでくれるような、そんな包容力のある香りだった。
妖魔は麻袋の中を確認する。中に入っていたのは小判が五枚に、藤色の匂い袋が一つ。そして、赤く染まった紙切れだった。
「何……この赤い紙切れ。趣味が悪いのね、不気味だ———」
そこまで言った所で、妖魔の言葉は途切れた。
妖魔の首筋に、刀が触れていたからだ。
~~~
「あれ、また会いましたね真奈子さん。それで、あなたが盗難事件の黒幕の妖魔、『百目鬼』で間違いないですか?」
刀を真奈子———百目鬼の首筋に当てながら、虎和は冷酷に問いかける。
「そんな……なんで? 『目』はすごく目が良いから、追尾に気付かないなんて事はないはず。そもそも、この家に入って来た時点でどうして気配を感じられなかったの……?」
百目鬼はひどく困惑していた。百目鬼は体中に無数の目を持つ、非常に目の良い妖魔だ。そして体中の目を分離させて、単独行動をさせる事もできる。察知に適した力を持つ百目鬼が、虎和の接近に気が付けないなどあり得ないのだ。
「お前も薄々勘付いてるんじゃないのか? 麻袋の中に変な物が入ってただろ?」
百目鬼は慌てて麻袋の中身を確認する。変な物……藤色の匂い袋と赤い紙切れだ。
「その紙切れには俺の血を染み込ませてある。俺の漢字は『血』だからな、その行く先を把握することができるんだ。それでここまで辿り着いたって訳だ。そして匂い袋、そっちは同僚のくノ一の異能だよ」
お藤に刻まれた漢字の異能は『惑』だ。自作した匂い袋の匂いを嗅いだ相手を『惑わす』事ができる。
匂い袋の匂いを嗅いだ目と百目鬼を惑わせて注意を散漫にさせ、視覚機能を低下させる事で、虎和の追尾・侵入を気付かせなかった。
「クソ……! 妖魔狩り、何故私の邪魔をする!? 人を殺したりだとか、もっと極悪な事をしている妖魔は他にいくらでもいるじゃないか! それに比べてどうだ、私は商人や侍どもから金を盗んでただけだ! 大した事はしていない!」
「お前からすればそうかもしれない。だが、その盗みで店を潰された人はどうなる? 収入が無くなり、結局野垂れ死ぬんじゃないのか? というか、一撃で仕留める妖魔よりも、しつこく粘着して盗み続けるお前の方がある意味では極悪だろ」
虎和は刀を握る手に力を込める。このまま首を切って、さっさと終わりにしよう。
だが、百目鬼は抵抗した。
「まだだ! まだ死ぬわけにはいかない! 折角盗んだ金で賭博で大儲けできたんだ! まだまだ成り上がってやる!」
百目鬼が叫んだ瞬間、その体から大量の目玉が放たれ、虎和に襲い掛かる。
「気持ち悪っ!」
「私の子供たちを悪く言ってんじゃないわよ!」
大量の目には全て、腕と足が生えていた。手には爪が付いており、最低限の武器にはなりそうだ。
「一体一体はそこまで強くなさそうだが……流石に多すぎだろ!」
そう、放たれた目は二百にも迫る数だった。とんでもない目の大軍が、一斉に虎和に襲い掛かる。
一体一体は脅威でなくとも、これだけの数が集まれば十分虎和と戦えるだけの戦力になる。
……惑わされなければ、の話ではあるが。
「虎和君!」
いつの間にか家の中に侵入していたお藤が、目の大軍目掛けて匂い袋の中身をばら撒いた。途端に、部屋中に甘い匂いが充満する。
「ギョロ?」
「ギョロ!」
「ギョロロー!」
目の大軍は惑わされ、何を見始めたのか、くるくると回ったり意味も無く飛び跳ねたり、意味不明な行動を取り始めた。少なくとも虎和を襲う意志を持つ目は一つも無くなった。
「ちょ、ちょっと何やってるのよ!」
「虎和君、今よ!」
目の大軍を失い無防備になった百目鬼に、虎和が迫る。
「畜生……こんな所で死んでたまるか!」
百目鬼は両手の黒い手袋を投げ捨てた。両掌には、大きな目玉がついていた。
(この掌の目は『未来』を見る事ができる。これで未来を見て攻撃を避け続ければ、私にも勝ち目が———!)
掌の目は大きく開かれ、未来を見る。
だが、見えてきた景色は、一面の赤だった。
「……は?」
「その目は何かやばそうだったから、先に潰させてもらった」
虎和の血の矢は、既に両掌の目玉を撃ち抜いていた。
「嘘、でしょ……?」
「無駄に増やした目玉でもっとよく相手を見極めるんだったな。桜様のお気に入りの店を狙った事、そして俺の貴重な金を盗んだのがお前の運の尽きだ」
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