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第180話 赤龍の化身?
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「おい!ちょっと待ってろよ!それ以外動くなよ!それ以上街を壊されると五月蝿い奴が居るんだ!!」
ドルゲルは右手を手刀の形にすると真っ直ぐ空に向かって挙げる。そして魔力を集中させると白く輝く刃が雲を突き抜ける!
エビル・ヘルスパイダーは本能的に目の前の小さく強大な存在に恐怖した。空を突き抜けるように伸びる強大な魔力に八本の足がすくみ動く事が出来なかった。
ぎ・・ぎぎ・・ぎ・・・
「よし!待たせたな!・・・じゃあな!!・・・ふんっ!!」
ドルゲルは呼吸をするように容赦なく右腕を振り下ろすと白く光る刃が抵抗なくエビル・ヘルスパイダーを両断する!そしてまま大地に大きな裂け目を造った。
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
その余波は衝撃波として遅れてやって来ると近くにある建物が吹き飛び崩壊する。数秒後エビル・ヘルスパイダーが頭から真っ二つに分かれて崩れ落ちた・・・
ずずずぅぅぅぅん・・・
「あっ・・・ちょっとやり過ぎたか・・・」
崩れていく建物を見下ろしながらドルゲルは頭を掻きながら頬に冷や汗を垂らすのであった。
数十人の部下を引き連れたレオガルドが破壊された外壁付近から聳え立つ山を見上げるようにエビル・ヘルスパイダーに目を奪われていた・・
「ななっ!!で、でかい・・・あ、あれが・・・エビル・ヘルスパイダーか・・・赤龍様の試練・・・」
「レオガルド様。1つよろしいでしょうか?」
ミラジリアが見上げたまま固まっているレオガルドの背後から声を掛ける。
「むっ?な、なんだ?言ってみろ。」
「はい。あのエビル・ヘルスパイダーは負傷しているようです。それに何かに怯えているようにも見えます。もし街を襲う為に来たのなら今頃大暴れしているはずです。」
「むう・・・」
レオガルドがミラジリアの話に耳を傾けもう一度エビル・ヘルスパイダーを見上げ観察する。確かに言う通り所々傷があり体液が流れ出していた。そして街の中ではなく外に向かって威嚇しているように見えた。
「うむ。確かに・・・だとするとアレは何かに追われてここへ来た・・という事か・・・ん?あれは・・・」
レオガルドはふとエビル・ヘルスパイダーの視線の先を見ると何かが浮いているのに気付いた。
「おい。ミラジリア!エビル・ヘルスパイダーの目の前に浮かんでいるのは何だ?!人のようだが・・・」
「えっ?!あっ!は、はい!」
ミラジリアは空を見上げて浮かんでいるものを見付けると眼鏡のピントを合わせる。
「は、はい。確かに人間の男のようです。何でしょうか・・赤い箱のような物を持っています。そ、それに・・かなりの実力者です。
この距離からでも鳥肌が立つ程の魔力を感じます。」
「うむ。確かにかなりの力だ・・だが何故・・・エビル・ヘルスパイダーを・・・」
レオガルドは何か引っ掛かる事があり再び空に浮かぶ赤い箱を持った男を見上げると謎が解けたように目を見開いた!
(はっ!!ま、待てよ・・・赤い箱を持った者・・・赤い・・紅蓮の・・た、確か・・古文書の一説に・・・”怒れる赤き龍、紅蓮の御霊を持ちて大地に立つ”・・・も、もしや・・あの方は赤龍様の化身?!)
「ああっ!!そ、そうに違いない!!赤龍様がエビル・ヘルスパイダーがこの街を襲うと知り私達を護る為に自らの分体を遣わされたのだ!!」
「えぇ?!あの人間が赤龍様の化身?!レオガルド様!本当なのですか・・・っ?」
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
ミラジリアがレオガルドに話し掛けたその時!衝撃波が吹き抜けレオガルド達は咄嗟に踏ん張り耐える!そして10m級のエビル・ヘルスパイダーが頭から真っ二つに分かれ体液を撒き散らして崩れ落ちた。
ずずずずぅぅぅぅぅん・・・・
レオガルドを始めミラジリアと部下達は目を真ん丸くして崩れ落ちるエビル・ヘルスパイダーを眺めていた。するといつも冷静沈着なミラジリアの眼鏡がズレる・・・
「うっ、うえぇぇぇぇぇーーーっ!!!!・・・あ、あ、あうぅ・・・あ、あの・・エ、エビル・ヘルスパイダーが・・・い、一撃・・・?あ、あり得ない・・・あり得ないわ!!わ、私の考えたエビル・ヘルスパイダー討伐マニュアルが・・・無駄に・・・」
(((えっ?!気にする所そこ?!)))
するとレオガルドが動揺するミラジリアの肩に手を置く。
「はっ・・こ、これは・・申し訳ありません。取り乱しました・・・」
「くくっ・・良い。それより見たかミラジリアよ。・・・あの力・・・あの方は間違い無く赤龍様の化身だ。我等の危機に分体を遣わされたのだ!そうと分かれば皆の者!!すぐにあの方をお迎えするのだ!!急げ!!」
「「「はっ!!!」」」
周りを見渡せば幾つもの家屋が崩壊しあちらこちらから泣き叫ぶ声と怒号が響き渡っていた。そして街の住人は我先にと人を掻き分け破壊された北門の反対側にある南門へと殺到していた。
冒険者ギルドのギルドマスターであるジルバは逃げ惑う街の住人の波の中、膝を付き只々聳え立つエビル・ヘルスパイダーを気の抜けた顔で見上げていた。
「・・・だ、駄目だ・・・あんなもん・・と、どうすればいいんだ・・・」
「ギルマス!!どうしたんですか!!」
「なんだ!なんだ!一体どうしたんだ?!」
街の騒ぎにギルドの受付け嬢達が異変に気付いてギルド内から出て来る。それに続いて冒険者達もゾロゾロと出て来た。
皆が膝を付いて見上げるジルバの姿に驚き同じように空を見上げる・・・
「な、な、な、なんだありぁぁぁぁ!!」
「な、何だよあの馬鹿でかい蜘蛛は?!」
「あ、あ、あれは・・・エ、エビ・・エビ・・エビル・ヘルスパイダー!!!完全成体の危険度S級の魔物です!!」
ベテランの受付け嬢が見上げながら記憶を辿る。
「お、おい!あ、あんなのどうしようも無いぜ!!俺達も逃げないと!!」
「お、おう!!こ、この街も終わりだな・・・」
「い、急げ!!巻き込まれるぞ!!」
冒険者達は余りの絶望感に逃げ惑う街の住人達と合流するように駆け出した。残されたジルバは気が抜けたままエビル・ヘルスパイダーを見上げて固まっていた。
「ギルマス!!ここは危険です!!早く避難してください!!」
「そうです!!もうどうしようもありません!!しっかりしてください!!」
ジルバは受付嬢に声をかけられてハッと我に返る。
「お、おう・・わ、悪いな・・・俺がしっかりしないとな・・・よ、よし!まず住民の安全確保と避難が優先だ!ギルドの職員を全員集めろ・・・って・・お前達・・どうした?!」
ジルバが立ち上がると今度は受付嬢達が空を見上げて指を指していた・・・
「あ、あれは・・・誰ですか?ほら・・・あそこに浮いている人間です・・・」
「んんっ?!どれ・・・」
そう言ってジルバが受付嬢が指差す方を見た瞬間・・・
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
「「「きゃぁぁぁ!!」」」
ジルバ達は突然、衝撃波に襲われて身体を低くして踏ん張る!そして衝撃波が収まり顔を上げると、エビル・ヘルスパイダーが真っ二つになり崩れ落ちた・・・ジルバ達は何が起こったのか分からず口を開けたまま空を見上げていた。
「え・・あ・・・な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!な、何が起こったんだ?!あ、あの巨体が真っ二つだとぉぉぉぉぉ!!」
「ギ、ギルマス!!私には見えました!!あの人間の腕から魔力の帯のような物か伸びていました!!私も長年ギルドに居ますがあんな魔法・・・見た事ありません!!」
ジルバがもう一度空を見上げ空に浮かぶ人間を見る・・・
「と、とにかく・・・あの人間に話を聞く必要がある!!あの人間をここに連れて来るんだ!それと・・あの実力だ・・・俺も行く。何が不手際があって暴れられてもいかん!丁重に対応するんだ!!分かったな?!」
「「「はい!!」」」
ジルバと受付嬢達は職員を集めて未知なる人間の元へ駆け出すのであった。
ドルゲルは右手を手刀の形にすると真っ直ぐ空に向かって挙げる。そして魔力を集中させると白く輝く刃が雲を突き抜ける!
エビル・ヘルスパイダーは本能的に目の前の小さく強大な存在に恐怖した。空を突き抜けるように伸びる強大な魔力に八本の足がすくみ動く事が出来なかった。
ぎ・・ぎぎ・・ぎ・・・
「よし!待たせたな!・・・じゃあな!!・・・ふんっ!!」
ドルゲルは呼吸をするように容赦なく右腕を振り下ろすと白く光る刃が抵抗なくエビル・ヘルスパイダーを両断する!そしてまま大地に大きな裂け目を造った。
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
その余波は衝撃波として遅れてやって来ると近くにある建物が吹き飛び崩壊する。数秒後エビル・ヘルスパイダーが頭から真っ二つに分かれて崩れ落ちた・・・
ずずずぅぅぅぅん・・・
「あっ・・・ちょっとやり過ぎたか・・・」
崩れていく建物を見下ろしながらドルゲルは頭を掻きながら頬に冷や汗を垂らすのであった。
数十人の部下を引き連れたレオガルドが破壊された外壁付近から聳え立つ山を見上げるようにエビル・ヘルスパイダーに目を奪われていた・・
「ななっ!!で、でかい・・・あ、あれが・・・エビル・ヘルスパイダーか・・・赤龍様の試練・・・」
「レオガルド様。1つよろしいでしょうか?」
ミラジリアが見上げたまま固まっているレオガルドの背後から声を掛ける。
「むっ?な、なんだ?言ってみろ。」
「はい。あのエビル・ヘルスパイダーは負傷しているようです。それに何かに怯えているようにも見えます。もし街を襲う為に来たのなら今頃大暴れしているはずです。」
「むう・・・」
レオガルドがミラジリアの話に耳を傾けもう一度エビル・ヘルスパイダーを見上げ観察する。確かに言う通り所々傷があり体液が流れ出していた。そして街の中ではなく外に向かって威嚇しているように見えた。
「うむ。確かに・・・だとするとアレは何かに追われてここへ来た・・という事か・・・ん?あれは・・・」
レオガルドはふとエビル・ヘルスパイダーの視線の先を見ると何かが浮いているのに気付いた。
「おい。ミラジリア!エビル・ヘルスパイダーの目の前に浮かんでいるのは何だ?!人のようだが・・・」
「えっ?!あっ!は、はい!」
ミラジリアは空を見上げて浮かんでいるものを見付けると眼鏡のピントを合わせる。
「は、はい。確かに人間の男のようです。何でしょうか・・赤い箱のような物を持っています。そ、それに・・かなりの実力者です。
この距離からでも鳥肌が立つ程の魔力を感じます。」
「うむ。確かにかなりの力だ・・だが何故・・・エビル・ヘルスパイダーを・・・」
レオガルドは何か引っ掛かる事があり再び空に浮かぶ赤い箱を持った男を見上げると謎が解けたように目を見開いた!
(はっ!!ま、待てよ・・・赤い箱を持った者・・・赤い・・紅蓮の・・た、確か・・古文書の一説に・・・”怒れる赤き龍、紅蓮の御霊を持ちて大地に立つ”・・・も、もしや・・あの方は赤龍様の化身?!)
「ああっ!!そ、そうに違いない!!赤龍様がエビル・ヘルスパイダーがこの街を襲うと知り私達を護る為に自らの分体を遣わされたのだ!!」
「えぇ?!あの人間が赤龍様の化身?!レオガルド様!本当なのですか・・・っ?」
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
ミラジリアがレオガルドに話し掛けたその時!衝撃波が吹き抜けレオガルド達は咄嗟に踏ん張り耐える!そして10m級のエビル・ヘルスパイダーが頭から真っ二つに分かれ体液を撒き散らして崩れ落ちた。
ずずずずぅぅぅぅぅん・・・・
レオガルドを始めミラジリアと部下達は目を真ん丸くして崩れ落ちるエビル・ヘルスパイダーを眺めていた。するといつも冷静沈着なミラジリアの眼鏡がズレる・・・
「うっ、うえぇぇぇぇぇーーーっ!!!!・・・あ、あ、あうぅ・・・あ、あの・・エ、エビル・ヘルスパイダーが・・・い、一撃・・・?あ、あり得ない・・・あり得ないわ!!わ、私の考えたエビル・ヘルスパイダー討伐マニュアルが・・・無駄に・・・」
(((えっ?!気にする所そこ?!)))
するとレオガルドが動揺するミラジリアの肩に手を置く。
「はっ・・こ、これは・・申し訳ありません。取り乱しました・・・」
「くくっ・・良い。それより見たかミラジリアよ。・・・あの力・・・あの方は間違い無く赤龍様の化身だ。我等の危機に分体を遣わされたのだ!そうと分かれば皆の者!!すぐにあの方をお迎えするのだ!!急げ!!」
「「「はっ!!!」」」
周りを見渡せば幾つもの家屋が崩壊しあちらこちらから泣き叫ぶ声と怒号が響き渡っていた。そして街の住人は我先にと人を掻き分け破壊された北門の反対側にある南門へと殺到していた。
冒険者ギルドのギルドマスターであるジルバは逃げ惑う街の住人の波の中、膝を付き只々聳え立つエビル・ヘルスパイダーを気の抜けた顔で見上げていた。
「・・・だ、駄目だ・・・あんなもん・・と、どうすればいいんだ・・・」
「ギルマス!!どうしたんですか!!」
「なんだ!なんだ!一体どうしたんだ?!」
街の騒ぎにギルドの受付け嬢達が異変に気付いてギルド内から出て来る。それに続いて冒険者達もゾロゾロと出て来た。
皆が膝を付いて見上げるジルバの姿に驚き同じように空を見上げる・・・
「な、な、な、なんだありぁぁぁぁ!!」
「な、何だよあの馬鹿でかい蜘蛛は?!」
「あ、あ、あれは・・・エ、エビ・・エビ・・エビル・ヘルスパイダー!!!完全成体の危険度S級の魔物です!!」
ベテランの受付け嬢が見上げながら記憶を辿る。
「お、おい!あ、あんなのどうしようも無いぜ!!俺達も逃げないと!!」
「お、おう!!こ、この街も終わりだな・・・」
「い、急げ!!巻き込まれるぞ!!」
冒険者達は余りの絶望感に逃げ惑う街の住人達と合流するように駆け出した。残されたジルバは気が抜けたままエビル・ヘルスパイダーを見上げて固まっていた。
「ギルマス!!ここは危険です!!早く避難してください!!」
「そうです!!もうどうしようもありません!!しっかりしてください!!」
ジルバは受付嬢に声をかけられてハッと我に返る。
「お、おう・・わ、悪いな・・・俺がしっかりしないとな・・・よ、よし!まず住民の安全確保と避難が優先だ!ギルドの職員を全員集めろ・・・って・・お前達・・どうした?!」
ジルバが立ち上がると今度は受付嬢達が空を見上げて指を指していた・・・
「あ、あれは・・・誰ですか?ほら・・・あそこに浮いている人間です・・・」
「んんっ?!どれ・・・」
そう言ってジルバが受付嬢が指差す方を見た瞬間・・・
ずばぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
「「「きゃぁぁぁ!!」」」
ジルバ達は突然、衝撃波に襲われて身体を低くして踏ん張る!そして衝撃波が収まり顔を上げると、エビル・ヘルスパイダーが真っ二つになり崩れ落ちた・・・ジルバ達は何が起こったのか分からず口を開けたまま空を見上げていた。
「え・・あ・・・な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!な、何が起こったんだ?!あ、あの巨体が真っ二つだとぉぉぉぉぉ!!」
「ギ、ギルマス!!私には見えました!!あの人間の腕から魔力の帯のような物か伸びていました!!私も長年ギルドに居ますがあんな魔法・・・見た事ありません!!」
ジルバがもう一度空を見上げ空に浮かぶ人間を見る・・・
「と、とにかく・・・あの人間に話を聞く必要がある!!あの人間をここに連れて来るんだ!それと・・あの実力だ・・・俺も行く。何が不手際があって暴れられてもいかん!丁重に対応するんだ!!分かったな?!」
「「「はい!!」」」
ジルバと受付嬢達は職員を集めて未知なる人間の元へ駆け出すのであった。
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