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第94話 旅路の報告
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ミハエル達は日が傾き始めた頃にクラインド王国に着き直ぐにクラインド王に報告すべく謁見していた。
「おお!よくぞ戻ったミハエル!良くやってくれたのぉ!セルフィア王から謝罪文と賠償金が届いておるぞ!相当懲りたらしいのう。これでセルフィア王国の在り方も多少なりとも変わると良いのだがな・・・」
王様は満足げに頬を綻ばせながら背もたれに身を預ける。
「はい。僕もそう願っています。それはいいとしてもう一つ重大な報告があります。」
ミハエルは真剣な顔でクラインド王を見る。
「ふむ。後ろの者達が関係するのじゃな?ミハエルよ話してみよ。」
「はい。」
ミハエルは『闇と光の物語』の真実と光のメイシスの仲間達の事〈暗黒神ルビラス〉の復活の事を順追ってクラインド王に報告した。
するとクラインド王は始終感嘆の声を上げ食い入るようにミハエルの話に聞き入った。
「・・・という事で皆をここへ連れて来ました。」
ミハエルが話し終わるとクラインド王は深呼吸をしながら背もたれに身体を預けた。
「なんと・・・たったこの数日の間にそんな事が・・・驚き過ぎて少し疲れたぞ・・・それにしてもミハエルはいつでもトラブルの渦中におるのだな・・・まるでミハエルを中心に世界が回っているようだのう・・・。
・・・ふむ。なんにせよミハエルの元に集った仲間達よ!歓迎するぞ!今宵は王宮にて晩餐の用意させよう。そしてもっと詳しく物語の内容を聞かせてくれ!」
「はい!喜んで!」
ミハエルは笑顔で答えるのだった。
その晩王宮にてクラインド王と妃、第一王子、第二王子、第一王女との晩餐が開かれた。
「ミハエルよ。わしの妻と息子と娘も話を聞きたいと言うのでな同席させたが良いな?」
「はい!こちらこそお会いできて光栄です。」
とは言うものの・・・王子様達はあまりいい雰囲気ではなさそうだね・・・
「私は妻のイメルダよ。貴方がミハエル君ね?噂は聞いているわ。」
「私は第一王女のクレラよ。本当に見た目は子供なのね!今日はどんなお話をしてくれるのか楽しみよ!」
「第一王子のリベルトだ。」
「第ニ王子のウェルドだ。どんな厳つい奴かと思ったらまだガキじゃねぇか?!」
ウェルドが吐き捨てるように言うとアンリル達の雰囲気が一気に変わった。
クラインド王は背筋に寒気を感じて慌てて声を上げる。
「黙れ!!ウェルド!!口がすぎるぞ!!」
「は、はい。申し訳ありません。父上・・」
ウェルドはクラインド王に怒鳴られ渋々黙りミハエルを睨みつける。
「皆すまんな。こやつは形は大きいがまだまだ未熟者なのだ。許してやってくれ。
それよりさあ!冷めないうちに食べるのじゃ!そしてこの数日の出来事を詳しく話して聞かせてくれ!!」
ミハエルが皆を見渡すと笑顔で頷く!
「「「「「「いただきます!!」」」」」」
そして目の前の料理に襲い掛かるのであった。
妻のイメルダと第一王女のクレラはミハエル達の食べっぷりを微笑ましく見ていたが2人の王子は眉間に皺を寄せて冷たい目で見ていた。
こんなガキが〈剣聖〉の俺より強いだと?!父上も冗談が過ぎるぞ・・・
ふん!どうせ何かカラクリがあるに決まっている!!こんなガキがフェンリルを倒せる訳が無いぜ!!見てろよ・・化けの皮を剥いでやる・・・
やれやれ・・・王子達の悪意が膨らんでるね・・何か仕掛けてくるのかな・・取り敢えず様子を見ようか・・・
「さて・・皆、お腹は落ち着いたかのぉ?もうそろそろセルフィア王国への旅路の話を聞かせてくれぬかのぉ?」
クラインド王が子供のように目を輝かせてミハエル達を見渡した。
ミハエル達もお腹を摩りながらひと心地付いてデザートを待ち侘びているところであった。
すると2人の王子の雰囲気を感じ取り果実酒でほろ酔いのアンリルが口火を切った。
「話の前に王子様の2人に忠告があるわ!」
「「んっ?!」」
アンリルの言葉に2人の王子はアンリルに振り向く。
「お2人はミハエル君にあまり良い感情を持ってないですね?その理由は予想がつくわ。
だけど見た目で判断すると大変な事になるわよ?そうやってちょっかいをかけた奴らが半殺しになったのを何度も見てるの。お2人はレベル300前後の〈剣聖〉だと天狗になっているようだけどミハエル君に近づく事すら出来ないでしょうね。決して馬鹿な戦いを挑まないようにね。」
アンリルが子供に言い聞かせるような口調で2人の王子の顔を見ると王子2人は目尻が小刻みに震えていた。
ミハエルはアンリルを肘で突く。
(ねえ!アンリルさん!!わざとなの?!それは忠告じゃなくて喧嘩を売ってるんだよ!!これはまずい事になるよ・・・)
(あの様子じゃあ遅かれ早かれそうなるわよ。話の途中よりも最初に済ましておいた方が良いでしょ?)
ミハエルとアンリルが小声で話していると2人の王子が勢いよく立ち上がる!
「よせ!!リベルト!ウェルド!止めるのじゃ!!」
「父上は黙っていてくれ!ここまでコケにされては男が廃る!!」
リベルトは勢いに任せて剣の柄を握り剣を抜いた・・筈だった・・・しかし構えた手には剣は無く何事も無かったように鞘に収まっていた。
「なっ?!何が起こった・・・確かに剣を抜いた筈・・・」
リベルトが構えた手と鞘に収まった剣を交互に見ながら呆然としていた。
「リベルト兄さん!どうしたんだ?!兄さんがやらないんだったら俺がやるぞ!!」
「いやっ!!待て!ウェルド!何かがおかしい・・・」
リベルトの静止を無視してウェルドが剣を抜いた・・・筈だった・・・
・・・チンッ
しかしそこにはウェルドの剣を鞘に収めるミハエルの姿があった。
「な、な、なんだと・・・いつの間に・・・」
ウェルドは震えながら後退りミハエルから距離を取る。
そしてミハエルは2人の王子に深々と頭を下げる。
「リベルト様、ウェルド様、ごめんなさい。アンリルさんはお酒が入っていますので少し言葉が過ぎたみたいです。大目に見てやってください。」
そのミハエルの言葉に2人の王子は顔を見合わせて小さく頷くと静かに席に戻る。
「ま、まあ。酒の席だ・・・そう言う事もあるだろう。俺も少し大人気なかったな・・」
「あ、あぁ・・そ、そうだな兄さん・・・宴の席で剣はいけないな・・・さ、さぁ話を聞こうか・・・」
2人は背筋を伸ばして何事も無かったように振舞っていた。
(ふぉふぉふぉ・・・ミハエルめ・・2人のプライドを傷つける事なくうまく纏めおったわ・・さすがじゃな・・・)
クラインド王がふと見ると何が起こったのか分からずポカンとする妻のイメルダの顔があった。
イメルダは目線に気付いて我に返ると空いた口を閉じて座り直す。そして思わず思った事を素直に聞いてしまった。
「ミハエル・・・君。・・・貴方は本当に7歳なの?」
その質問に皆も気になっていたのか皆の視線がミハエルに集まる。
「はい!ピッチピチの7歳です!!」
ミハエルは満面の笑みで首を傾げた。
「ぷっ・・ぶわっはっはっはっはぁ!!!俄には信じれんがそう言う事にしておいてやろう!!」
クラインド王が膝を叩いて笑い出すと皆も表情が緩ませて笑い出す!
「ふふっ!面白い子ね!気に入ったわ!!クレラのお婿に来てくれないかしら?」
「もう!お母様!!・・・もう・・」
クレラが満更ではなく赤くなると咄嗟にサーシャが立ち上がる!
「駄目よ!!ミハエル君は・・・私tごにょごにょ・・・」
「まぁ?!クレラのライバルがいるようね!ふふふっ・・・」
イメルダの悪戯っぽく笑うとサーシャは顔を真っ赤にして急いで椅子に座る。
「も、もう知らない!!」
「ふぁっはっはっは!!さぁ!和んだ所で話の続きを聞かせてくれ!!」
クラインド王が満面の笑みで声を上げる。
その夜は旅路の話しに花が咲き王様達の感嘆の声が何度も響き渡った。
2人の王子もミハエルの力の片鱗に触れて自分達の考えを改め日々精進する事を決意するのであった。
「おお!よくぞ戻ったミハエル!良くやってくれたのぉ!セルフィア王から謝罪文と賠償金が届いておるぞ!相当懲りたらしいのう。これでセルフィア王国の在り方も多少なりとも変わると良いのだがな・・・」
王様は満足げに頬を綻ばせながら背もたれに身を預ける。
「はい。僕もそう願っています。それはいいとしてもう一つ重大な報告があります。」
ミハエルは真剣な顔でクラインド王を見る。
「ふむ。後ろの者達が関係するのじゃな?ミハエルよ話してみよ。」
「はい。」
ミハエルは『闇と光の物語』の真実と光のメイシスの仲間達の事〈暗黒神ルビラス〉の復活の事を順追ってクラインド王に報告した。
するとクラインド王は始終感嘆の声を上げ食い入るようにミハエルの話に聞き入った。
「・・・という事で皆をここへ連れて来ました。」
ミハエルが話し終わるとクラインド王は深呼吸をしながら背もたれに身体を預けた。
「なんと・・・たったこの数日の間にそんな事が・・・驚き過ぎて少し疲れたぞ・・・それにしてもミハエルはいつでもトラブルの渦中におるのだな・・・まるでミハエルを中心に世界が回っているようだのう・・・。
・・・ふむ。なんにせよミハエルの元に集った仲間達よ!歓迎するぞ!今宵は王宮にて晩餐の用意させよう。そしてもっと詳しく物語の内容を聞かせてくれ!」
「はい!喜んで!」
ミハエルは笑顔で答えるのだった。
その晩王宮にてクラインド王と妃、第一王子、第二王子、第一王女との晩餐が開かれた。
「ミハエルよ。わしの妻と息子と娘も話を聞きたいと言うのでな同席させたが良いな?」
「はい!こちらこそお会いできて光栄です。」
とは言うものの・・・王子様達はあまりいい雰囲気ではなさそうだね・・・
「私は妻のイメルダよ。貴方がミハエル君ね?噂は聞いているわ。」
「私は第一王女のクレラよ。本当に見た目は子供なのね!今日はどんなお話をしてくれるのか楽しみよ!」
「第一王子のリベルトだ。」
「第ニ王子のウェルドだ。どんな厳つい奴かと思ったらまだガキじゃねぇか?!」
ウェルドが吐き捨てるように言うとアンリル達の雰囲気が一気に変わった。
クラインド王は背筋に寒気を感じて慌てて声を上げる。
「黙れ!!ウェルド!!口がすぎるぞ!!」
「は、はい。申し訳ありません。父上・・」
ウェルドはクラインド王に怒鳴られ渋々黙りミハエルを睨みつける。
「皆すまんな。こやつは形は大きいがまだまだ未熟者なのだ。許してやってくれ。
それよりさあ!冷めないうちに食べるのじゃ!そしてこの数日の出来事を詳しく話して聞かせてくれ!!」
ミハエルが皆を見渡すと笑顔で頷く!
「「「「「「いただきます!!」」」」」」
そして目の前の料理に襲い掛かるのであった。
妻のイメルダと第一王女のクレラはミハエル達の食べっぷりを微笑ましく見ていたが2人の王子は眉間に皺を寄せて冷たい目で見ていた。
こんなガキが〈剣聖〉の俺より強いだと?!父上も冗談が過ぎるぞ・・・
ふん!どうせ何かカラクリがあるに決まっている!!こんなガキがフェンリルを倒せる訳が無いぜ!!見てろよ・・化けの皮を剥いでやる・・・
やれやれ・・・王子達の悪意が膨らんでるね・・何か仕掛けてくるのかな・・取り敢えず様子を見ようか・・・
「さて・・皆、お腹は落ち着いたかのぉ?もうそろそろセルフィア王国への旅路の話を聞かせてくれぬかのぉ?」
クラインド王が子供のように目を輝かせてミハエル達を見渡した。
ミハエル達もお腹を摩りながらひと心地付いてデザートを待ち侘びているところであった。
すると2人の王子の雰囲気を感じ取り果実酒でほろ酔いのアンリルが口火を切った。
「話の前に王子様の2人に忠告があるわ!」
「「んっ?!」」
アンリルの言葉に2人の王子はアンリルに振り向く。
「お2人はミハエル君にあまり良い感情を持ってないですね?その理由は予想がつくわ。
だけど見た目で判断すると大変な事になるわよ?そうやってちょっかいをかけた奴らが半殺しになったのを何度も見てるの。お2人はレベル300前後の〈剣聖〉だと天狗になっているようだけどミハエル君に近づく事すら出来ないでしょうね。決して馬鹿な戦いを挑まないようにね。」
アンリルが子供に言い聞かせるような口調で2人の王子の顔を見ると王子2人は目尻が小刻みに震えていた。
ミハエルはアンリルを肘で突く。
(ねえ!アンリルさん!!わざとなの?!それは忠告じゃなくて喧嘩を売ってるんだよ!!これはまずい事になるよ・・・)
(あの様子じゃあ遅かれ早かれそうなるわよ。話の途中よりも最初に済ましておいた方が良いでしょ?)
ミハエルとアンリルが小声で話していると2人の王子が勢いよく立ち上がる!
「よせ!!リベルト!ウェルド!止めるのじゃ!!」
「父上は黙っていてくれ!ここまでコケにされては男が廃る!!」
リベルトは勢いに任せて剣の柄を握り剣を抜いた・・筈だった・・・しかし構えた手には剣は無く何事も無かったように鞘に収まっていた。
「なっ?!何が起こった・・・確かに剣を抜いた筈・・・」
リベルトが構えた手と鞘に収まった剣を交互に見ながら呆然としていた。
「リベルト兄さん!どうしたんだ?!兄さんがやらないんだったら俺がやるぞ!!」
「いやっ!!待て!ウェルド!何かがおかしい・・・」
リベルトの静止を無視してウェルドが剣を抜いた・・・筈だった・・・
・・・チンッ
しかしそこにはウェルドの剣を鞘に収めるミハエルの姿があった。
「な、な、なんだと・・・いつの間に・・・」
ウェルドは震えながら後退りミハエルから距離を取る。
そしてミハエルは2人の王子に深々と頭を下げる。
「リベルト様、ウェルド様、ごめんなさい。アンリルさんはお酒が入っていますので少し言葉が過ぎたみたいです。大目に見てやってください。」
そのミハエルの言葉に2人の王子は顔を見合わせて小さく頷くと静かに席に戻る。
「ま、まあ。酒の席だ・・・そう言う事もあるだろう。俺も少し大人気なかったな・・」
「あ、あぁ・・そ、そうだな兄さん・・・宴の席で剣はいけないな・・・さ、さぁ話を聞こうか・・・」
2人は背筋を伸ばして何事も無かったように振舞っていた。
(ふぉふぉふぉ・・・ミハエルめ・・2人のプライドを傷つける事なくうまく纏めおったわ・・さすがじゃな・・・)
クラインド王がふと見ると何が起こったのか分からずポカンとする妻のイメルダの顔があった。
イメルダは目線に気付いて我に返ると空いた口を閉じて座り直す。そして思わず思った事を素直に聞いてしまった。
「ミハエル・・・君。・・・貴方は本当に7歳なの?」
その質問に皆も気になっていたのか皆の視線がミハエルに集まる。
「はい!ピッチピチの7歳です!!」
ミハエルは満面の笑みで首を傾げた。
「ぷっ・・ぶわっはっはっはっはぁ!!!俄には信じれんがそう言う事にしておいてやろう!!」
クラインド王が膝を叩いて笑い出すと皆も表情が緩ませて笑い出す!
「ふふっ!面白い子ね!気に入ったわ!!クレラのお婿に来てくれないかしら?」
「もう!お母様!!・・・もう・・」
クレラが満更ではなく赤くなると咄嗟にサーシャが立ち上がる!
「駄目よ!!ミハエル君は・・・私tごにょごにょ・・・」
「まぁ?!クレラのライバルがいるようね!ふふふっ・・・」
イメルダの悪戯っぽく笑うとサーシャは顔を真っ赤にして急いで椅子に座る。
「も、もう知らない!!」
「ふぁっはっはっは!!さぁ!和んだ所で話の続きを聞かせてくれ!!」
クラインド王が満面の笑みで声を上げる。
その夜は旅路の話しに花が咲き王様達の感嘆の声が何度も響き渡った。
2人の王子もミハエルの力の片鱗に触れて自分達の考えを改め日々精進する事を決意するのであった。
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