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第119話 スタンピード 決戦
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「うおぉぉぉぉりやぁぁぁぁぁ!!このトカゲ共ぉぉぉぉぉ!!!!」
先程とは雰囲気が激変したログがドラゴニュートの前に一瞬で現れると白いオーラを纏った剣を横凪に一閃する!!!すると目の前のドラゴニュートの背中から白い弧を描いたものが飛び出し後ろの魔物達を次々と通過して行った・・・そして数秒後、魔物達の上半身が次々とズレて崩れ落ちるのだった・・・
「うえぇぇーーーっ!!!マ、マジか・・・一体どうなってやがる・・・」
「な、なあ・・お、おい・・俺達の身体・・光ってないか?」
「お、おう・・本当だ・・それに身体の底から力が湧いて来る・・・」
すると1人の冒険者が答えに辿り着いた。
「ま、まさか・・そ、そうだ!確かあいつはゴルドと一緒来た奴だ!!俺達が調子良くなったのはゴルドが来た時からだ!!」
「じゃあ・・俺達がここまで戦えてるのは・・・あいつのお陰って事か?!」
周りで戦っていた冒険者達が一斉にログの背中に注目した!
ログはその視線を感じ無造作に冒険者達に振り返ると空に向かって剣を一閃する!
すぱぁぁぁん・・・
「ふふふ・・・正解だ!!お前らは今、俺の庇護下にある!!今のお前らはこんなトカゲ共なんかに遅れは取らん!!剣を取れ!!杖を構えろ!!お前達の成すべき事しろぉぉ!!」
すると空から両断された数匹のコカトリスが地面に落ちてきた!
ずすぅぅぅぅん・・・・
冒険者達は目を丸くして両断されたコカトリスを見るとお互い顔を見合わせる。
「う・・うぉぉぉぉぉ!!!!!」
「やってやるぜぇぇぇぇ!!!!」
「こん畜生がぁぁぁぁ!反撃開始だぁぁぁ!!!!」
冒険者達は湧き上がる力をはっきりと感じ魔物達に臆する事なく攻撃を開始するのであった。
ギルドに女性を背中におぶった男が飛び込んで来た。
「だ、誰か!!回復魔法を使える人は居ないか?!傷を見てやってくれ!!頼む!!」
ギルドには約50人程の怪我人が寝かされギルドの職員が総出で治療に当たっていた。
すぐに飛び込んで来た男に気付いた職員の女性が駆け寄る。
「ここに寝かせてください!!」
「た、頼む!!助けてくれ!!」
「最善は尽くします!!」
しかしギルドの女性が傷口を見た瞬間眉を顰めた。女性は右肩を大きく抉られそこからコカトリスの猛毒に侵されていた。毒により出血は止まらず呼吸が荒く一刻を争う状態であった。他にもコカトリスの猛毒に侵せれ苦しむ冒険者が毒消薬と回復薬で辛うじて命を繋いでいる状態であった。
こ、これは・・・もう毒消薬も在庫が無いこの状態では・・もう・・・
職員の女性が唇を噛み締め男の顔を見てゆっくりと首を横に振った・・・
「おいぃぃ!!!諦めんなよぉぉ!!!なんとかしてくれよぉぉぉぉぉ!!!頼むよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
男が職員の女性に詰め寄ると虫の息の女性が男の服の裾を掴んだ。
「ルミヤ?!」
「ゼイル・・・いいの・・・私は冒険者・・生まれたこの街の為に戦って・・・ごほっ・・・死ねるなら・・・本望・・・よ・・」
ゼイルが慌ててルミヤの手を掴もうとするが
裾を掴んでいたルミヤの手が力無く床に落ちた・・・
ことん・・・
「ルミヤ?・・・お、おい!!ルミヤぁぁぁ!!起きてくれ!!な、なあ・・・ルミヤ・・・うぅぅぅ・・・」
もう動くことのないルミヤの傍でゼイルが大粒の涙を流し床を濡らすのであった。
その時であった!暗い静寂を打ち破るようにギルドの扉が勢いよく開いた。
バァァン!!
「お手伝いに来ました!!私は聖属性魔法を使えます!!」
そこには冒険者の治療にあたる為に駆けつけたロゼリアが立っていた。そして肩から血を流しているルミヤを見つけると真っ先に駆けつけギルドの職員に詰め寄る!
「状況は?!」
「コ、コカトリスの毒が・・・でも・・もう・・・」
「まだよ!!まだ逝かせない!!先ずは回復!!”傷つき者を癒し尽くせ!”〈ハイヒール〉!!!」
ロゼリアが魔法を放った瞬間だった・・ギルドを中心に街全体を覆う程の魔法陣が描かれ傷付いた冒険者達を温かい魔力が包み込み傷を癒やしていった。
目の前のルミヤの傷もみるみる内に塞がり血色も良くなっていく。するとルミヤの瞼がパチッと開き勢いよく上半身を起こした。
「どわぁぁぁ!!!!ル、ルミヤ?!だ、だ、大丈夫なのか?」
「う、うん・・大丈夫みたい・・・」
ルミヤは傷があった右肩を摩りながら不思議そうな顔をしていた。ゼイルは両手を床に付いて再び大粒の涙で床を濡らす。
「良かった!!!良かった!!本当に良かった!!!!!うぅぅぅ・・・」
ゼイルはほんの数分間で絶望と歓喜の涙を流す事になったのだった。
しかしこの事態に1番驚いているのはロゼリア本人であった。本来〈ハイヒール〉は中級の回復魔法であり毒を中和する事は出来ないのである。
(こ、これは・・・と、どういう事なの・・これもログさんの力だって言うの・・・?)
ロゼリアが考え込んでいると、いきなり両手を掴まれる。
「えっ?!」
「ありがとうぉぉぉぉぉ!!!本当にありがとうぉぉぉ!!!なんとお礼を言ったらいいか!!!」
ゼイルがロゼリアの手を握りながら頭を何度も下げる。
「あ、あの・・その・・これは・・・」
ロゼリアはなんと言って良いのか分からず戸惑っていると冒険者の男がロゼリアに指を指す!
「お、俺は見たぞ!!あの子がとてつもない魔法を使ったのを!!俺達を治してくれたのはあの子だ!!!あの子は俺達の命の恩人だぁぁぁぁ!!!」
傷が癒えた冒険者達が一斉にロゼリアに振り向いた・・・
「ほ、本当か?!・・あの子は・・ロゼリアじゃねーか!まだ新米の筈だぞ?」
「いや・・俺も見たんだ・・・間違い無い。多分普段は力を隠しているんだ。」
「なるほど・・・色々と面倒があるって事か・・・」
すると冒険者達がぞろぞろとロゼリアの周りに集まって来た。そしてゴルドがロゼリアの前に立つ。
「えぇぇぇ?!あ・・の・・私・・・」
ロゼリアは男達の圧力に声も出せずにいるとゴルドが厳つい顔を緩ませてロゼリアの頭に手を乗せた。
「ロゼリア。助かったぜ!!ありがとな!!お前が居なかったら死人が出るところだったんだ!!これから何か困った事があったら俺達に何でも言ってくれ!!俺達が全力で協力するからな!!・・もちろんこの事は内緒だ!!」
「は、はい・・・」
ロゼリアがぎこちない笑顔を見せるとゴルドが冒険者達に振り向く。
「よおぉぉし!!お前ら覚えとけ!!ロゼリアの事を部外者に喋った奴は俺が鼻から指突っ込んで脳みそこちょこちょしてやるからな!!!分かったな!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!誰が命の恩人を裏切るかぁぁぁぁぁ!!安心してくれ!!」
冒険者達は笑いながら頷いてロゼリアに親指を立てるのであった。
ロゼリアはフッと笑みを溢した。いつもは厳つくて気性が荒い冒険者の違う一面を見た気がしたのだった。
「よぉし!お前ら!!ロゼリアのお陰でまた戦える!!ウィランダの街を守り切るぞ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ゴルドが檄を飛ばすと男達はロゼリアに笑顔を向けながらギルドを出て行くのだった。
ロゼリアは冒険者を見送った後、力が抜けたように椅子に座り机に突っ伏した。
「ログさん・・・貴方は一体何者なんですか・・・」
ログと冒険者達の奮闘により街の周りの魔物は粗方片付いていた。何故か大半の魔物は怯えて逃げて行ったのだった。
「何とか追い払ったか・・・だがまだ・・・終わりじゃ無い・・・でも流石に・・・痛っ・・」
ログはドラゴニュートにやられた脇腹を押さえて顔を歪める。すると突然足元に魔法陣が広がった!
ログは弾けるように街の方を振り返る!!
(何だ?!この馬鹿でかい魔力は?!それに・・これは回復魔法・・・それもかなり高位の魔法だ。街とその周辺を飲み込む程の魔力・・・一体何が起こっている・・・)
考え込みながら何気なく身体を動かしてみると脇腹はもちろんの事悪い所が見当たらない程良くなっていた・・・そしてログは何気なく右手の甲を見て目を見開いた。
(ふ、古傷が・・・無くなってる!!何年も経った傷が跡形もなく消えた?!何だこの出鱈目な魔法は・・・あの街には神でも居るのか・・・?)
ログは興味をそそられ街を眺めていると突然森の奥から魔物の鳴き声がこだました!
「グギャブェェェェェェ!!!!」
「グゲェェェェェェェェ!!!!」
「な、何だ?!今度は何だ!?」
冒険者達が騒めき浮足立って声のする方を不安な面持ちで見ると段々その姿が見えて来た。
ずしぃぃぃぃん・・・べきばきべき・・・
ずしぃぃぃぃん・・・ばきばきばき・・・
「な、何だよアレは・・・」
唖然とする冒険者達の前に現れたのは体長20mを越え八本の長い首を唸せて口から涎を撒き散らし八本の尾を引き摺りながら向かってくる得体の知れない魔物であった・・・
冒険者達は呆然としながら立ち尽くしていた。
「・・・オロチ・・あれは八岐大蛇だ!!」
ログが絶望感を震わせながら声を上げた。
「オロチ?!」
よりによって厄介な奴が・・・何なんだこの世界は?!先ずオロチを倒すには・・・身体の中にある核を粉砕するしか無い・・だが・・
流石のログも八岐大蛇を倒す策が思いつかなかった。神獣であるオロチは神力で護られ八本の首からは六属性のブレス。毒や麻痺と状態異常のブレスを放つのだ。今の自分のレベルでは絶望的な相手であった。
(何か無いのか?!くそっ!!何とか・・)
ログは勝利の可能性を模索するが考えが全く浮かばなかった。その間にも一歩一歩踏み締めるように向かってくるオロチを前に冒険者達が立ち尽くしていた。
すると街の入口からゴルド達が士気高らかに飛び出してきた。
「俺達もやるぞぉぉぉぉぉ!!!」
「うっ・・・うおっ?!何だありぁぁぁぁ?!」
ゴルド達もオロチを前に一瞬怯むが立ち尽くす仲間達の元へ駆け寄りながら檄を飛ばす!
「何をボーッとしている!!考えても始まらん!!ありったけの攻撃を浴びせろ!!考えるのはそれからだ!!!!」
考え込んで固まっていたログも我に返り顔を上げた。
「ふふ・・そうだよな・・・俺とした事が・・よおぉぉぉぉし!!全力全開で総攻撃だぁぁぁ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ログの号令に今まで戦っていた冒険者達の士気が上がりオロチへと向かっていく!!
「お、おう・・ログの奴・・性格変わったのか・・・?そ、そんな事は後だ!!よし!魔法使いは頭を狙え!!俺達もいくぞぉぉぉぉぉ!!!」
ゴルド達もログ達の後に付いてオロチに切り掛かっていく!!
するとオロチが立ち止まり大きく長い首が冒険者達の頭上に降ってくる!!
「させるかぁぁぁ!!これでも喰らえぇ!」
ズドドドドドドドドォォォ!!!
「グロロロロロロロ・・・・」
ログの力で威力が上がった魔法使い達の魔法がオロチの頭や首に命中する!!
するとオロチは首をうねらせ嫌がるようにグラついた。
「まさか・・き、効いてるのか?!よし!魔法攻撃を続けてくれ!!俺達は脚だ!!脚を狙って倒すんだ!!!」
「おおう!!!了解だぁぁぁ!!!」
ログの号令に冒険者達は四本の極太の脚に切り掛かった!
それにしても・・この世界の八岐大蛇はこの程度なのか・・・俺の思い過ごしだったのか・・・
ログがオロチを見上げていると、遂にオロチの巨体がぐらついてゆっくりと崩れ落ちて行く!!
ずずぅぅぅん・・・・
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「や、やったぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ざまぁ見やがれぇぇぇぇ!!!」
「待て!!オロチがこの程度でやられる訳が無い!!!油断するな!!!」
ログがはしゃぐ冒険者を諌めるように声を上げる!!
しかしゴルドがオロチに近寄りオロチの頭をコツコツと蹴りながら首を傾げる。
「なあ、こいつ・・・もう死んでるんじゃねぇか?」
「ば、馬鹿な・・そんな筈は・・・」
ログはオロチの大きな頭に恐る恐る近寄り剣で突き刺した。しかしオロチは再び動く事はなかった・・・
(し、死んでる・・・何故だ・・・何がおかしい・・何だこの違和感は・・・)
ログは眉間に皺を寄せながら倒れた八岐大蛇を見据えるのであった。
先程とは雰囲気が激変したログがドラゴニュートの前に一瞬で現れると白いオーラを纏った剣を横凪に一閃する!!!すると目の前のドラゴニュートの背中から白い弧を描いたものが飛び出し後ろの魔物達を次々と通過して行った・・・そして数秒後、魔物達の上半身が次々とズレて崩れ落ちるのだった・・・
「うえぇぇーーーっ!!!マ、マジか・・・一体どうなってやがる・・・」
「な、なあ・・お、おい・・俺達の身体・・光ってないか?」
「お、おう・・本当だ・・それに身体の底から力が湧いて来る・・・」
すると1人の冒険者が答えに辿り着いた。
「ま、まさか・・そ、そうだ!確かあいつはゴルドと一緒来た奴だ!!俺達が調子良くなったのはゴルドが来た時からだ!!」
「じゃあ・・俺達がここまで戦えてるのは・・・あいつのお陰って事か?!」
周りで戦っていた冒険者達が一斉にログの背中に注目した!
ログはその視線を感じ無造作に冒険者達に振り返ると空に向かって剣を一閃する!
すぱぁぁぁん・・・
「ふふふ・・・正解だ!!お前らは今、俺の庇護下にある!!今のお前らはこんなトカゲ共なんかに遅れは取らん!!剣を取れ!!杖を構えろ!!お前達の成すべき事しろぉぉ!!」
すると空から両断された数匹のコカトリスが地面に落ちてきた!
ずすぅぅぅぅん・・・・
冒険者達は目を丸くして両断されたコカトリスを見るとお互い顔を見合わせる。
「う・・うぉぉぉぉぉ!!!!!」
「やってやるぜぇぇぇぇ!!!!」
「こん畜生がぁぁぁぁ!反撃開始だぁぁぁ!!!!」
冒険者達は湧き上がる力をはっきりと感じ魔物達に臆する事なく攻撃を開始するのであった。
ギルドに女性を背中におぶった男が飛び込んで来た。
「だ、誰か!!回復魔法を使える人は居ないか?!傷を見てやってくれ!!頼む!!」
ギルドには約50人程の怪我人が寝かされギルドの職員が総出で治療に当たっていた。
すぐに飛び込んで来た男に気付いた職員の女性が駆け寄る。
「ここに寝かせてください!!」
「た、頼む!!助けてくれ!!」
「最善は尽くします!!」
しかしギルドの女性が傷口を見た瞬間眉を顰めた。女性は右肩を大きく抉られそこからコカトリスの猛毒に侵されていた。毒により出血は止まらず呼吸が荒く一刻を争う状態であった。他にもコカトリスの猛毒に侵せれ苦しむ冒険者が毒消薬と回復薬で辛うじて命を繋いでいる状態であった。
こ、これは・・・もう毒消薬も在庫が無いこの状態では・・もう・・・
職員の女性が唇を噛み締め男の顔を見てゆっくりと首を横に振った・・・
「おいぃぃ!!!諦めんなよぉぉ!!!なんとかしてくれよぉぉぉぉぉ!!!頼むよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
男が職員の女性に詰め寄ると虫の息の女性が男の服の裾を掴んだ。
「ルミヤ?!」
「ゼイル・・・いいの・・・私は冒険者・・生まれたこの街の為に戦って・・・ごほっ・・・死ねるなら・・・本望・・・よ・・」
ゼイルが慌ててルミヤの手を掴もうとするが
裾を掴んでいたルミヤの手が力無く床に落ちた・・・
ことん・・・
「ルミヤ?・・・お、おい!!ルミヤぁぁぁ!!起きてくれ!!な、なあ・・・ルミヤ・・・うぅぅぅ・・・」
もう動くことのないルミヤの傍でゼイルが大粒の涙を流し床を濡らすのであった。
その時であった!暗い静寂を打ち破るようにギルドの扉が勢いよく開いた。
バァァン!!
「お手伝いに来ました!!私は聖属性魔法を使えます!!」
そこには冒険者の治療にあたる為に駆けつけたロゼリアが立っていた。そして肩から血を流しているルミヤを見つけると真っ先に駆けつけギルドの職員に詰め寄る!
「状況は?!」
「コ、コカトリスの毒が・・・でも・・もう・・・」
「まだよ!!まだ逝かせない!!先ずは回復!!”傷つき者を癒し尽くせ!”〈ハイヒール〉!!!」
ロゼリアが魔法を放った瞬間だった・・ギルドを中心に街全体を覆う程の魔法陣が描かれ傷付いた冒険者達を温かい魔力が包み込み傷を癒やしていった。
目の前のルミヤの傷もみるみる内に塞がり血色も良くなっていく。するとルミヤの瞼がパチッと開き勢いよく上半身を起こした。
「どわぁぁぁ!!!!ル、ルミヤ?!だ、だ、大丈夫なのか?」
「う、うん・・大丈夫みたい・・・」
ルミヤは傷があった右肩を摩りながら不思議そうな顔をしていた。ゼイルは両手を床に付いて再び大粒の涙で床を濡らす。
「良かった!!!良かった!!本当に良かった!!!!!うぅぅぅ・・・」
ゼイルはほんの数分間で絶望と歓喜の涙を流す事になったのだった。
しかしこの事態に1番驚いているのはロゼリア本人であった。本来〈ハイヒール〉は中級の回復魔法であり毒を中和する事は出来ないのである。
(こ、これは・・・と、どういう事なの・・これもログさんの力だって言うの・・・?)
ロゼリアが考え込んでいると、いきなり両手を掴まれる。
「えっ?!」
「ありがとうぉぉぉぉぉ!!!本当にありがとうぉぉぉ!!!なんとお礼を言ったらいいか!!!」
ゼイルがロゼリアの手を握りながら頭を何度も下げる。
「あ、あの・・その・・これは・・・」
ロゼリアはなんと言って良いのか分からず戸惑っていると冒険者の男がロゼリアに指を指す!
「お、俺は見たぞ!!あの子がとてつもない魔法を使ったのを!!俺達を治してくれたのはあの子だ!!!あの子は俺達の命の恩人だぁぁぁぁ!!!」
傷が癒えた冒険者達が一斉にロゼリアに振り向いた・・・
「ほ、本当か?!・・あの子は・・ロゼリアじゃねーか!まだ新米の筈だぞ?」
「いや・・俺も見たんだ・・・間違い無い。多分普段は力を隠しているんだ。」
「なるほど・・・色々と面倒があるって事か・・・」
すると冒険者達がぞろぞろとロゼリアの周りに集まって来た。そしてゴルドがロゼリアの前に立つ。
「えぇぇぇ?!あ・・の・・私・・・」
ロゼリアは男達の圧力に声も出せずにいるとゴルドが厳つい顔を緩ませてロゼリアの頭に手を乗せた。
「ロゼリア。助かったぜ!!ありがとな!!お前が居なかったら死人が出るところだったんだ!!これから何か困った事があったら俺達に何でも言ってくれ!!俺達が全力で協力するからな!!・・もちろんこの事は内緒だ!!」
「は、はい・・・」
ロゼリアがぎこちない笑顔を見せるとゴルドが冒険者達に振り向く。
「よおぉぉし!!お前ら覚えとけ!!ロゼリアの事を部外者に喋った奴は俺が鼻から指突っ込んで脳みそこちょこちょしてやるからな!!!分かったな!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!誰が命の恩人を裏切るかぁぁぁぁぁ!!安心してくれ!!」
冒険者達は笑いながら頷いてロゼリアに親指を立てるのであった。
ロゼリアはフッと笑みを溢した。いつもは厳つくて気性が荒い冒険者の違う一面を見た気がしたのだった。
「よぉし!お前ら!!ロゼリアのお陰でまた戦える!!ウィランダの街を守り切るぞ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ゴルドが檄を飛ばすと男達はロゼリアに笑顔を向けながらギルドを出て行くのだった。
ロゼリアは冒険者を見送った後、力が抜けたように椅子に座り机に突っ伏した。
「ログさん・・・貴方は一体何者なんですか・・・」
ログと冒険者達の奮闘により街の周りの魔物は粗方片付いていた。何故か大半の魔物は怯えて逃げて行ったのだった。
「何とか追い払ったか・・・だがまだ・・・終わりじゃ無い・・・でも流石に・・・痛っ・・」
ログはドラゴニュートにやられた脇腹を押さえて顔を歪める。すると突然足元に魔法陣が広がった!
ログは弾けるように街の方を振り返る!!
(何だ?!この馬鹿でかい魔力は?!それに・・これは回復魔法・・・それもかなり高位の魔法だ。街とその周辺を飲み込む程の魔力・・・一体何が起こっている・・・)
考え込みながら何気なく身体を動かしてみると脇腹はもちろんの事悪い所が見当たらない程良くなっていた・・・そしてログは何気なく右手の甲を見て目を見開いた。
(ふ、古傷が・・・無くなってる!!何年も経った傷が跡形もなく消えた?!何だこの出鱈目な魔法は・・・あの街には神でも居るのか・・・?)
ログは興味をそそられ街を眺めていると突然森の奥から魔物の鳴き声がこだました!
「グギャブェェェェェェ!!!!」
「グゲェェェェェェェェ!!!!」
「な、何だ?!今度は何だ!?」
冒険者達が騒めき浮足立って声のする方を不安な面持ちで見ると段々その姿が見えて来た。
ずしぃぃぃぃん・・・べきばきべき・・・
ずしぃぃぃぃん・・・ばきばきばき・・・
「な、何だよアレは・・・」
唖然とする冒険者達の前に現れたのは体長20mを越え八本の長い首を唸せて口から涎を撒き散らし八本の尾を引き摺りながら向かってくる得体の知れない魔物であった・・・
冒険者達は呆然としながら立ち尽くしていた。
「・・・オロチ・・あれは八岐大蛇だ!!」
ログが絶望感を震わせながら声を上げた。
「オロチ?!」
よりによって厄介な奴が・・・何なんだこの世界は?!先ずオロチを倒すには・・・身体の中にある核を粉砕するしか無い・・だが・・
流石のログも八岐大蛇を倒す策が思いつかなかった。神獣であるオロチは神力で護られ八本の首からは六属性のブレス。毒や麻痺と状態異常のブレスを放つのだ。今の自分のレベルでは絶望的な相手であった。
(何か無いのか?!くそっ!!何とか・・)
ログは勝利の可能性を模索するが考えが全く浮かばなかった。その間にも一歩一歩踏み締めるように向かってくるオロチを前に冒険者達が立ち尽くしていた。
すると街の入口からゴルド達が士気高らかに飛び出してきた。
「俺達もやるぞぉぉぉぉぉ!!!」
「うっ・・・うおっ?!何だありぁぁぁぁ?!」
ゴルド達もオロチを前に一瞬怯むが立ち尽くす仲間達の元へ駆け寄りながら檄を飛ばす!
「何をボーッとしている!!考えても始まらん!!ありったけの攻撃を浴びせろ!!考えるのはそれからだ!!!!」
考え込んで固まっていたログも我に返り顔を上げた。
「ふふ・・そうだよな・・・俺とした事が・・よおぉぉぉぉし!!全力全開で総攻撃だぁぁぁ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ログの号令に今まで戦っていた冒険者達の士気が上がりオロチへと向かっていく!!
「お、おう・・ログの奴・・性格変わったのか・・・?そ、そんな事は後だ!!よし!魔法使いは頭を狙え!!俺達もいくぞぉぉぉぉぉ!!!」
ゴルド達もログ達の後に付いてオロチに切り掛かっていく!!
するとオロチが立ち止まり大きく長い首が冒険者達の頭上に降ってくる!!
「させるかぁぁぁ!!これでも喰らえぇ!」
ズドドドドドドドドォォォ!!!
「グロロロロロロロ・・・・」
ログの力で威力が上がった魔法使い達の魔法がオロチの頭や首に命中する!!
するとオロチは首をうねらせ嫌がるようにグラついた。
「まさか・・き、効いてるのか?!よし!魔法攻撃を続けてくれ!!俺達は脚だ!!脚を狙って倒すんだ!!!」
「おおう!!!了解だぁぁぁ!!!」
ログの号令に冒険者達は四本の極太の脚に切り掛かった!
それにしても・・この世界の八岐大蛇はこの程度なのか・・・俺の思い過ごしだったのか・・・
ログがオロチを見上げていると、遂にオロチの巨体がぐらついてゆっくりと崩れ落ちて行く!!
ずずぅぅぅん・・・・
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「や、やったぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ざまぁ見やがれぇぇぇぇ!!!」
「待て!!オロチがこの程度でやられる訳が無い!!!油断するな!!!」
ログがはしゃぐ冒険者を諌めるように声を上げる!!
しかしゴルドがオロチに近寄りオロチの頭をコツコツと蹴りながら首を傾げる。
「なあ、こいつ・・・もう死んでるんじゃねぇか?」
「ば、馬鹿な・・そんな筈は・・・」
ログはオロチの大きな頭に恐る恐る近寄り剣で突き刺した。しかしオロチは再び動く事はなかった・・・
(し、死んでる・・・何故だ・・・何がおかしい・・何だこの違和感は・・・)
ログは眉間に皺を寄せながら倒れた八岐大蛇を見据えるのであった。
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男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
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フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
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初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
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