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第74話 帰還1

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「もう行ってしまうのね・・・いつでも遊びに来てね!いっぱいご飯作って待ってるわ!」

エミリが名残惜しそうに肩を落とす。

「はい!またご馳走になりに来ます!!ありがとうございました!

皆が揃って頭を下げると屋敷の前に止めてある馬車に乗り込んで行く。

「ミハエル君・・今度はゆっくり遊びに来てね!それまでにこの指輪で強くなってびっくりさせるわ!!またねー!!!!!」

サーシャが笑顔で大きく手を振る!

「うん!期待してるよ!!サーシャもクラインド王国に遊びに来てね!」

馬車の窓から顔を出していつまでも手をふり返すのであった。


ふう・・・さてと。
負けず嫌いなのか逆恨みなのかどっちにしても懲りないね・・・

ミハエルはサーシャの屋敷の前で覚えのある悪意を感じていた。


セルフィア王国を後にしてしばらくすると後ろから豪華な馬車が迫ってくる。

やっぱり来たね・・・あれ?4人・・・なるほどねやっぱりクズがする事はいつも一緒だね。

「皆んな!クラインド王国に帰る前にもう一仕事片付けないといけないよ!」

「えっ?!何をするんですか?」

サリアがキョトンとするがアンリルは察していた。

「襲撃ね!相手は検討が付くけどね・・でもこの馬車を狙うなんて気の毒でならないわね・・・」

そんな話をしていると馬車が急に止まる。

「わっと!!・・来たわね!」

「アンリルさん!どうするんですか?!僕達も行った方がいいですか?!」

ライナードが意気込むがミハエルが立ち上がる。

「大丈夫だよ。僕が行って来るよ。さっさと片付けて先を急ぐよ!」

しかしミハエルが扉に手をかけると外から怒号がきこえる。

「サリア!!ライナード!!カリン!!そこにいるのは分かっているぞ!!さっさと降りてこい!!」

やっぱりか・・・

聞き慣れた気分が悪くなる声が響き渡る。

「私を首にしたくせに・・・しつこい男ね・・・」

サリアが静かに立ち上がるとライナードとカリンも立ち上がり3人は目で会話をして頷く。

「ミハエル君。ここは私達でかたをつけて来るわ!」

「僕もあんな奴の所に戻る気は無いからね!」

「私もあんな嫉妬深い男大嫌いよ。いい機会だからどれだけ自分が大した事ないか教えてあげるわ!」


そうだね。ここでケジメを付けておいた方が良いね。それに・・この3人なら心配いらないしね。

ミハエルは頷いて馬車の扉を開ける。

「うん。分かったよ。心配はしてないけどいざとなったら手を出すからね?」

「分かったわ!じゃあ行って来るわ!」

3人は軽い足取りで馬車を降りていく。ミハエルとアンリルも念の為馬車から降りて待つ事にした。

馬車から降りると案の定〈八星魔導士〉ミゲルを始め4人が現れた。


ん・・・4人?もう1人は・・・フェルバーが居ない・・

サリアが当たりを見渡して伏兵を警戒している。

(ねえ、あと1人はもしかしたら・・・)
(多分そうだね・・でも・・・)

ミハエルが微笑むとアンリルは察して微笑む。


確かフェルバーは〈魔法戦士〉・・どっち付かずの起用貧乏・・・面と向えば怖くはないけど奇襲には適しているのよね・・

サリアが気配を探っていると自分を無視している態度にミゲルが苛つく。

「ちっ!お前ら!何勝手に抜けてんだよ?!この俺が王様に怒られたじゃねーか!!とっとと戻ってこい!!」


「ふん!お断りよ!!あんたが首にしたんじゃないの!!せめて土下座でもして頼みなさいよ!!また顎を砕かれたいの?!」

「給料ピンハネするクズの所になんか戻るもんか!!王様には報告したからね!それで怒られたんだろう?!自業自得だ!!」

「本当!最低のクズよ!!早くそこを退かないとぶっ飛ばすわよ?!」


「うるさい!!うるさい!!うるさい!!俺がルールなんだよ!!俺が戻れと言ったら戻ればいいんだ!!さっさと来い!!」

ミゲルが顔を真っ赤にして癇癪を起こし叫び散らす!!


「はあ、もう面倒だわ!”顕現せよ炎の精霊イフリート!!”」

「言っても無駄だね!!”大気の力よ我手に集え!エアシュート!!」

「もうぶっ飛ばす!”闇よ集え!ダークボール!!」

3人が問答無用で魔法を発動してびっくりしたミゲルが切り札を切る!

「お、おい!!そ、そんな事をしていいのか?今フェルバーがどこに居ると思う?」

その瞬間サリアは気付いた。しまったと落胆する。

「卑怯者!!クズはやっぱりクズね!!サーシャ達に何かあったら・・・殺すわよ!!」

サリアが全力で魔力を解放する!!

「えっ?!まさか!!・・・くっ!許さないぞ!クズ共!!」

ライナードの全力の魔力がミゲルに向けて放たれる!!

「なんてクズなの?!サーシャさんに傷でも付けたらあんた達・・・この世から消してやるわ!!」

カリンの黒い魔力が溢れて広がる!!


この時ミゲルを始め他のメンバーは後悔していた・・ここで大人しくなると思っていたのだ・・・1番効果的だと思っていたのに全力で怒らせてしまったのだ。だが・・ここでもくだらないプライドが出てしまう。

「ば、馬鹿かお前らは?!お前らの仲間はこっちにあるんだ!!無駄な抵抗はどうなるか分かるよなぁ?!」

ミゲルが緊張で膝が笑いながら言い放つ。

「くっ・・クズめ・・・見てなさい・・」
「絶対に許さないよ・・・」
「・・サーシャさん達・・無事よね・・」

サリア達が魔法を解除するとミゲル達はホッとして調子に乗る。

「ふん!作戦勝ちなんだよ!!俺達が1枚上手って事だよ!!クックック!!!」

「馬鹿な子達ね・・大人しくしてればいいのに・・・」

「さあ!行くわよ!あんた達の給料は半分よ!覚悟しなさい!!」

「お前らのおかげでこっちも給料減額なんだよ!!どうしてくれるんだ?!」

言いたい事を言いながら〈八星魔導士〉達がサリア達に近付こうとすると目線の先に何が向かって来る事に気付いた。

「お、おい・・な、なんだあれは・・・何か向かって来るぞっ!!!!」

ミゲル達が見た物は身長2m程の人型の何が右手に人の頭を鷲掴みにして引きずりながら走って向かって来る姿であった・・・

「おっ!来たね!」

ミハエルが手を挙げるとその何が立ち止まり手に持った男の頭を鷲掴みにしたままミゲル達の前に突き付ける!

そして悪い顔をしたミハエルが口を開く。

「僕の大切な仲間に悪さしようとしたのは・・・こいつかな?」

ミゲル達同様サリア達もゴーレムに頭を鷲掴みにされて血だらけのフェルバーに唖然とするのだった。

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