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第102話 帰ってきた!

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しばらく走るとメルト村が見えて来たのだが3年前とは様子が違っていた。

高さ3m程の丸太を打ち込み村全体を囲んであり見ただけで頑丈な作りになっているのが分かった。
それに何より3年前より村が2回り程大きくなっていたのだ。

「わー・・・凄い・・・メルト村が・・・まるで町みたいになってる・・・」

ミハエルは馬車の窓から顔を出して目をパチクリさせていた。

「どう?だいぶ立派になったでしょう?私も手伝ったのよ!
村の柵には私が付与魔法で物理防御と魔法防御を付与してあるわ!!並大抵の事じゃびくともしないわよ!!」

アンリルはドヤ顔で胸を張る!

「本当ね!こんな大きな村を見るのは初めてよ!それにこの森はいいわよ!精霊達が凄く元気よ!!」

「ま、まさかこの辺の木はみんなトレントとか言わないでよ・・・」

ライナードが恐る恐る聞くとサリアはニヤリと笑う。

「もちろんそうよ!精霊達を怒らせればトレントになるわよ!!・・気をつけてね・・ふふっ・・」

「そ、そうなんだ・・・」

ライナードが緊張の面持ちで辺りを見回す。

「森に入った時からなんだか気配がすると思ったら精霊達なのね。サリアが森に入ったからざわついているのね。」

カリンが馬車の窓から外を見るとあちらこちらに光の粒のようなものが舞っているように見えた。

「そう見たいね。それにしても・・元気過ぎるわね・・・どうしてかな・・・?」


馬車が村に着いて皆が降りると4つの大きな気配が現れサリアの元に跪いた。

「主様。森の精霊エントでございます。」
「主様。土の精霊ベヒモスであります。」
「主様。風の精霊ジンでございます。」
「主様。水の精霊クラーケンでございます。」

森に住まう上級精霊達であった。そして気付けばその後ろには中級精霊から下級精霊までが跪き頭を下げていた。

「お・・・ぉう・・・こ、これは・・・」

ガインを始め男達が目を見開き後ずさっていく・・・

「ガインさん。大丈夫ですよ。サリアさんは神精霊使いです。
森の精霊達が挨拶に来たんですよ。いつもの事ですよ。」

「そ、そうなのか・・・も、森の中には・・こんなにも・・・」

ミハエルが慣れた口調で説明するが肩の力が抜けないガイン達であった。

「主様。この度のご訪問感激至極でございます。」

代表して森の上級精霊エントが口を開いた。

「皆んなありがとう。そうか!4人も上級精霊が居るから皆んなが元気なんだね!!
この森は精霊達にとって居心地の良い場所なんだね。」

「はい。その通りでございます。この森はこの大陸で一番精霊達が集う森でございます。それにこの村の者達も森を大切にしてくれます。ですので森の木々達も喜んで役に立とうと張り切っております。」

ガインは精霊達の声を聞いて頬に冷たい汗が伝う。

「な、な、何だと・・・木々に・・そ、そんな感情があったのか・・・ま、待てよ・・森の木に小便したのは・・良いのか・・・?」

「ふふ・・身体に似合わない控えめなイチモツを微笑ましく見ておりますよ・・・ふふっ」

エントが微笑みながらガインの股間を優しく見るとその場の全員がガインの股間を凝視する!

「ぬ、ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!ち、違うぞ!!そ、その時は!あ、あの時は!!いざとなったら・・・!!ち、違うんだぁぁぁぁーーー!!!」

ガインは訳の分からない事を口走りそのまま村に入って行った。

「ふふっ・・これからガインのあだ名はお孫さんね・・・」

皆が苦笑いでガインを見送るとアンリルはそれに続いて歩き出す。

「さあ!私達も中に入りましょう!!」
「うん!そうだね!!早く行こう!」

ミハエル達は心なしか足を速めるのであった。


「ミハエル!!!お帰りなさい!!」
「あっ!!母さん!ただいま!!」

村へ入るや否や母ソフィアがミハエルに駆け寄り抱きしめる!!

「おぶっ!!」

「こんなに大きくなって・・・」

ソフィアはミハエルを胸に収めて嬉しさに浸る。

(あぁ・・・あんな風に育てられたのね・・・通りで・・・)

(そうね・・・お母さんが基準なのね・・)

(まあ、なんにせよ幸せそうで良いじゃないか!)

サリア達は微笑ましく母の胸に収まったミハエルを眺めていた。

「ぶはぁぁ!!ふう!!母さん!友達を紹介するよ!!」

ソフィアはミハエルを解放するとサリア達の方に目を向け深々とお辞儀をする。

「皆さん。ミハエルがお世話になっています。母親のソフィアです。よろしくお願いします。」

サリア達は慌てて背筋を伸ばす。

「あっ・・いえいえお世話になってるのは私達の方です。わ、私はサリアです。こちらこそよろしくお願いします。」

「私はカリンです。よろしくお願いします。」

「僕はライナードと言います。こちらこそよろしくお願いします。」


「ふふ。皆さん挨拶はこれぐらいにしてお昼ご飯にしましょうか。さあ!こっちですよ。」

皆がソファの案内で歩きだすと家の影からひょっこりニーナが顔を出した。

(ミハエル君・・背が高くなって・・カッコ良くなって・・・な、なんだろう・・何か私・・緊張してる・・・?)

ニーナは顔を赤く染めてミハエルに声を掛けれず後ろ姿を見送るのであった。


「おい!あれか?ここらの山賊や盗賊がビビッて手を出さない村ってのは。」

小高い丘から馬に跨り銀色のフルプレートの鎧を着た中年の男が300人の騎士を引き連れメルト村を見下ろす。

「はい。何でも冒険者崩れが村長をやってるらしくて腕が立つらしいです。その中でもS級冒険者のアンリルって魔法使いがずば抜けて強いそうです。」

「ほう。あの〈真実の剣〉の魔法使いか・・・まあ、魔法使いなんぞ魔法を撃たせなければいいだけの事だ。この帝国騎士団長〈重騎士〉レバイド様の敵では無いわ!!」

・・・相当溜め込んでいるに違いないぞ・・駄賃代わりに寄って行くか・・・その後は・・・いつも通り・・・くっくっく・・・
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