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第46話 ベルボア帝都へ
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「いいか?盗賊の仕業に見せるんだぞ!!いいな?!」
ナルベスがポーズを決めたままのオーレンとメーリアに言い聞かせるように詰め寄る。しかし二人は微動だにせず口元を緩ます。
「ふっ・・・我らは闇の住人。闇に紛れて闇に迷う子羊を狩る者!盗賊の真似事など出来ようも無い。」
「そう。我らは闇からい出て闇へと帰る者。盗賊風情とは異なる者。我等は我等の闇に従う・・・そう・・それが・・・」
「「闇の掟!!」」
再びポーズを決め目力でナルベスを見下ろす。
ナルベスは頬を痙攣させながらドーランドをキッと睨む。
「・・・おい!ドーランド!!こいつら大丈夫なのか?!使えるのか?!」
「ん・・あぁ・・・お前が感じている事は俺達も痛いほど分かる・・・ただ腕は確かだ・・腕はな・・・俺は奴等に対抗出来る戦力は用意した。後はお前次第だ・・・」
ドーランドは目を逸らし天井を見上げる。
「な、なんだと?!私も同行しろと言うのか?!」
「・・・強要はしないがな。だがそいつらを野放しにしたらどうなるかは・・・俺も分からん。・・・まあ、いつも贔屓にしてもらってるよしみであと数人付けてやるよ。」
「ぬぐぐ・・・」
ナルベスはドーランドから丸投げされた二人を下唇を噛み締めながら見上げる。そして今まで理不尽極まりないヘルバン・ロディアスを支え続けた自分を思い出す。そして相変わらず決めポーズをとり続ける二人を使うしかないと覚悟を決めるのであった。
ゲイブルの町が朝日に照らされ冷たい空気が心なしか暖かく感じる。イリアが膨らませたほっぺが仄かに赤く染まる。昨晩は念の為にとアルバンと使用人達はガベル邸に泊まった。しかしゼノアとゴルドが泊まらず家に帰ると言うと案の定イリアが一緒に行くと駄々を捏ねた。両手で両脚でゼノアにしがみ付くイリアをまたもやアルバンが一喝し引き剥がしていた。皆が苦笑いをする中、暫くジタバタと暴れていたイリアだったがとうとう観念して今、朝を迎えたのだった。
「ムスッ・・・」
「こら!イリア!朝からなんて顔をしているんだ!そんな顔してたらゼノア君に嫌われるぞ?!」
「・・・だって・・・」
アルバンに一喝されるが頬を膨らませたまま俯き身体を左右によじっていた・・・すると誰かが近づいて来る気配がしてくる。
「おはようございます!!」
「あっ!!」
澄んだ朝の空気に響くゼノア声に一瞬で表情を切り替え満面の笑みで顔を上げる。しかしイリアの視線の先には小柄だがスタイルの良い可愛いらしい女性に手を引かれたゼノアの姿があった。
「ゼ、ゼノア・・さ・・ま?」
イリアは状況が分からず固まっていた・・・
すると一緒に歩いて来るゴルドが手を振りながらいつもの調子で声を上げる。
「おーー!おはよーさん!さっきそこでシーラちゃんと会ってよ!一緒に見送りたいって言うから連れて来たぞ!」
「皆さんおはようございます。」
シーラが朝日に照らされ眩しい笑顔で挨拶をするとアルバン達が自然と笑顔になる。そして歩くだけで揺れるシーラ胸に少し頬を赤らめるのであった。
(ぬぐぐぐ・・・な、何よあのおっぱいお化けは・・・あんなにゼノア様と親しげにして・・・)
イリアが敵対心剥き出してシーラを睨んでいるとそれに気付いたゴルドが呆れ顔で声を掛ける。
「はぁ・・嬢ちゃん。シーラちゃんはなゼノアの育ての親みたいなもんだ。そんなに睨まなくったって大丈夫だぞ。」
「えっ?!そ、それじゃあ・・・あの人はゼノア様の・・・お母様?!」
イリアはゴルドの言葉に一瞬で表情が明るくなる。
「んっ・・ちょ、ちょっと違うが・・・まあ、そんなところだ。」
するとイリアはニッと笑いシーラの前に駆け出してシーラの目の前でニッコリ笑う。
「おはようございます!お母様!!私はイリアと言います!!私!ゼノア様と結婚します!!」
アルバン達がまたかと頭を抱える・・・
「うえっ?!け、結婚?!ゴ、ゴルドさん?!どう言う事ですか?!」
シーラがゴルドを睨むと明後日の方を見ながらゴルドは頭を掻く。
「んっ・・ま、まあ・・見ての通りこの嬢ちゃんがゼノアに夢中なんだ・・・まあ・・子供の言う事だ・・・気にするな・・・な?」
しかしシーラは黙ってジト目でゴルドを見る。そしてゼノアの目線までしゃがむとゼノアを抱きしめて自分の胸に押し込む。
「わぶっ・・・シーラさん?!」
そしてシーラはイリアを真っ直ぐ見つめる。
「・・・駄目よ。ゼノアちゃんは渡さない・・・」
「・・・えっ?な、なんで・・・」
イリアはシーラの予想外の言葉に息を飲む。
「いい?ゼノアちゃんはね・・・こうすると喜ぶのよ。」
シーラは自分の胸にゼノアを更に押し込んで行く・・・ゼノアもいつも通りなすがままに受け入れる。
(・・・ふぁい。その通りです・・・)
「うぐぐ・・・ゼノア様が・・あんな顔を・・私の時は・・・うぐっ・・・」
イリアはゼノアの緩んだ顔を見て自分の胸と見比べ顔を引き攣らせながら後退る。
「うふふ・・・あなたにそれが出来る?無理よね?だから駄目よ。認めないわ。」
「そ、そんな・・・」
イリアはカクッと項垂れる。
その場にいた皆がシーラの勝ち誇った顔を見て若干引く・・・
(こ、子供相手に・・・大人げねぇ・・・)
(こ、これが女の戦い・・・それにしても・・大人げない・・・)
その場に何とも言えない空気が立ちこむ中、重い空気を変えるようにユフィリアの声が上がる。
「はい!!さあ!ベルボア帝都へ出発よ!」
ユフィリアのあっけらかんとした声に皆は顔を見合わせ頷くと落ち込むイリアを横目に馬車に乗り込んで行くのであった
ナルベスがポーズを決めたままのオーレンとメーリアに言い聞かせるように詰め寄る。しかし二人は微動だにせず口元を緩ます。
「ふっ・・・我らは闇の住人。闇に紛れて闇に迷う子羊を狩る者!盗賊の真似事など出来ようも無い。」
「そう。我らは闇からい出て闇へと帰る者。盗賊風情とは異なる者。我等は我等の闇に従う・・・そう・・それが・・・」
「「闇の掟!!」」
再びポーズを決め目力でナルベスを見下ろす。
ナルベスは頬を痙攣させながらドーランドをキッと睨む。
「・・・おい!ドーランド!!こいつら大丈夫なのか?!使えるのか?!」
「ん・・あぁ・・・お前が感じている事は俺達も痛いほど分かる・・・ただ腕は確かだ・・腕はな・・・俺は奴等に対抗出来る戦力は用意した。後はお前次第だ・・・」
ドーランドは目を逸らし天井を見上げる。
「な、なんだと?!私も同行しろと言うのか?!」
「・・・強要はしないがな。だがそいつらを野放しにしたらどうなるかは・・・俺も分からん。・・・まあ、いつも贔屓にしてもらってるよしみであと数人付けてやるよ。」
「ぬぐぐ・・・」
ナルベスはドーランドから丸投げされた二人を下唇を噛み締めながら見上げる。そして今まで理不尽極まりないヘルバン・ロディアスを支え続けた自分を思い出す。そして相変わらず決めポーズをとり続ける二人を使うしかないと覚悟を決めるのであった。
ゲイブルの町が朝日に照らされ冷たい空気が心なしか暖かく感じる。イリアが膨らませたほっぺが仄かに赤く染まる。昨晩は念の為にとアルバンと使用人達はガベル邸に泊まった。しかしゼノアとゴルドが泊まらず家に帰ると言うと案の定イリアが一緒に行くと駄々を捏ねた。両手で両脚でゼノアにしがみ付くイリアをまたもやアルバンが一喝し引き剥がしていた。皆が苦笑いをする中、暫くジタバタと暴れていたイリアだったがとうとう観念して今、朝を迎えたのだった。
「ムスッ・・・」
「こら!イリア!朝からなんて顔をしているんだ!そんな顔してたらゼノア君に嫌われるぞ?!」
「・・・だって・・・」
アルバンに一喝されるが頬を膨らませたまま俯き身体を左右によじっていた・・・すると誰かが近づいて来る気配がしてくる。
「おはようございます!!」
「あっ!!」
澄んだ朝の空気に響くゼノア声に一瞬で表情を切り替え満面の笑みで顔を上げる。しかしイリアの視線の先には小柄だがスタイルの良い可愛いらしい女性に手を引かれたゼノアの姿があった。
「ゼ、ゼノア・・さ・・ま?」
イリアは状況が分からず固まっていた・・・
すると一緒に歩いて来るゴルドが手を振りながらいつもの調子で声を上げる。
「おーー!おはよーさん!さっきそこでシーラちゃんと会ってよ!一緒に見送りたいって言うから連れて来たぞ!」
「皆さんおはようございます。」
シーラが朝日に照らされ眩しい笑顔で挨拶をするとアルバン達が自然と笑顔になる。そして歩くだけで揺れるシーラ胸に少し頬を赤らめるのであった。
(ぬぐぐぐ・・・な、何よあのおっぱいお化けは・・・あんなにゼノア様と親しげにして・・・)
イリアが敵対心剥き出してシーラを睨んでいるとそれに気付いたゴルドが呆れ顔で声を掛ける。
「はぁ・・嬢ちゃん。シーラちゃんはなゼノアの育ての親みたいなもんだ。そんなに睨まなくったって大丈夫だぞ。」
「えっ?!そ、それじゃあ・・・あの人はゼノア様の・・・お母様?!」
イリアはゴルドの言葉に一瞬で表情が明るくなる。
「んっ・・ちょ、ちょっと違うが・・・まあ、そんなところだ。」
するとイリアはニッと笑いシーラの前に駆け出してシーラの目の前でニッコリ笑う。
「おはようございます!お母様!!私はイリアと言います!!私!ゼノア様と結婚します!!」
アルバン達がまたかと頭を抱える・・・
「うえっ?!け、結婚?!ゴ、ゴルドさん?!どう言う事ですか?!」
シーラがゴルドを睨むと明後日の方を見ながらゴルドは頭を掻く。
「んっ・・ま、まあ・・見ての通りこの嬢ちゃんがゼノアに夢中なんだ・・・まあ・・子供の言う事だ・・・気にするな・・・な?」
しかしシーラは黙ってジト目でゴルドを見る。そしてゼノアの目線までしゃがむとゼノアを抱きしめて自分の胸に押し込む。
「わぶっ・・・シーラさん?!」
そしてシーラはイリアを真っ直ぐ見つめる。
「・・・駄目よ。ゼノアちゃんは渡さない・・・」
「・・・えっ?な、なんで・・・」
イリアはシーラの予想外の言葉に息を飲む。
「いい?ゼノアちゃんはね・・・こうすると喜ぶのよ。」
シーラは自分の胸にゼノアを更に押し込んで行く・・・ゼノアもいつも通りなすがままに受け入れる。
(・・・ふぁい。その通りです・・・)
「うぐぐ・・・ゼノア様が・・あんな顔を・・私の時は・・・うぐっ・・・」
イリアはゼノアの緩んだ顔を見て自分の胸と見比べ顔を引き攣らせながら後退る。
「うふふ・・・あなたにそれが出来る?無理よね?だから駄目よ。認めないわ。」
「そ、そんな・・・」
イリアはカクッと項垂れる。
その場にいた皆がシーラの勝ち誇った顔を見て若干引く・・・
(こ、子供相手に・・・大人げねぇ・・・)
(こ、これが女の戦い・・・それにしても・・大人げない・・・)
その場に何とも言えない空気が立ちこむ中、重い空気を変えるようにユフィリアの声が上がる。
「はい!!さあ!ベルボア帝都へ出発よ!」
ユフィリアのあっけらかんとした声に皆は顔を見合わせ頷くと落ち込むイリアを横目に馬車に乗り込んで行くのであった
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