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第57話 国境の街イルシス
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「今日はこの街で一泊するわよ。ここは『闇と光の物語』の舞台になった街なのよ。観光者が多くて賑わってるでしょう!」
アンリルはなぜかテンションが上がって馬車から飛び降りる。
「ほら!早く!!」
アンリルに手を引かれて馬車を降りると突然胸がざわつき断片的な映像が頭の中に流れ込んでくる。
剣を持った兵士が次々と村人を刺していく。
逃げ惑う村人。
死体に縋り泣いている子供。
その子供に叫びながら駆け寄る女の子。
はっ!として我に返る。
な、何?!今のは・・・
「ミハエル君?どうしたの?大丈夫?」
アンリルが顔を覗き込む。
「う、うん。大丈夫・・・」
今のは・・記憶・・か・・・
ミハエルは胸の中に違和感を覚えながらアンリルの後を付いて行くと大きな噴水がある広場に出た。そこには『闇のイルバス誕生の地』と立て札が立てられていた。
すると再び映像が流れ込んでくる。
こ、これは・・・ここで起こった記憶だ・・
あれは・・・顔は見えないけど・・イルバスか・・
目の前の黒いオーラを纏った少年が手をかざすと空を埋め尽くす程の黒い矢が何百何千と兵士達に振り注ぐ。
それを止めようと女の子が男の子にしがみつくが振り払われて吹き飛び転がる。
女の子は必死に何かを叫んでいるが駆けつけた両親であろう2人に連れて行かれるのだった。
「・・・ミハエル君?・・ミハエル君!!」
ミハエルはしばらくの間一点を見つめたまま動かなかったらしくアンリルに肩を揺らされて我に返った。
「ねえ!どうしたの?さっきから変よ?」
「あ・・うん・・・さっきからここで起こった記憶が見えるんだ。・・・多分、僕の称号のせいかも知れない。」
心配そうに覗き込むアンリルに正直に答えると少し驚いた顔をするがそれが直ぐに好奇心に変わった。
「ミハエル君!何が見えたの?物語りの通りなの?ここで本当に闇のイルバスが誕生したの?!」
アンリルは嬉々として子供のように目を輝かせていた。
「うん。そうみたいだね。ここで闇のイルバスが誕生したのは確かみたいだね。」
アンリルが興奮してミハエルの手を両手で握る。
「凄い!!凄いわ!歴史を見るなんて!!ミハエル君!!記録しようよ!!もしかしたら今まで分からなかった事まで明らかになるかも!!」
あぁ・・・アンリルさん・・こんなにはしゃいで・・だけど確かに面白そうだね。授業の続きを見れると思えば・・・
「ミハエル・・・あなたには知って欲しい・・いえ、知らなければいけない。私達の事を・・・そう・・あなたは・・・」
ここは・・・
「助けてくれぇぇ!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
聞こえる・・・
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
兵士から逃げ惑う村人がミハエルをすり抜けて行く。
これは・・・当時の記憶・・・なんて事を・・・
「俺達はお前らの為に戦場に行くんだぁぁぁぁ!!だから俺達に尽くせ!!楽しませろ!!慰めろ!!ひゃぁっはっはっはー!!!」
兵士達が逆らう者を斬り殺し女性達に襲い掛かる・・・
まさに阿鼻叫喚の惨劇が繰り広げられていた。
ミハエルの胸のざわめきが段々強くなる。
「お父さん!!お母さん!!どうして?!なんで?!起きてよぉぉぉぉぉ!!!!」
「ふん!!大人しくしてりゃぁいいもんを!抵抗するからそうなるんだ!!馬鹿が!!」
1人の兵士が動かない両親に縋って泣く子供に剣を突きつけている。
「イルバス!!早く逃げてぇぇぇ!!」
声のする方を見ると女の子がイルバスに向かって走ってくる。
「なんで?!どうしてこんな事をする?!どうして?!どうして?!なんで?!これが人間のする事なのか!!!!」
イルバスが叫びながら顔を上げた瞬間!ミハエルは息を飲む。
「えっ?!ぼ、僕にそっくりだ・・・」
するとイルバスの前に黒いもやが降り立ち人型になる。
・・・そうだ・・・これが人間だ・・・お前の全てを奪ったのだ・・・お前の感情を爆発させるのだ!お前には素質がある!共に人間を滅するのだ!!
な、なんだ・・あの黒い人影は・・・
「あれは〈暗黒神ルビラス〉・・イルバスを操り利用した奴よ・・・」
突然背後から声がして振り返るとさっきまで目の前にいた女の子の面影が残る女性が立っていた。
「私はメイシス。はじめまして・・・私達の子孫・・・ミハエル・・あなたは知らなければならないの。ここで何があったのかを。
そして理解して欲しい。今からあなたに伝えます。『闇と光の物語』を。」
アンリルはなぜかテンションが上がって馬車から飛び降りる。
「ほら!早く!!」
アンリルに手を引かれて馬車を降りると突然胸がざわつき断片的な映像が頭の中に流れ込んでくる。
剣を持った兵士が次々と村人を刺していく。
逃げ惑う村人。
死体に縋り泣いている子供。
その子供に叫びながら駆け寄る女の子。
はっ!として我に返る。
な、何?!今のは・・・
「ミハエル君?どうしたの?大丈夫?」
アンリルが顔を覗き込む。
「う、うん。大丈夫・・・」
今のは・・記憶・・か・・・
ミハエルは胸の中に違和感を覚えながらアンリルの後を付いて行くと大きな噴水がある広場に出た。そこには『闇のイルバス誕生の地』と立て札が立てられていた。
すると再び映像が流れ込んでくる。
こ、これは・・・ここで起こった記憶だ・・
あれは・・・顔は見えないけど・・イルバスか・・
目の前の黒いオーラを纏った少年が手をかざすと空を埋め尽くす程の黒い矢が何百何千と兵士達に振り注ぐ。
それを止めようと女の子が男の子にしがみつくが振り払われて吹き飛び転がる。
女の子は必死に何かを叫んでいるが駆けつけた両親であろう2人に連れて行かれるのだった。
「・・・ミハエル君?・・ミハエル君!!」
ミハエルはしばらくの間一点を見つめたまま動かなかったらしくアンリルに肩を揺らされて我に返った。
「ねえ!どうしたの?さっきから変よ?」
「あ・・うん・・・さっきからここで起こった記憶が見えるんだ。・・・多分、僕の称号のせいかも知れない。」
心配そうに覗き込むアンリルに正直に答えると少し驚いた顔をするがそれが直ぐに好奇心に変わった。
「ミハエル君!何が見えたの?物語りの通りなの?ここで本当に闇のイルバスが誕生したの?!」
アンリルは嬉々として子供のように目を輝かせていた。
「うん。そうみたいだね。ここで闇のイルバスが誕生したのは確かみたいだね。」
アンリルが興奮してミハエルの手を両手で握る。
「凄い!!凄いわ!歴史を見るなんて!!ミハエル君!!記録しようよ!!もしかしたら今まで分からなかった事まで明らかになるかも!!」
あぁ・・・アンリルさん・・こんなにはしゃいで・・だけど確かに面白そうだね。授業の続きを見れると思えば・・・
「ミハエル・・・あなたには知って欲しい・・いえ、知らなければいけない。私達の事を・・・そう・・あなたは・・・」
ここは・・・
「助けてくれぇぇ!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
聞こえる・・・
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
兵士から逃げ惑う村人がミハエルをすり抜けて行く。
これは・・・当時の記憶・・・なんて事を・・・
「俺達はお前らの為に戦場に行くんだぁぁぁぁ!!だから俺達に尽くせ!!楽しませろ!!慰めろ!!ひゃぁっはっはっはー!!!」
兵士達が逆らう者を斬り殺し女性達に襲い掛かる・・・
まさに阿鼻叫喚の惨劇が繰り広げられていた。
ミハエルの胸のざわめきが段々強くなる。
「お父さん!!お母さん!!どうして?!なんで?!起きてよぉぉぉぉぉ!!!!」
「ふん!!大人しくしてりゃぁいいもんを!抵抗するからそうなるんだ!!馬鹿が!!」
1人の兵士が動かない両親に縋って泣く子供に剣を突きつけている。
「イルバス!!早く逃げてぇぇぇ!!」
声のする方を見ると女の子がイルバスに向かって走ってくる。
「なんで?!どうしてこんな事をする?!どうして?!どうして?!なんで?!これが人間のする事なのか!!!!」
イルバスが叫びながら顔を上げた瞬間!ミハエルは息を飲む。
「えっ?!ぼ、僕にそっくりだ・・・」
するとイルバスの前に黒いもやが降り立ち人型になる。
・・・そうだ・・・これが人間だ・・・お前の全てを奪ったのだ・・・お前の感情を爆発させるのだ!お前には素質がある!共に人間を滅するのだ!!
な、なんだ・・あの黒い人影は・・・
「あれは〈暗黒神ルビラス〉・・イルバスを操り利用した奴よ・・・」
突然背後から声がして振り返るとさっきまで目の前にいた女の子の面影が残る女性が立っていた。
「私はメイシス。はじめまして・・・私達の子孫・・・ミハエル・・あなたは知らなければならないの。ここで何があったのかを。
そして理解して欲しい。今からあなたに伝えます。『闇と光の物語』を。」
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