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第144話 成功と反省
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ジンの呼び掛けにエントも手をかざしアンリルに魔力を送る。しかしそれでも確実とは言えなかった・・・アンリル達が覚悟を決めたその時、地下室の入口からコツコツと足音が聞こえる・・・足音が止まるとそこには頬を膨らませたサリアが腰に手を添えて立っていた。
「サ、サリアちゃん・・ど、どうして・・」
サリアは状況を見た瞬間に全てを察した。アンリルの気持ちも精霊達の気持ちも・・全て分かった上で優しい顔でため息を付く。
「はぁ・・・ミハエル君のいう通りね・・ちょっと目を離すと大変な事になってるじゃない!!・・全く・・アンリルさんは・・・」
「あ・・も、申し訳・・ありません・・」
「つ、つい・・・アンリル殿の姿に・・感銘を受けて・・」
「そ、そうです!!ち、力になろうと・・」
「わ、私は・・ミハエル様の命を受けて・・」
最上級精霊達が言い訳をしながら上目遣いでサリアのジト目にカタカタと震える・・
「はぁ・・もう!!話は後よ!!言いたい事は沢山あるけど・・今は子供達を助ける事が最優先よ!!あなた達!命令よ!!全力で子供達を助けなさい!!」
「「「「「はい!!」」」」」
サリアの声にその場の全員の声が揃うとサリアの魔力も加わり子供達は更らに暖かい魔力に包まれる。すると子供達の表情が穏やかになり、まるでベットの中で眠って居るような姿に変わって行った・・・
「ふはぁぁぁぁぁぁ!!!もう大丈夫よ!!子供達は眠ってるわ!」
アンリル達はギリギリまで神力を使い座り込んでいた。
「ところで・・子供達の家は分かっているの?」
「は、はい。地上で拘束している男に聞き出してあります。スレイド王国領内のメルビス村とオルベリー村の子供達です。」
「そう・・・じゃああんた達で送り届けてくれない?私達はまだやる事があるのよ。親達には適当話しておいて!森で迷子になってたとかね・・・そうだ!送り届ける前に街で子供達の服を買って来てよ!」
(アンリルさん・・凄い・・精霊使いでもないのに最上級精霊を顎で使ってるわ・・・多分この人も最上級精霊に認められたって事なのよね・・・)
そしてジン達も魔力を限界まで使い肩で息をしていた。
「わ、分かりました・・・ですが出来ればもう少し時間を頂けると助かります・・・」
「えぇ・・・そうね。私も久々に疲れたわ・・」
アンリルが達成感と疲労感で天井を見上げ肩の力を抜く。
「はぁ・・・本当に・・こんなとんでもない魔法を1人でやろうなんて・・・無茶にも程がありますよ!!・・・この際言っておきますけど私はアンリルさんが思っている程子供ではないです!ですから次から無茶をする前に相談してください!!いいですね?!」
サリアの真剣な目に流石のアンリルも項垂れる。
「そ、そうね・・流石に今回は勢いに任せて無茶が過ぎたわ・・・皆んなの力が無かったら私は終わってた・・・ごめん・・次からは相談するわ・・・」
アンリルは今回の事で〈異世界魔法〉の恐ろしさを痛感したのだった。アンリルはしばらく〈異世界魔法〉を封印する事にしたのだった。
「「主様!!」」
アンリルとサリアが地上に出ると幻獣2人が心配そうな顔で駆け寄って来た。
「大丈夫でありましたか!!先程凄まじい神力を感じました。中で何があったのですか?!」
「そ、それと街の方でも凄い力が大きな柱みたいに空を突き抜けました!一体何が起こっているのですか?!」
フェニックスとカトプレパスが怯えたようにサリアの前で跪く。
「えぇ・・こっちは大丈夫よ!心配ないわ。それより・・・」
サリアが徐に街の方に目を向けるとアンリルも街の方を向き目を細める。
「そうね・・街の方はガインね・・・これは何かあったわね・・・サリア!急いで戻るわよ!」
(あ・・呼び捨てに・・ふふ・・私を大人と認めてくれたのかな・・・)
アンリルはサリアが自分の意思で言い付けを破り自分の失態に駆けつけてくれた事を嬉しく思っていた。アンリルはサリアを子供扱いしていた事を反省して同等の仲間として見る事にしたのだった。
「そうですね!屋敷の方にも思わぬ強敵が居るのかも知れませんね!」
「うん。その可能性大ね!あんた達も来なさい!!行くわよ!!」
「「はい!!」」
幻獣2人が直立不動でキレの良い返事が揃う!
(あーー幻獣さん達も顎で使ってる・・・まあ、どう頑張っても勝てない相手だからね・・・本当にアンリルさんくらいになると何でもありなのね・・)
「・・・さて。クラーケンよ。子供達の服を頼めるか?お前はセンスが良いから適任だ。」
ジンが立ち上がりクラーケンに微笑む。
「あら。嬉しい事言ってくれるわね。分かったわ!行って来ます。」
クラーケンはジンから金貨の入った袋を受け取ると流れるように地下室の扉から出て行った。
「エントよ。このままクラーケンが戻るまで子供達を頼む。お前なら子供達を安心して任せられるからな。」
「ふふっ・・ジン・・貴方は本当に女性の扱いが上手ね。分かったわ。任せて。」
エントが子供達に手をかざすと冷たい石畳の隙間から緑が溢れて子供達を優しく包んだ。
「よし。ベヒモスは・・・」
「ふっ・・皆まで言うな・・・お主とゴミの始末であろう?」
「ふふっ・・そうだ。さすが察しが良くて助かる。・・・行こうか。」
「うむ。」
ジンとベヒモスが頷くとその場から一瞬で消えるのであった。
〈世界神の部屋〉
「ほっほっほ・・・また無茶な事をするのう・・・アラフ殿?」
「そうですわね・・一時はどうなるかと思いましたよ・・・アラフ殿。」
「・・・はい。本当に無茶をする。だが・・私は嫌いでは無い。むしろ私の加護に恥じぬ行いであると誇りに思う。
〈時空魔法〉とは元より自然の摂理に逆らう魔法。ですので〈時空魔法〉が存在する世界でも使える者は少なく上級以上は禁呪とされているのです。そして最高峰魔法〈リウエインド〉は私が知る限り過去に一度だけ仲間を助ける為に約1分戻すのに成功した者がいたが20年寿命を失いました。」
「な、何と・・それ程の魔法であったか・・」
「はい。それをこの者は5日間も巻き戻したのです!それも無傷で!私の加護と仲間の支援があったとは言え驚異的な記録と言えます。そして今回の成功の要因にはもう一つあります。・・・それは魔力ではなく神力であった事です。もし単なる魔力であったならば・・あの場にいる術者達は消滅していたでしょう・・・そして・・・この凝縮された神力を幼い身体に受け続けた子供達は・・・恐らく・・・」
「ど、どうなるのだ?」
「ど、どうなると言うのですか?」
「ふっ・・・それは・・これからの楽しみとしましょうか・・・」
「「おっふ・・・」」
「サ、サリアちゃん・・ど、どうして・・」
サリアは状況を見た瞬間に全てを察した。アンリルの気持ちも精霊達の気持ちも・・全て分かった上で優しい顔でため息を付く。
「はぁ・・・ミハエル君のいう通りね・・ちょっと目を離すと大変な事になってるじゃない!!・・全く・・アンリルさんは・・・」
「あ・・も、申し訳・・ありません・・」
「つ、つい・・・アンリル殿の姿に・・感銘を受けて・・」
「そ、そうです!!ち、力になろうと・・」
「わ、私は・・ミハエル様の命を受けて・・」
最上級精霊達が言い訳をしながら上目遣いでサリアのジト目にカタカタと震える・・
「はぁ・・もう!!話は後よ!!言いたい事は沢山あるけど・・今は子供達を助ける事が最優先よ!!あなた達!命令よ!!全力で子供達を助けなさい!!」
「「「「「はい!!」」」」」
サリアの声にその場の全員の声が揃うとサリアの魔力も加わり子供達は更らに暖かい魔力に包まれる。すると子供達の表情が穏やかになり、まるでベットの中で眠って居るような姿に変わって行った・・・
「ふはぁぁぁぁぁぁ!!!もう大丈夫よ!!子供達は眠ってるわ!」
アンリル達はギリギリまで神力を使い座り込んでいた。
「ところで・・子供達の家は分かっているの?」
「は、はい。地上で拘束している男に聞き出してあります。スレイド王国領内のメルビス村とオルベリー村の子供達です。」
「そう・・・じゃああんた達で送り届けてくれない?私達はまだやる事があるのよ。親達には適当話しておいて!森で迷子になってたとかね・・・そうだ!送り届ける前に街で子供達の服を買って来てよ!」
(アンリルさん・・凄い・・精霊使いでもないのに最上級精霊を顎で使ってるわ・・・多分この人も最上級精霊に認められたって事なのよね・・・)
そしてジン達も魔力を限界まで使い肩で息をしていた。
「わ、分かりました・・・ですが出来ればもう少し時間を頂けると助かります・・・」
「えぇ・・・そうね。私も久々に疲れたわ・・」
アンリルが達成感と疲労感で天井を見上げ肩の力を抜く。
「はぁ・・・本当に・・こんなとんでもない魔法を1人でやろうなんて・・・無茶にも程がありますよ!!・・・この際言っておきますけど私はアンリルさんが思っている程子供ではないです!ですから次から無茶をする前に相談してください!!いいですね?!」
サリアの真剣な目に流石のアンリルも項垂れる。
「そ、そうね・・流石に今回は勢いに任せて無茶が過ぎたわ・・・皆んなの力が無かったら私は終わってた・・・ごめん・・次からは相談するわ・・・」
アンリルは今回の事で〈異世界魔法〉の恐ろしさを痛感したのだった。アンリルはしばらく〈異世界魔法〉を封印する事にしたのだった。
「「主様!!」」
アンリルとサリアが地上に出ると幻獣2人が心配そうな顔で駆け寄って来た。
「大丈夫でありましたか!!先程凄まじい神力を感じました。中で何があったのですか?!」
「そ、それと街の方でも凄い力が大きな柱みたいに空を突き抜けました!一体何が起こっているのですか?!」
フェニックスとカトプレパスが怯えたようにサリアの前で跪く。
「えぇ・・こっちは大丈夫よ!心配ないわ。それより・・・」
サリアが徐に街の方に目を向けるとアンリルも街の方を向き目を細める。
「そうね・・街の方はガインね・・・これは何かあったわね・・・サリア!急いで戻るわよ!」
(あ・・呼び捨てに・・ふふ・・私を大人と認めてくれたのかな・・・)
アンリルはサリアが自分の意思で言い付けを破り自分の失態に駆けつけてくれた事を嬉しく思っていた。アンリルはサリアを子供扱いしていた事を反省して同等の仲間として見る事にしたのだった。
「そうですね!屋敷の方にも思わぬ強敵が居るのかも知れませんね!」
「うん。その可能性大ね!あんた達も来なさい!!行くわよ!!」
「「はい!!」」
幻獣2人が直立不動でキレの良い返事が揃う!
(あーー幻獣さん達も顎で使ってる・・・まあ、どう頑張っても勝てない相手だからね・・・本当にアンリルさんくらいになると何でもありなのね・・)
「・・・さて。クラーケンよ。子供達の服を頼めるか?お前はセンスが良いから適任だ。」
ジンが立ち上がりクラーケンに微笑む。
「あら。嬉しい事言ってくれるわね。分かったわ!行って来ます。」
クラーケンはジンから金貨の入った袋を受け取ると流れるように地下室の扉から出て行った。
「エントよ。このままクラーケンが戻るまで子供達を頼む。お前なら子供達を安心して任せられるからな。」
「ふふっ・・ジン・・貴方は本当に女性の扱いが上手ね。分かったわ。任せて。」
エントが子供達に手をかざすと冷たい石畳の隙間から緑が溢れて子供達を優しく包んだ。
「よし。ベヒモスは・・・」
「ふっ・・皆まで言うな・・・お主とゴミの始末であろう?」
「ふふっ・・そうだ。さすが察しが良くて助かる。・・・行こうか。」
「うむ。」
ジンとベヒモスが頷くとその場から一瞬で消えるのであった。
〈世界神の部屋〉
「ほっほっほ・・・また無茶な事をするのう・・・アラフ殿?」
「そうですわね・・一時はどうなるかと思いましたよ・・・アラフ殿。」
「・・・はい。本当に無茶をする。だが・・私は嫌いでは無い。むしろ私の加護に恥じぬ行いであると誇りに思う。
〈時空魔法〉とは元より自然の摂理に逆らう魔法。ですので〈時空魔法〉が存在する世界でも使える者は少なく上級以上は禁呪とされているのです。そして最高峰魔法〈リウエインド〉は私が知る限り過去に一度だけ仲間を助ける為に約1分戻すのに成功した者がいたが20年寿命を失いました。」
「な、何と・・それ程の魔法であったか・・」
「はい。それをこの者は5日間も巻き戻したのです!それも無傷で!私の加護と仲間の支援があったとは言え驚異的な記録と言えます。そして今回の成功の要因にはもう一つあります。・・・それは魔力ではなく神力であった事です。もし単なる魔力であったならば・・あの場にいる術者達は消滅していたでしょう・・・そして・・・この凝縮された神力を幼い身体に受け続けた子供達は・・・恐らく・・・」
「ど、どうなるのだ?」
「ど、どうなると言うのですか?」
「ふっ・・・それは・・これからの楽しみとしましょうか・・・」
「「おっふ・・・」」
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