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第30話 尻拭い

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「おい!!ロベルトぉぉぉぉ!!!何をやっている!!!そいつ等を早く捕まえろぉぉぉぉぉ!!!」

空気を読まずにメイグラ・メーランド伯爵が怒鳴り散らす!

ロベルトが振り向き何かを言おうとすると、8人の子供達がロベルトを守るように前に出る。

「あんたがロベルトおじちゃんをいじめた奴ね!!許さないの!!ゴーレム君!!アイツを捕まえて!!」

すると1体のゴーレムが巨体からは考えられないスピードでメーランド伯爵の目の前に現れ顔面を鷲掴みにする!

「ぐあっ!!離せ!ロベルト!!何とかしろぉぉぉぉぉ!!!!ロベルトぉぉぉ!!!」

ゴーレム君は喚くメーランドを掴んだまま子供達の前に差し出す。

ロベルトは喚くメーランド伯爵に抜刀して切先を鼻先に突きつける!

「ひぃ!!!」

「メイグラ様。私はもうこのような悪行を黙って見過ごす事は出来ません。
先代のウェルド様に顔向けが出来ません。
これから私は全てを公にして罰を受けます。
貴方はもう終わりです。覚悟してください。」

「貴様ぁぁ!!拾ってやった恩を忘れやがってぇぇぇ!!!」

「うるさい!!!」

喚き出すメイグラにミーナのボディーブローらが突き刺さる!!

ずどぉぉぉぉぉぉ!!!!
「ぶべぇぇぇぇ!!!!」

「ロベルトおじちゃんのお話は終わり!!次は私達の番なの!!!」

メイグラが辛うじて目を開けると8人の子供達が殺気立っていた。

「よくも・・冷めたまずいスープを飲ませてくれたね・・・」

「パンもカチカチで不味かったよね・・・」

「寒くて皆んなで暖め合って寝たよね・・」

「ロベルトさんが居なかったら・・・どうなっていたか・・・」

「ミハエル君が来てくれなかったら僕達はどうなっていたか・・・」

「絶対に・・許さない!!!!!!!!」

メイグラは子供達の殺気を受け嫌な汗が脂切った頬を流れていく。

「あ・・・うぅ・・お、俺は・・偉いんだぞ!・・・お、俺に手を出したら・・・・」

「うるさぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」

子供達が渾身の一撃を放つ!

どばきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

メーランド伯爵の身体に8つの拳が同時にめり込む!!!

「ごばべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

ずどぉぉぉぉん!!!

メーランド伯爵はゴーレム君の手を離れ屋敷の壁にめり込んだ。

「ごふっ・・俺は・・・偉・・・い・・ぐふっ・・・」

「ふん!!成敗完了!!!!!!!!」

子供達がハイタッチをしてロベルトの周りに集まると突然南の空が赤く染まった!!


「あ、あれは・・何だ?!巨大な何かが落下している?!
いけない!!皆んな屋敷の中へ!!!!」

ロベルトが逸早く子供達を連れて屋敷に向かう!!

「ミハエル君!!早く中へ!!衝撃波がきます!!!」

「先に行ってください!何とかしてみます!」
ミハエルは振り向きもせずに言い放つ。

「なっ?!・・・何とかする?!この状況を?!・・・君は一体・・・ふっ・・もしこの状況を君がを何とか出来たなら・・・ミハエル君!気を付けて!!」

ロベルトはミハエルを信じて子供達と屋敷の中へ避難する!

しかしミハエルだけは犯人を知っていた。

「あちゃあ・・アンリルさんだね・・張り切り過ぎだよ・・・仕方ないなあ・・・古代魔法〈ビジョン〉!!」

そこには迫り来る隕石に魔法を放つアンリルの姿があった。

「はぁ・・やっぱり・・古代魔法〈フォースフィールド〉を使うには今のアンリルさんの魔力では足りないよ・・・仕方ない・・この距離でも目標が分かれば届くはず!!」

ミハエルが4つ目の指輪を外して狙いを定める!!

「頼む!!届けぇぇぇぇ!!!古代魔法〈フォースフィールド〉!!!」

ミハエルが全力の魔法を放つと身体からごっそりと魔力が抜けて目眩に襲われ膝を付く・・・

くっ・・・この距離は流石に無理があったかな・・・

その直後!轟音と激しい地震が王都を襲う!

どどどどぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!

屋敷の窓が割れんばかりにビリビリと激しく振動し地震により本棚や食器棚がガタガタと揺れる!

子供達はロベルトにしがみついて振動に耐えていた。

そして揺れが収まり静けさが訪れた。

ロベルトが不思議そうに辺りを見渡し被害の少なさに首を傾げる。

(これで・・終わり?・・・ま、まさか!)

『ミハエル君!!』

ロベルトは思わず声をあげて立ち上がると子供達もミハエルがいない事に気付く!

「え?!ミハエル君はどこ?!何でいないの?!」
サーシャが目に涙を溜める!

ロベルトと子供達が急いで外へ出ると膝を付いて肩で息をしているミハエルが目に飛び込んで来た。

「ミハエル!!!」

サーシャは1番に駆け出してミハエルを抱きしめる!
他の子供達も駆け寄ろうとしたがロベルトが子供達を止める。

「駄目ですよ。邪魔をしては・・・」

「え?!なんで?!」

するとミーナが顔を真っ赤にしてニヤける。
「恋なの!初めて会って強くて優しくて守ってくれた人!!!」

ロベルトがミーナの頭を撫でる。
『その通り。サーシャの気持ちを優先してあげましょう。』

「ミハエル!大丈夫?!」

「うん。大丈夫だよ。ちょっと魔力を使い過ぎただけだよ。皆んなが無事なら良かった。」

「もう!!心配させないで!!あなたに何かあったら私・・私・・・」

ミハエルは子供ながらにふくよかな胸に埋められる。

(もがもが・・こ、これはこれで中々・・)

「あっ!やだ!私ったら・・・ごめんなさい。つい・・・ごにょごにょ・・・」

サーシャが顔を赤らめてミハエルを離す。


「ははっ・・いいよ!取り敢えず冒険者ギルドで事情を説明しよう。もしかしたら捜索願いが出ているかも知れないしね!」

ミハエルはロベルトと子供達と共に冒険者ギルドをめざすのであった。
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