14 / 86
第一章 漂流偏
第13話 落とし穴を作ろう
しおりを挟む
サイのリーダー格と決闘する事を告げられた仁たち品質管理課の面々、意外な展開に黙り込み、辺りには重苦しい空気が流れていた。
そんな沈黙を破るように仁が慈愛に近づき、どんな内容であったか問いただすが、決闘に勝てば水路作りの妨害はしないと言う事以外はサイたちから聞けなかったと冷静に答えた。
決闘とは生身同士で殺し合うのか?
誰もが怯え始めていた。
現代人である仁たちには到底無理な内容であった。そもそもこの決闘はルールのあるスポーツの勝負とは違う。小さな蚊や蠅などの害虫ではない。大きな生物を傷付けること自体が経験すらないのだ。
「殺さなくても・・・、相手に負けを認めさせれば良いのですよね」
真那が考えながら発言したその内容に、仁は真那の方を見つめ、少し希望が見えた気がした。
負けを認めさせる。それは殺さずに勝者となる唯一の方法であった。
「それならば、落とし穴なんてどうでしょう。明日までには作れそうだし」
小田が真那の肩に手を置いて発言した。仁はうんうんと頷いて頭の中で考えをまとめていった。
「よし!今の案に賛成だ。時間が無い。急いで落とし穴を作ろう」
仁が号令を出し、皆が重い空気を抱えたまま作業に取り掛かり始めた。慈愛はそれを見ると、その場から去って行った。思惑通りに話が進んだ事に慈愛は無自覚に少し顔がニヤついていた。
「何か慈愛様・・・嬉しそうな顔をしながら去って行きましたね」
原田がそう言うと、仁は首を傾げながらため息をついた。
姿カタチは同じヒトでも、異世界人の慈愛は動物とも話す事ができ魔法も使える。やはり根本的な部分で現代から来た<落ち人>と呼ばれる自分達とは違うのであろうと感じていたのだ。
仁たちは水路作りの作業場から川に沿って少し離れた場所に落とし穴を設置する事に決めた。
落とし穴はどれくらいの大きさが良いのであろうか。見た感じではサイの体長は4メートル程であった。そうすると更に見積もって5メートルあれば十分ではないか。
仁は持っていたメジャーで大体の寸法を測り、スコップの先で地面に印をつけた。あまり不自然な位置にならぬよう、草が生い茂っている場所を選んだ。
落とし穴の深さも問題だ。浅くてはすぐに這い出てしまう可能性だってある。そこで出来るだけ深くしようと、穴の深さも5メートルと決めた。
穴を掘った後は、細い枝を長めの茎で縛ってマス目状に繋ぎ合わせ、その上にブルーシートを被せて端を石で固定し、草などであまり重くならないようにカモフラージュする事にした。
男性陣は穴掘りを行い、女性陣は長い草の茎を見つけては紐状に繋ぎ合わせる。そして同時に支えとなる枝集めもおこないブルーシートの支えとなる部分を作成していった。
なんとか日が暮れる前までに落とし穴は完成したが、今日はほとんどこの作業だけで終わってしまった。
急ピッチで作った落とし穴を仁は見つめ、完成した事の余韻に浸っていると小田が心配そうな顔をして話しかけて来た。
「須沖課長、場所はここで良いのですか?決闘の場所がこの辺とは限らないのでは?」
そんな小田の心配をよそに、仁は自信のある顔を見せた。
「俺たちは川を泳がない限り越えられない。それはサイにとっても同じ事だと思うが、昨晩ここを破壊しに来たって事は、ここまでサイたちは容易に来れると言う事だ。そう考えると必然的にこの付近が決闘の場所となる筈だ」
決闘の場所はここだとしても、どうやって落とし穴までサイを誘導するつもりなのか。続けて小田は仁に質問した。
それに仁は皆を手招きして周りに集め、説明を始めた。
決闘が始まった瞬間、十分な距離を取りながら付かず離れずの距離で走って逃げる。その時、逃げる方向は落とし穴へ向けてだが、さすがに飛び越えられる大きさではない。
その為、落とし穴の横を通り過ぎたらサイとの対角線上に落とし穴が来るように、今度は左右どちらかに走って位置の調整をする。
「それで、誰がその走り・・・決闘するんですか?」
真那が今回の決闘で一番重要となる部分に触れた。
「原田に頼もうと思ってる」
「え!?」
原田が驚きの声を上げた。品質管理課は男性が6名在籍しているが、原田はその中でも一番の若手で入社2年目である。大学時代は運動部であったと仁は聞いていた。
ちなみにだが、仁と原田を除く4名の内、2名は仁の部下に当たるが年齢は仁より年上であるし、残りの2名も走れるような体系には見えない。
「よく工場にも走ってもらってるし、この中じゃ一番早いんじゃないか?」
仁は笑顔で原田を見てそう答えた。
確かに単純な駆けっこなら品質管理課で原田が一番早かった。
本来なら羽曽部食品の従業員298名の中でもっとも早く走れる人間を選ぶべきだが、他の部署は快く協力をしてくれるかわからない。このサイの件に関しては当事者ではないからだ。
サイの群れを見て、直にこの件を体験している品質管理課で対応するのが一番勝率が高いのではと仁は予測していた。
「それにサイはあの体系だ。そんなに早くは走れないだろうしな。原田、やれるか?」
「はっ、はい!俺やってみます!」
原田は若さゆえにやる気を出すように返事をした。
ここで皆の期待に応え、この問題を解決できれば入社間もない自分でも一目置かれる。そして、憧れの岡宮主任も自分を特別な目で見てくれるのではないかと原田は考えていた。
こうして、決闘に備え対策を立てた品質管理課であったが、仁の予想は一つだけ間違っていたのだ。
サイは大きな体を持ち得ながらも時速30~50kmで走る事が出来る。それに対し、人の男性平均速度は時速12km程と言われている。
ここでもう少し慎重になり調べていれば、サイの事が記載されている本が会社の資料室にあったかもしれない。そうすればサイの生態について知り得た可能性だってある。だが、インターネットの無い異世界で調べるという行為そのものが、インターネットを使う事に慣れ親しんだ仁たちにとって疎かになってしまったのだ。
皆は慣れない肉体労働で心身ともに疲れ果てていた。サイの問題を解決したとしても、その後は水路作りの遅れを取り戻さなくてはならない。目の前の問題よりも先の事を考えてしまっていた。
「よし!みんな帰ろう!今日はぐっすり寝るぞ!」
仁は品質管理課の心持を底上げするかのように元気に掛け声をした。
それでも品質管理課面々の足取りはどこか重く、ゆっくりと本社棟に向けて連なって歩みを進めた。
そんな沈黙を破るように仁が慈愛に近づき、どんな内容であったか問いただすが、決闘に勝てば水路作りの妨害はしないと言う事以外はサイたちから聞けなかったと冷静に答えた。
決闘とは生身同士で殺し合うのか?
誰もが怯え始めていた。
現代人である仁たちには到底無理な内容であった。そもそもこの決闘はルールのあるスポーツの勝負とは違う。小さな蚊や蠅などの害虫ではない。大きな生物を傷付けること自体が経験すらないのだ。
「殺さなくても・・・、相手に負けを認めさせれば良いのですよね」
真那が考えながら発言したその内容に、仁は真那の方を見つめ、少し希望が見えた気がした。
負けを認めさせる。それは殺さずに勝者となる唯一の方法であった。
「それならば、落とし穴なんてどうでしょう。明日までには作れそうだし」
小田が真那の肩に手を置いて発言した。仁はうんうんと頷いて頭の中で考えをまとめていった。
「よし!今の案に賛成だ。時間が無い。急いで落とし穴を作ろう」
仁が号令を出し、皆が重い空気を抱えたまま作業に取り掛かり始めた。慈愛はそれを見ると、その場から去って行った。思惑通りに話が進んだ事に慈愛は無自覚に少し顔がニヤついていた。
「何か慈愛様・・・嬉しそうな顔をしながら去って行きましたね」
原田がそう言うと、仁は首を傾げながらため息をついた。
姿カタチは同じヒトでも、異世界人の慈愛は動物とも話す事ができ魔法も使える。やはり根本的な部分で現代から来た<落ち人>と呼ばれる自分達とは違うのであろうと感じていたのだ。
仁たちは水路作りの作業場から川に沿って少し離れた場所に落とし穴を設置する事に決めた。
落とし穴はどれくらいの大きさが良いのであろうか。見た感じではサイの体長は4メートル程であった。そうすると更に見積もって5メートルあれば十分ではないか。
仁は持っていたメジャーで大体の寸法を測り、スコップの先で地面に印をつけた。あまり不自然な位置にならぬよう、草が生い茂っている場所を選んだ。
落とし穴の深さも問題だ。浅くてはすぐに這い出てしまう可能性だってある。そこで出来るだけ深くしようと、穴の深さも5メートルと決めた。
穴を掘った後は、細い枝を長めの茎で縛ってマス目状に繋ぎ合わせ、その上にブルーシートを被せて端を石で固定し、草などであまり重くならないようにカモフラージュする事にした。
男性陣は穴掘りを行い、女性陣は長い草の茎を見つけては紐状に繋ぎ合わせる。そして同時に支えとなる枝集めもおこないブルーシートの支えとなる部分を作成していった。
なんとか日が暮れる前までに落とし穴は完成したが、今日はほとんどこの作業だけで終わってしまった。
急ピッチで作った落とし穴を仁は見つめ、完成した事の余韻に浸っていると小田が心配そうな顔をして話しかけて来た。
「須沖課長、場所はここで良いのですか?決闘の場所がこの辺とは限らないのでは?」
そんな小田の心配をよそに、仁は自信のある顔を見せた。
「俺たちは川を泳がない限り越えられない。それはサイにとっても同じ事だと思うが、昨晩ここを破壊しに来たって事は、ここまでサイたちは容易に来れると言う事だ。そう考えると必然的にこの付近が決闘の場所となる筈だ」
決闘の場所はここだとしても、どうやって落とし穴までサイを誘導するつもりなのか。続けて小田は仁に質問した。
それに仁は皆を手招きして周りに集め、説明を始めた。
決闘が始まった瞬間、十分な距離を取りながら付かず離れずの距離で走って逃げる。その時、逃げる方向は落とし穴へ向けてだが、さすがに飛び越えられる大きさではない。
その為、落とし穴の横を通り過ぎたらサイとの対角線上に落とし穴が来るように、今度は左右どちらかに走って位置の調整をする。
「それで、誰がその走り・・・決闘するんですか?」
真那が今回の決闘で一番重要となる部分に触れた。
「原田に頼もうと思ってる」
「え!?」
原田が驚きの声を上げた。品質管理課は男性が6名在籍しているが、原田はその中でも一番の若手で入社2年目である。大学時代は運動部であったと仁は聞いていた。
ちなみにだが、仁と原田を除く4名の内、2名は仁の部下に当たるが年齢は仁より年上であるし、残りの2名も走れるような体系には見えない。
「よく工場にも走ってもらってるし、この中じゃ一番早いんじゃないか?」
仁は笑顔で原田を見てそう答えた。
確かに単純な駆けっこなら品質管理課で原田が一番早かった。
本来なら羽曽部食品の従業員298名の中でもっとも早く走れる人間を選ぶべきだが、他の部署は快く協力をしてくれるかわからない。このサイの件に関しては当事者ではないからだ。
サイの群れを見て、直にこの件を体験している品質管理課で対応するのが一番勝率が高いのではと仁は予測していた。
「それにサイはあの体系だ。そんなに早くは走れないだろうしな。原田、やれるか?」
「はっ、はい!俺やってみます!」
原田は若さゆえにやる気を出すように返事をした。
ここで皆の期待に応え、この問題を解決できれば入社間もない自分でも一目置かれる。そして、憧れの岡宮主任も自分を特別な目で見てくれるのではないかと原田は考えていた。
こうして、決闘に備え対策を立てた品質管理課であったが、仁の予想は一つだけ間違っていたのだ。
サイは大きな体を持ち得ながらも時速30~50kmで走る事が出来る。それに対し、人の男性平均速度は時速12km程と言われている。
ここでもう少し慎重になり調べていれば、サイの事が記載されている本が会社の資料室にあったかもしれない。そうすればサイの生態について知り得た可能性だってある。だが、インターネットの無い異世界で調べるという行為そのものが、インターネットを使う事に慣れ親しんだ仁たちにとって疎かになってしまったのだ。
皆は慣れない肉体労働で心身ともに疲れ果てていた。サイの問題を解決したとしても、その後は水路作りの遅れを取り戻さなくてはならない。目の前の問題よりも先の事を考えてしまっていた。
「よし!みんな帰ろう!今日はぐっすり寝るぞ!」
仁は品質管理課の心持を底上げするかのように元気に掛け声をした。
それでも品質管理課面々の足取りはどこか重く、ゆっくりと本社棟に向けて連なって歩みを進めた。
10
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
共に断罪される悪役宰相は私の最推しです!!
無月公主
恋愛
気が付くと、自身がプレイしていた乙女ゲームの中のエヴァレーン王国の次期女王、ルナティアナに転生してしまったことに気づく。大好きな推しキャラクターである悪役宰相バルサザール・クロウリーが、ルナティアナを操り人形にしようとしていて、王位継承後に現王であるルナティアナの父を暗殺しようとしていることを思い出す。今が丁度その計画が進行している時期であり、大好きな推しの手を止めるために行動を開始する。 そして!!あわよくば…推しを籠絡したい!!!
最低ランクの冒険者〜胃痛案件は何度目ですぞ!?〜
恋音
ファンタジー
『目的はただ1つ、1年間でその喋り方をどうにかすること』
辺境伯令嬢である主人公はそんな手紙を持たされ実家を追放された為、冒険者にならざるを得なかった。
「人生ってクソぞーーーーーー!!!」
「嬢ちゃんうるせぇよッ!」
隣の部屋の男が相棒になるとも知らず、現状を嘆いた。
リィンという偽名を名乗った少女はへっぽこ言語を駆使し、相棒のおっさんもといライアーと共に次々襲いかかる災厄に立ち向かう。
盗賊、スタンピード、敵国のスパイ。挙句の果てに心当たりが全くないのに王族誘拐疑惑!? 世界よ、私が一体何をした!?
最低ランクと舐めてかかる敵が居れば痛い目を見る。立ちはだかる敵を薙ぎ倒し、味方から「敵に同情する」と言われながらも、でこぼこ最凶コンビは我が道を進む。
「誰かあのFランク共の脅威度を上げろッッ!」
あいつら最低ランク詐欺だ。
とは、ライバルパーティーのリーダーのお言葉だ。
────これは嘘つき達の物語
*毎日更新中*小説家になろうと重複投稿
転生したら捨てられたが、拾われて楽しく生きています。
トロ猫
ファンタジー
2024.7月下旬5巻刊行予定
2024.6月下旬コミックス1巻刊行
2024.1月下旬4巻刊行
2023.12.19 コミカライズ連載スタート
2023.9月下旬三巻刊行
2023.3月30日二巻刊行
2022.11月30日一巻刊行
寺崎美里亜は転生するが、5ヶ月で教会の前に捨てられる。
しかも誰も通らないところに。
あー詰んだ
と思っていたら後に宿屋を営む夫婦に拾われ大好きなお菓子や食べ物のために奮闘する話。
コメント欄を解放しました。
誤字脱字のコメントも受け付けておりますが、必要箇所の修正後コメントは非表示とさせていただきます。また、ストーリーや今後の展開に迫る質問等は返信を控えさせていただきます。
書籍の誤字脱字につきましては近況ボードの『書籍の誤字脱字はここに』にてお願いいたします。
出版社との規約に触れる質問等も基本お答えできない内容が多いですので、ノーコメントまたは非表示にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。
剣伎 竜星
ファンタジー
最強の竜種の中でも最弱の緑竜に異世界転生するも、努力と根性で血反吐はきつつ、死にかけながら最終進化を遂げ、いろいろあって過激派天使達との大戦を戦い抜き、死んだ朋友の赤竜ルベウスの墓の墓守やって幾星霜。朋友の墓標に唾吐いて、その死を侮辱して嘲笑した連中がいる里に愛想が尽きたので、久しぶりに人間社会に紛れてまったりと冒険者生活を満喫するため、俺、翡翠竜のジェイドは旅立つことに決めた。
ゲームの悪役に転生した俺が、影の英雄ムーブを楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった
木嶋隆太
ファンタジー
ブラック企業の社畜だった俺は気が付けば異世界に転生していた。それも大好きだったゲームの悪役に……。このままでは将来主人公に殺されるという破滅の未来を迎えてしまうため、全力で強くなるための行動を開始する。ゲーム内知識を活かしながら、とにかく、筋トレ! 領民に嫌われたままも嫌なので、優しく! そんなことをしていると、俺の評価がどんどん上がっていっていき、気づけばどこに行っても褒められるような人間へとなっていた。そして、正体隠してあちこちで魔物を狩っていたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまい……おや? 様子がおかしいぞ?
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる