48 / 51
【天を見上げる戦乙女】
第049話
しおりを挟む(いいわ。ところで《ラグナロクショップ》ってもう使っても良いのよね?)
〘え、まあ使えるけど。ちゃんと神界に行ってからの方がいいよ? 何が必要とか何を優先した方がいいとか、実際にガイダンスを受けたり見学してからの方が分かりやすいと思うし。それに僕との契約内容もまだ決まってないからね!〙
(ポチッと)
〘え、何買ったの? あのねあのね、神界と地上とでは値段が違ったりするから、今買ったら物によっては大損しちゃうよ!〙
(あー、そうね。この若返りの値段とか神界と地上で10倍違うのは何で?)
〘神界だと力の差を公平にするための救済措置だけどね。地上で若返るのに10倍もする理由を考えてもみてよ?〙
(えっと、ボッタクリ…?)
〘違うよ! あのね、地上で生きてる人間が一歳若返ったら一年寿命が延びちゃうでしょ?〙
(でも地上の人間は《ラグナロクショップ》使えないわよね)
〘そこはほら、神々が地上の人間に神託で使命を与えて達成した暁に報酬として『買ってあげる』事ならできるからさ。10倍の商品でも時と場合によっては購入されます〙
(あー、【アーティファクト】とかそう言うやつ)
〘そうそう。でも神々が授けるのは形ある報酬だけじゃないからね〙
(こうして【アーティファクト】が売ってるのを観てると有り難み薄くなるわね…。ところで話は変わるんだけど質問してもいい?)
〘えっと、何かな? 神界に行かないと答えられない事柄も多いんだけど〙
(今って時が止まってるんじゃないのよね?)
〘そうだね、とっても遅く動いてるよ。今は1000倍くらいかな。それがどうかしたの?〙
(1000倍で動けたら便利かなって思ったのよ)
〘それは流石にできないかな。1000倍っていうのは体感時間だね。知覚を引き伸ばしただけだから肉体の速度は変わらないよ。えっとね、今だけ考える速度が速くなってるのさ!〙
(そういうことか、残念ね)
〘ところでさっき何を買ったんだい? もし損しちゃうような物なら相談してくれたら何とか対応するからね? ガイダンス受ける前に間違って買っちゃった物なら上手く交渉すれば補填して貰えると思うから〙
(それはガイダンス受けたら改めて考えるからいいわ。それより契約ってどんな感じなの?)
〘それならそろそろ神界行ってから話さない? 体感時間の引き伸ばしもあんまり長いと注意されちゃうんだ〙
(神界にはちゃんと納得してから行きたいのよ。不服ならフライングした自分を恨んでちょうだい)
〘それを言われちゃうと弱いな~。でもそうだね、答えられる事なら答えるって言ったのは僕だし! 貴女にはちゃんと納得して貰ってから円満に契約したいからね!〙
(とりあえずここで話せる範囲でいいから聞かせて)
〘うん。僕達神々との契約にはお互いの条件を提示する必要があるんだ。昔どこかの神様がやらかしてからかなり公平性は見直されたんだよ。ちゃんと契約書は第三者機関を通して妥当かどうか検討されるね〙
(つまり片方にだけ不利になる契約は結べないのね)
〘そうだね。契約は後で追加したりも出来るから、最初は簡単に期間の定めとか待遇に関する項目が多いかな~〙
(よくある契約ってどういう感じ?)
〘よくあるのはまず転生禁止期間。契約神の依頼を優先受託とかだね。それで神貨(ラド)を都合して貰ったりかな。中にはラグナロクリーグ出場拒否権なんていう本末転倒な物を要求した例もあるらしいよ?〙
(依頼専門のエインフェリアって事かしら)
〘神界も色々だからね。内輪揉めの多いところはケンカする為の戦力を欲しがってたりするし。あ、僕のところは内輪で戦争したりはしないよ? 練習試合ならあるけど〙
(それより、ラグナロクリーグって何? ラグナロクじゃ駄目なの?)
〘ダメダメ、ラグナロクは大昔の終末戦争だよ! 今の神界はエインフェリアを雇って神々の争い事を代理戦争で解決してるのさ。それがラグナロクリーグという祭典の形を取ってるんだ。ここでの勝敗は神界の序列に関わるから神々も必死だね〙
(エルドルはあまり必死そうじゃないのは何でよ)
〘あれ、僕そんなに頑張ってなさそうに見える?〙
(見えるから聞いたんだけど)
〘ひどい! でも合ってるよ。僕は争い事は苦手だからね~。でも神界としては良い成績を残したいから僕みたいな戦う力とは無縁な神でも、こうして戦力を集めないといけないのさ。中級神の辛いところだね。上級神には逆らえないし、下級神と違ってある程度の成績は出さないといけないし、もう大変〙
(それで戦乙女も忙しいのね)
〘うん。彼女達が忙しいのは僕達としては歓迎すべきなんだろうけど、手が足りないのはどう見てもキャパオーバーだよね。ラグナロクリーグが迫ってるからって他所の神界は神託までして戦争を起こさせてるからね。侵攻を受ける側の担当神界は仕事を増やされちゃうし〙
(まさか、今回の戦争も神サマの都合で引き起こされたってこと?!)
〘あ! あ~…うん。北大陸担当の神界がね、僕達の担当する地域へ侵攻を促す神託を出して戦争起こして英雄集めをしてたみたいだね。おかげさまでこっちはもうてんてこ舞いだよ~〙
(神界の事なんてどうでもいいのよ! つまりアタシは神サマの都合で殺されたみたいなもんじゃない!)
〘神界なんてどうでもって、怖いもの知らずだよね。でも神界の都合で殺されたというのはそうかも知れないね。ごめんよ〙
(謝るくらいなら生き返ってもいいわよね?)
〘それはでも出来ない決まりだから。出来る事ならもっと長生きさせたかったけど〙
(本当に?)
〘それはそうさ。僕は貴女のファンだからね! もっともっと地上で活躍して欲しかったよ。本当だよ?〙
(じゃあそうするわ)
〘でも生き返すのは無理だし、どうにか納得して貰えないかな~。って何やってるの?〙
(何って、帰るのよ。ロナも待ってるし)
〘いやいやいやいや。え、何で当たり前みたいに戻ろうとしてるの? どの道時間進めたら死んじゃうから身体に戻ったって最後の苦しみを味わうだけだよ? このまま神界行った方がいいよ?〙
(もしかしたら奇跡的に生きてるかも知れないでしょ)
〘近い未来は確定してるんだよ、100%無理だよ!〙
(ならアタシは残りの0%に賭けるわ!)
〘意味分かって言ってる?!〙
(やってみないと分からないじゃない!)
〘うんとね、分かってるから100%なんだよ?〙
(エルドルは神様なのに奇跡を信じてないのね)
〘神様だから奇跡は起こす物であって信じる物じゃないんだよ?〙
(いいから、早く時間を進めて。それで死んだらスパッとまた死んでやるわ!)
〘二回死んでるよそれ?〙
(ほら、早く!)
〘ああもう、それで貴女が納得してくれるならやるけど。本当にいいんだね?〙
(くどい! 例え上手く行かなくても、残り2秒あればアイツくらいぶっ殺せるでしょ! あー腹立つ、例え死ぬにしてもアイツは殺さないと死に切れないわ)
〘神様前にして堂々と人殺し宣言するって凄いよね。だからファンなんだけど!〙
(よし、アタシは殺れる。アタシは殺れる。絶対殺れる…)
〘そんな物騒な自己暗示初めて聞いたよ。じゃあ始めるよ~〙
〘3〙
〘2〙
〘1〙
〘…〙
◇◆◇
2
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。
石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません
俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。
本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。
幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。
そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。
彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。
それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』
今度もまた年上ヒロインです。
セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。
カクヨムにも投稿中です
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
何者でもない僕は異世界で冒険者をはじめる
月風レイ
ファンタジー
あらゆることを人より器用にこなす事ができても、何の長所にもなくただ日々を過ごす自分。
周りの友人は世界を羽ばたくスターになるのにも関わらず、自分はただのサラリーマン。
そんな平凡で退屈な日々に、革命が起こる。
それは突如現れた一枚の手紙だった。
その手紙の内容には、『異世界に行きますか?』と書かれていた。
どうせ、誰かの悪ふざけだろうと思い、適当に異世界にでもいけたら良いもんだよと、考えたところ。
突如、異世界の大草原に召喚される。
元の世界にも戻れ、無限の魔力と絶対不死身な体を手に入れた冒険が今始まる。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
流浪の魔導師
麺見
ファンタジー
ステータス、レベル、スキル無し! リアル異世界!
「この世界の不文律を教えてやる、弱肉強食だ!」
気付けばそこは森の中だった。
大学生、三枝晃は未知の世界に飛ばされた。
果たしてどうやって生きてゆくべきか。
選んだのは魔法だった。
〜~~
大陸北方、狙う者と狙われる者。それぞれの思惑が絡み合いついに事態は動いた。渦中の王子、王子を慕う者、そして王子の首を狙う刺客。それら全員が宮殿に揃い、決着の時を待つ。
カクヨム様、エブリスタ様、小説家になろう様でも公開中です。
コメ等頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる