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第37話 師匠?!
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ミハエル君・・・大丈夫よね。
まあ、取り敢えずこっちが先決ね。
「傷つき者の傷を癒せ!〈ヒール〉!!」
アンリルの魔力がカイルを包み込むと顔色が良くなり呼吸も穏やかになる。
「う・・ん・・。私はどうなった・・。」
「お父様!!!良かった!!」
ネバルが父親にしがみつく。
「な、何よ・・あいつは?!ふ、不敬罪よ!不敬罪で投獄よ!!」
ローズが叫ぶが、まだ震えが止まらず立ち上がる事が出来なかった。
ふ
「さて。ネバル君だったわね。君は自分の非を認めるのね?」
アンリルが腕を組みをしてネバルを見る。
「はい・・・ミハエル君の言う通り・・です。お父様、ローズお姉様、ごめんなさい・・・」
ネバルは父親と姉を交互に見て項垂れる。
「た、例えそうだったとしても平民が貴族に逆らうなんてあり得ないわ!!不敬罪よ!!」
アンリルはローズの言葉を無表情で受け止める。
「そう。・・・それでカイル・カーバンス子爵様はどうするの?
ミハエル君を不敬罪とやらに問うの?
私はやめておいた方がいいと思うけどね。」
カイルはアンリルの意味ありげな言葉に眉間に皺を寄せる。
「アンリル殿。それはどういう意味だ?
あの子供が何だと言うんだ?!」
「そうね。良い機会だから教えてあげるわ。
ローズちゃんだったわね?あなたが理不尽に不敬罪にしようとしたミハエル君はクラインド王の命の恩人の孫よ!
クラインド王が自らミハエル君を学園に招待したのよ!」
ローズの目がまん丸くなる。
「えっ?!・・そ、そんな・・・う、嘘よ・・じゃあ・・あのまま不敬罪にしてたら・・・」
「そうね。貴方達が逆に不敬罪に問われてたかもね?クラインド王はミハエル君を我が子のように可愛がっているからね。最悪降格もあるわね。」
ローズはミハエルに言った事を思い返して項垂れて震えながら自分の肩を抱き締める。
「アンリル殿!そ、それは本当なのか?!」
カイルが身を乗り出して詰め寄る。
「本当よ!私はクラインド王からミハエル君の近況報告と護衛兼相談役を任されているの。だから巷で噂されてる事はデマよ!
さて・・私はクラインド王に報告をするんだけど・・・どう報告しようかなぁ?」
アンリルは口元を緩めてあさっての方を見るとカイルとローズが弾かれたように立ち上がり
アンリルの前に両膝を付いて縋る!!
「アンリル殿!!ちょっと待ってくれ!」
「アンリルさん!!ちょっと待って!」
「ど、どうしたらいいんだ?!何をしたらいい?!」
「どうしたらいいの?!何をしたらいいの?!」
ぷぷっ。さすが親子ね・・・
2人の息の合った姿に笑いを堪える。
「あんた達がする事は1つでしょう?ミハエル君に許しを乞う事じゃないの?
もしミハエル君が許してくれたら・・・私の報告も優しくなると思うわ。」
アンリルはカイルとローズの焦る顔を見下ろす。
「おお!そうか!!それならば今すぐにでも!」
「そうね!今すぐ行くわ!!」
「僕も行く!!!」
2人は勢いよく立ち上がるとネバルも駆け寄り扉に向かうがアンリルが一喝する。
「待ちなさい!ミハエル君の部屋を知っているの?」
反射的に行動してしまった3人が固まる。
「それと1つ忠告してあげるわ。ミハエル君はスキルで相手の悪意を感じる事が出来るの。保身や仕方なく謝罪しても駄目よ。心から謝罪しないと許してもらえないわよ?さあ・・貴方達に出来るかしら?」
「なっ、スキル?!そんなスキルが・・」
3人は立ち尽くして自分の感情を見直していた。そしてネバルが顔を上げる。
「僕はミハエル君に謝りたい・・・僕は本当にそう思う。」
「おそらくあの子は過去に貴族と何かあったのだろう。それであんなに激昂してしまったんだな・・私も子供相手に大人気なかった・・」
「そうね・・私もネバルの事でイライラしてたから・・・」
カーバンス親子は憑き物が落ちたような表情で反省するのだった。
うん。これならミハエル君に合わせても大丈夫そうね。
「分かったようね!じゃあ行くわよ!」
「ミハエル君・・僕が悪かったよ。君の言う通りだよ。ごめんなさい。」
「私もつい意地になってしまった。すまなかった。」
「私も弟の事でつい言い過ぎたわ。ごめんなさい。」
ミハエルは突然の事でキョトンとしていた。
・・・アンリルさんか・・どんな魔法を使ったか知らないけど、さすが護衛兼相談役だね。悪意も感じられない・・・
「分かってくれたら良いです。こちらこそ少々やり過ぎました。ごめんなさい。」
「ははっ!あれぐらいどうって事ない!これからもネバルと仲良くしてやってくれ!」
本当は死ぬかと思ったけどな・・・
ミハエルはホッと肩の力を抜いて手を差し出す。
「ネバル君!改めてよろしくね。」
「うん。ミハエル君!よろしく!」
ここに仲直りの握手が交わされたのだった。
するとカイルとローズがミハエルの部屋を見渡して唖然としていた。
カーバンス子爵家は代々魔道士の家系であるが、今まで見た事も無い魔法陣や魔法の詠唱が壁に幾つも貼ってあるのだ。
カイルは魔道士として聞かずにはいられなかった。
「ミハエル君・・教えて欲しい。この魔法陣や魔法詠唱の写しは一体どんな魔法なんだ?」
そうか・・・カーバンス家は魔道士家系だったね・・まあ、教えても使えないからいいか!
「これは僕のオリジナル魔法です。例えばこの魔法陣は、地属性で生成した尖った岩を風属性で打ち出して着弾と同時に火属性で爆発させるんです。いわゆる合成魔法です。」
ミハエルが笑顔で説明したがカイルとローズは理解が追いつかずに唖然とする。
「まっ、待ってくれ!確認するが・・君は・・この世界で過去2人しか出来なかった三重詠唱が出来るのか?!」
「えっ?!・・・三重詠唱は普通じゃ無いんですか?」
ミハエルの言葉にカイルとローズは驚愕し目付きが変わった!
「ミハエル君・・・いや!ミハエル殿!!三重詠唱を是非とも見せて欲しい!
魔道を歩む者として目指す境地を見たいのだ!」
えーー!!今更、六重発動出来ますなんて言えない・・・仕方ない・・
「良いですよ。これが初級編の三重詠唱です。」
ミハエルは地属性で外殻を作りその中に火属性で火を灯すと外側を水属性で包みランタンを作り出したのだ。
「おお!!!!こ、これはまさしく三重詠唱!!!!それを無詠唱で!?素晴らしい!!!私達の行き着く先だ!!」
『す、凄い・・・ミハエル君・・いえ!!ミハエル師匠!!!!私を!私を弟子にしてください!!!』
突然ローズがミハエルの前に跪いた!
「お、おい!!ローズ!ずるいぞ!!私だって!!!」
続けてカイル・カーバンス子爵もミハエルの前に跪いた。
ネバルは何事か分からずに立ち尽くしている。
ミハエルがどうして良いか焦っていると、何か騒がしいと部屋を覗いたアンリルは咄嗟に部屋に飛び込む!
「あんた達!何やってるのよ?!ミハエル君が困ってるじゃない?!
早く帰りなさい!!ミハエル君は私の師匠よ!!」
んん?!アンリルさん?!そんな風に思ってたの?
「アンリル殿!!貴方も分かる筈だ!魔道を歩む者としてミハエル殿の教えを乞いたいと思う気持ちを!!
ミハエル殿!!!是非ともご教授を!!」
カイルが必死に縋ろうとする。
あー・・・これは収集がつかないね・・
「カイルさん。師匠にはなれないけど週末に少しぐらいなら良いですよ。」
「おお!!ありがたい!!週末が待ち遠しいですぞ!!!」
カイルとローズの目が輝くのだった。
はあ、また面倒事が増えたか・・・
まあ、取り敢えずこっちが先決ね。
「傷つき者の傷を癒せ!〈ヒール〉!!」
アンリルの魔力がカイルを包み込むと顔色が良くなり呼吸も穏やかになる。
「う・・ん・・。私はどうなった・・。」
「お父様!!!良かった!!」
ネバルが父親にしがみつく。
「な、何よ・・あいつは?!ふ、不敬罪よ!不敬罪で投獄よ!!」
ローズが叫ぶが、まだ震えが止まらず立ち上がる事が出来なかった。
ふ
「さて。ネバル君だったわね。君は自分の非を認めるのね?」
アンリルが腕を組みをしてネバルを見る。
「はい・・・ミハエル君の言う通り・・です。お父様、ローズお姉様、ごめんなさい・・・」
ネバルは父親と姉を交互に見て項垂れる。
「た、例えそうだったとしても平民が貴族に逆らうなんてあり得ないわ!!不敬罪よ!!」
アンリルはローズの言葉を無表情で受け止める。
「そう。・・・それでカイル・カーバンス子爵様はどうするの?
ミハエル君を不敬罪とやらに問うの?
私はやめておいた方がいいと思うけどね。」
カイルはアンリルの意味ありげな言葉に眉間に皺を寄せる。
「アンリル殿。それはどういう意味だ?
あの子供が何だと言うんだ?!」
「そうね。良い機会だから教えてあげるわ。
ローズちゃんだったわね?あなたが理不尽に不敬罪にしようとしたミハエル君はクラインド王の命の恩人の孫よ!
クラインド王が自らミハエル君を学園に招待したのよ!」
ローズの目がまん丸くなる。
「えっ?!・・そ、そんな・・・う、嘘よ・・じゃあ・・あのまま不敬罪にしてたら・・・」
「そうね。貴方達が逆に不敬罪に問われてたかもね?クラインド王はミハエル君を我が子のように可愛がっているからね。最悪降格もあるわね。」
ローズはミハエルに言った事を思い返して項垂れて震えながら自分の肩を抱き締める。
「アンリル殿!そ、それは本当なのか?!」
カイルが身を乗り出して詰め寄る。
「本当よ!私はクラインド王からミハエル君の近況報告と護衛兼相談役を任されているの。だから巷で噂されてる事はデマよ!
さて・・私はクラインド王に報告をするんだけど・・・どう報告しようかなぁ?」
アンリルは口元を緩めてあさっての方を見るとカイルとローズが弾かれたように立ち上がり
アンリルの前に両膝を付いて縋る!!
「アンリル殿!!ちょっと待ってくれ!」
「アンリルさん!!ちょっと待って!」
「ど、どうしたらいいんだ?!何をしたらいい?!」
「どうしたらいいの?!何をしたらいいの?!」
ぷぷっ。さすが親子ね・・・
2人の息の合った姿に笑いを堪える。
「あんた達がする事は1つでしょう?ミハエル君に許しを乞う事じゃないの?
もしミハエル君が許してくれたら・・・私の報告も優しくなると思うわ。」
アンリルはカイルとローズの焦る顔を見下ろす。
「おお!そうか!!それならば今すぐにでも!」
「そうね!今すぐ行くわ!!」
「僕も行く!!!」
2人は勢いよく立ち上がるとネバルも駆け寄り扉に向かうがアンリルが一喝する。
「待ちなさい!ミハエル君の部屋を知っているの?」
反射的に行動してしまった3人が固まる。
「それと1つ忠告してあげるわ。ミハエル君はスキルで相手の悪意を感じる事が出来るの。保身や仕方なく謝罪しても駄目よ。心から謝罪しないと許してもらえないわよ?さあ・・貴方達に出来るかしら?」
「なっ、スキル?!そんなスキルが・・」
3人は立ち尽くして自分の感情を見直していた。そしてネバルが顔を上げる。
「僕はミハエル君に謝りたい・・・僕は本当にそう思う。」
「おそらくあの子は過去に貴族と何かあったのだろう。それであんなに激昂してしまったんだな・・私も子供相手に大人気なかった・・」
「そうね・・私もネバルの事でイライラしてたから・・・」
カーバンス親子は憑き物が落ちたような表情で反省するのだった。
うん。これならミハエル君に合わせても大丈夫そうね。
「分かったようね!じゃあ行くわよ!」
「ミハエル君・・僕が悪かったよ。君の言う通りだよ。ごめんなさい。」
「私もつい意地になってしまった。すまなかった。」
「私も弟の事でつい言い過ぎたわ。ごめんなさい。」
ミハエルは突然の事でキョトンとしていた。
・・・アンリルさんか・・どんな魔法を使ったか知らないけど、さすが護衛兼相談役だね。悪意も感じられない・・・
「分かってくれたら良いです。こちらこそ少々やり過ぎました。ごめんなさい。」
「ははっ!あれぐらいどうって事ない!これからもネバルと仲良くしてやってくれ!」
本当は死ぬかと思ったけどな・・・
ミハエルはホッと肩の力を抜いて手を差し出す。
「ネバル君!改めてよろしくね。」
「うん。ミハエル君!よろしく!」
ここに仲直りの握手が交わされたのだった。
するとカイルとローズがミハエルの部屋を見渡して唖然としていた。
カーバンス子爵家は代々魔道士の家系であるが、今まで見た事も無い魔法陣や魔法の詠唱が壁に幾つも貼ってあるのだ。
カイルは魔道士として聞かずにはいられなかった。
「ミハエル君・・教えて欲しい。この魔法陣や魔法詠唱の写しは一体どんな魔法なんだ?」
そうか・・・カーバンス家は魔道士家系だったね・・まあ、教えても使えないからいいか!
「これは僕のオリジナル魔法です。例えばこの魔法陣は、地属性で生成した尖った岩を風属性で打ち出して着弾と同時に火属性で爆発させるんです。いわゆる合成魔法です。」
ミハエルが笑顔で説明したがカイルとローズは理解が追いつかずに唖然とする。
「まっ、待ってくれ!確認するが・・君は・・この世界で過去2人しか出来なかった三重詠唱が出来るのか?!」
「えっ?!・・・三重詠唱は普通じゃ無いんですか?」
ミハエルの言葉にカイルとローズは驚愕し目付きが変わった!
「ミハエル君・・・いや!ミハエル殿!!三重詠唱を是非とも見せて欲しい!
魔道を歩む者として目指す境地を見たいのだ!」
えーー!!今更、六重発動出来ますなんて言えない・・・仕方ない・・
「良いですよ。これが初級編の三重詠唱です。」
ミハエルは地属性で外殻を作りその中に火属性で火を灯すと外側を水属性で包みランタンを作り出したのだ。
「おお!!!!こ、これはまさしく三重詠唱!!!!それを無詠唱で!?素晴らしい!!!私達の行き着く先だ!!」
『す、凄い・・・ミハエル君・・いえ!!ミハエル師匠!!!!私を!私を弟子にしてください!!!』
突然ローズがミハエルの前に跪いた!
「お、おい!!ローズ!ずるいぞ!!私だって!!!」
続けてカイル・カーバンス子爵もミハエルの前に跪いた。
ネバルは何事か分からずに立ち尽くしている。
ミハエルがどうして良いか焦っていると、何か騒がしいと部屋を覗いたアンリルは咄嗟に部屋に飛び込む!
「あんた達!何やってるのよ?!ミハエル君が困ってるじゃない?!
早く帰りなさい!!ミハエル君は私の師匠よ!!」
んん?!アンリルさん?!そんな風に思ってたの?
「アンリル殿!!貴方も分かる筈だ!魔道を歩む者としてミハエル殿の教えを乞いたいと思う気持ちを!!
ミハエル殿!!!是非ともご教授を!!」
カイルが必死に縋ろうとする。
あー・・・これは収集がつかないね・・
「カイルさん。師匠にはなれないけど週末に少しぐらいなら良いですよ。」
「おお!!ありがたい!!週末が待ち遠しいですぞ!!!」
カイルとローズの目が輝くのだった。
はあ、また面倒事が増えたか・・・
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