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第47話 切り札

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      第47話 切り札
「なあ・・これ・・俺達の出番が無いな・・・」

「そうだな・・・あのゴーレム君達・・強過ぎる・・・」

「そ、そうだね・・予想外の強さだよ・・」

ミハエル達はゴーレム君達が壁となって魔獣からの攻撃から守られていた。
そして外で暴れているゴーレム君達は魔獣に噛まれても関係なく鷲掴みにして叩きつけ、殴りつけ、踏みつけて魔獣達を圧倒していく!空を飛ぶ魔獣はフェンリルの〈咆哮・大〉で叩き落とし、ゴーレム君が踏みつけていた。
15m級のゴーレム君が大地に拳を打ち込めば衝撃で魔獣達は吹き飛び他のゴーレム君達がトドメをさしていた。
既に弱い魔獣達は怯えて片隅でカタカタと震えているのだった。

ルベーラは力無く地面にへたり込む・・・

「ど、どうしてよ・・・こんな筈じゃ無かったのに・・・何よ・・このゴーレムの強さは・・・私の魔獣達が・・・ほぼ壊滅・・・もうアレを出すしか無いの?!」

するとへたり込むルベーラのすぐ後ろにゴーレム君の拳が打ち付けられる!!

どごぉぉぉぉぉぉん!!!

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ずさぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

ルベーラは衝撃でミハエル達を守っているゴーレム君の足元まで吹き飛ばされた。
ゴーレムはルベーラの胴体を鷲掴みにして持ち上げると頭が下を向いた状態になっていた。

「ぐはっ!!は、離して!!ぐふっ!!くっ!苦しい!!た、助けて!!お願いぃぃぃぃ!!!!」

しかしミハエルに敵意を持った相手に容赦する訳もなくゴーレムは地面に叩きつけるべくルベーラを高らかに掲げる。

「お、お願い・・・た、助けて・・・私が悪かったから・・・も、もう来ないから・・・」

ルベーラは必死に懇願するがゴーレムの無表情な顔を見て絶望し下半身から温かいものを垂れ流した。

ゴーレム君が力を入れた瞬間!ゴーレム君の動きが止まる。
ミハエルがゴーレム君の背中を触っていたのだ。

ゴーレム君がルベーラを逆さのまま差し出す。
自分が垂れ流したもので全身が濡れていた。

「今、もう来ないからって言ったよね?それは本当?」

ミハエルがルベーラの顔を覗き込むとうわ言のように答える。

「あ、うぅ・・こ、来ないから・・助けて・・・もう・・来ないから・・・」

「約束だよ!今度来たら根城ごと消すからね?」

ルベーラは逆さでコクコクと頷いた。
するとゴーレム君が手を離しルベーラは頭から地面に落ちる。

ごこん!・・・どさぁ・・・

「ぶはぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

するとヴェイグがルベーラを見下ろして剣を収める。

「はん!魔族もミハエルの前ではおしっこ漏らして命乞いか・・・これに懲りたらもう来るなよ!!」

・・・くっ・・・

しかしこの一言がルベーラに火をつけてしまう・・・

人間のガキ共に・・・こ、こんな恥を・・・このまま帰っても笑者にされるだけ・・・恥を晒すぐらいなら・・・使ってやる!!もうどうなってもいいわ!!!

ルベーラは覚悟を決めてゆっくりと立ち上がる。

「お前・・名は何という?」

(ヴェイグ、アスラン、何か仕掛けて来るよ。ゴーレム君の後ろに隠れていて!)

ミハエルはルベーラの悪意を感じていた。

「僕はミハエル。何をしようとしているか知らないけどやめておいた方が良いと思うよ?」

しかしミハエルの声など耳に入ってないと言わんばかりに続ける。

「私は・・このままじゃ帰れない!これは私の切り札・・・これを出したら・・ただでは済まないわよ?!勇者ミハエル!!最後の勝負よ!!出て来て!!!蛇王バジリスク!!」

ルベーラの声と共にそれは巨大な影の中から禍々しく毒々しいオーラを放ち巨大な胴体をうねりながら這い出して来た。

蛇王バジリスクは頭の赤い立髪を靡かせて、赤い舌をチロチロと出し入れしながらミハエルを見下ろすのだった。

これが切り札か・・・

ミハエルはバジリスクを見上げた。

ルベーラはミハエルがバジリスクを見上げたのを見てニヤリと笑う!

「あははっ!!掛かったな!!バジリスクの目を見たな?!そーら!石になって私に恥をかかせた事を後悔・・すれば・・い・・い・・あれ?」

一向に石化しないミハエルを見て首を傾げる。

「何故?なぜ石化しないの?!どうして?!」

ミハエルは申し訳なさそうに頭を掻く。

「あぁ、悪いんだけど僕に状態異常は効かないよ。もちろんゴーレム君達にも石化なんて効かないよね?岩なんだから・・・」

べルーラは唖然として力無くペタンと座り込んでしまうのだった。
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