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第50話 手紙
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アンリルがギルドマスターの部屋で紅茶を啜る。
「〈勇者〉を殺す・・・その魔族がそう言ってたのね?」
「うん。東の大陸で勇者が誕生したって言ってた。」
アンリルは頭の中で昔の文献の中にある勇者に関する事を紐解いていた。そしてその一節にたどり着く。
「文献によると〈勇者〉は”闇を打ち払い光をもたらす者”こう表現しているの。
過去にも〈勇者〉は誕生していて魔族の脅威から人間を守っているわ。
魔族は〈勇者〉を恐れて焦っているのよ。
恐らく魔族側に〈予言者〉が居るわ。
だから〈勇者〉は東の大陸の何処かにいる筈よ。
だけど・・今回、魔族は〈勇者〉ではなく・・運悪く大当たりを引いてしまったのよ。
魔族の最大の天敵・・〈光の末裔〉をね。
恐らくまたやってくるわよ。ここに〈勇者〉が居ると勘違いしているからね。」
「ア、アンリル殿!今の話だと近いうちに魔族が攻めてくるのか?!」
ギルドマスターのスレインが弾けたように詰め寄る!
「えぇ、そうね。警戒が必要だわ!直ぐにでもクラインド王にも報告して厳重に警戒が必要よ!」
アンリルが勢いよく立ち上がると、それを諌めるようにノックの音が響く。
コンコン。
すると扉を開けてギルドの受付けの女性が赤いリボンが巻かれ丸めた紙を持って入ってきた。
「ギルマス。門兵がこれを白い狼が持って来たと先程ここへ来ました。確認してください。」
スレインが受け取るとそこには”親愛なる勇者ミハエル様へ”と書かれていた。
「ミハエル君。これは君宛らしい。」
スレインは少し困惑しながらミハエルに手紙を渡した。
ミハエルはリボンを解いて紙を広げる。
勇者ミハエル殿
この度の一件厚い慈悲を頂きありがとうございます。
その御恩を返すべく魔王ベルモス様に進言した所、今回の『勇者狩り』を取り止める事となりました。
勇者ミハエル殿のお力になれれば幸いと思います。
ルベーラ
ルベーラお姉さん・・・これが『親切人の為ならず』か・・・良かった・・・
ミハエルは胸を撫で下ろしてなぜかルべーラの胸を思い出す。
すると横から手紙を読んでいたアンリルが人差し指でミハエルのほっぺをぐりぐりする。
『ミハエルくーん・・魔族まで虜にするなんて・・・ソフィアさんになんて言えばいいのかなぁ?」
ミハエルが高速でアンリルに振り向く!
「お母さんには言わないで!心配するでしょ!!」
アンリルは意地悪く指輪を1つ摘んで前に出す。
「これをはめたら口が固くなるんだけどなぁ・・・」
【指輪】
〈効果〉物理攻撃無効
くっ・・・足元を見てくるね・・まぁ、あげるつもりだったから良いけどね・・・
「仕方ないね・・・だけど使用者限定にするよ?」
「もちろん!!ありがとう!!!ミハエル君大好き!!!」
再びミハエルが胸に収まる。
「あ、あの・・・魔族の襲撃の件は・・・」
スレインが遠慮がちに尋ねる。
「あぁ・・大丈夫よ!安心して!ミハエル君が魔族を懐柔して勇者狩りを止めたわ!ほら!」
アンリルがミハエル宛の手紙をスレインに渡した。
スレインは手紙に目を落とすと魔王ベルモスの名を見て固まる。
「・・魔王ベルモス?!・・ミ、ミハエル君が魔王を動かしたのか・・・?君は・・一体・・」
「もういいじゃない!!魔族の襲撃もないし!みんな無事なんだから!難しい事考えないの!!
さあ!!お腹空いた!!皆んなと合流してご飯よ!!」
「うん!!そうしよう!!!」
アンリルとミハエルは立ち上がり部屋を出ていくのだった。
スレインはソファに身を預けて頭を抱える。
「報告書・・・なんて書けばいいんだ・・・」
「〈勇者〉を殺す・・・その魔族がそう言ってたのね?」
「うん。東の大陸で勇者が誕生したって言ってた。」
アンリルは頭の中で昔の文献の中にある勇者に関する事を紐解いていた。そしてその一節にたどり着く。
「文献によると〈勇者〉は”闇を打ち払い光をもたらす者”こう表現しているの。
過去にも〈勇者〉は誕生していて魔族の脅威から人間を守っているわ。
魔族は〈勇者〉を恐れて焦っているのよ。
恐らく魔族側に〈予言者〉が居るわ。
だから〈勇者〉は東の大陸の何処かにいる筈よ。
だけど・・今回、魔族は〈勇者〉ではなく・・運悪く大当たりを引いてしまったのよ。
魔族の最大の天敵・・〈光の末裔〉をね。
恐らくまたやってくるわよ。ここに〈勇者〉が居ると勘違いしているからね。」
「ア、アンリル殿!今の話だと近いうちに魔族が攻めてくるのか?!」
ギルドマスターのスレインが弾けたように詰め寄る!
「えぇ、そうね。警戒が必要だわ!直ぐにでもクラインド王にも報告して厳重に警戒が必要よ!」
アンリルが勢いよく立ち上がると、それを諌めるようにノックの音が響く。
コンコン。
すると扉を開けてギルドの受付けの女性が赤いリボンが巻かれ丸めた紙を持って入ってきた。
「ギルマス。門兵がこれを白い狼が持って来たと先程ここへ来ました。確認してください。」
スレインが受け取るとそこには”親愛なる勇者ミハエル様へ”と書かれていた。
「ミハエル君。これは君宛らしい。」
スレインは少し困惑しながらミハエルに手紙を渡した。
ミハエルはリボンを解いて紙を広げる。
勇者ミハエル殿
この度の一件厚い慈悲を頂きありがとうございます。
その御恩を返すべく魔王ベルモス様に進言した所、今回の『勇者狩り』を取り止める事となりました。
勇者ミハエル殿のお力になれれば幸いと思います。
ルベーラ
ルベーラお姉さん・・・これが『親切人の為ならず』か・・・良かった・・・
ミハエルは胸を撫で下ろしてなぜかルべーラの胸を思い出す。
すると横から手紙を読んでいたアンリルが人差し指でミハエルのほっぺをぐりぐりする。
『ミハエルくーん・・魔族まで虜にするなんて・・・ソフィアさんになんて言えばいいのかなぁ?」
ミハエルが高速でアンリルに振り向く!
「お母さんには言わないで!心配するでしょ!!」
アンリルは意地悪く指輪を1つ摘んで前に出す。
「これをはめたら口が固くなるんだけどなぁ・・・」
【指輪】
〈効果〉物理攻撃無効
くっ・・・足元を見てくるね・・まぁ、あげるつもりだったから良いけどね・・・
「仕方ないね・・・だけど使用者限定にするよ?」
「もちろん!!ありがとう!!!ミハエル君大好き!!!」
再びミハエルが胸に収まる。
「あ、あの・・・魔族の襲撃の件は・・・」
スレインが遠慮がちに尋ねる。
「あぁ・・大丈夫よ!安心して!ミハエル君が魔族を懐柔して勇者狩りを止めたわ!ほら!」
アンリルがミハエル宛の手紙をスレインに渡した。
スレインは手紙に目を落とすと魔王ベルモスの名を見て固まる。
「・・魔王ベルモス?!・・ミ、ミハエル君が魔王を動かしたのか・・・?君は・・一体・・」
「もういいじゃない!!魔族の襲撃もないし!みんな無事なんだから!難しい事考えないの!!
さあ!!お腹空いた!!皆んなと合流してご飯よ!!」
「うん!!そうしよう!!!」
アンリルとミハエルは立ち上がり部屋を出ていくのだった。
スレインはソファに身を預けて頭を抱える。
「報告書・・・なんて書けばいいんだ・・・」
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