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第79話 エリクサー

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武闘大会も終わり立食パーティーが開かれた。
そこでファイデル王国の面々は他国の人からの質問の嵐と女性に抱きつかれおっぱいでもみくしゃにされていた・・・。
弟子達がジト目で見ていたのが気になるが・・・』


『さあ、帰ろうか!』
弟子達が賞品で貰った豪華な馬車に乗り込む。
俺も乗り込もうとすると後ろから声をかけられる。

『ハヤト殿!改めて礼を言わせてくれ!』
エルフォン王国のカーズ達だ。

見ると肌艶もよく元気そうだ。
それにしても男13人に詰め寄られると暑いな・・・。
『元気そうで良かったよ!また寄った時にはよろしく頼むよ!』

『もちろんだ!!必ず来てくれよな!!
本当にありがとう!!』

するとカーズ達の後ろから2人走ってくる。
ミネルバとラージンだ。

『うおぉぉぉ!!!ハヤト殿ぉぉぉぉ!!
もの凄いプレゼントありがとよぉぉぉ!!
いきなりこの歳で獣王になったぞ!!
今度遊びに来てくれよな!!
また胸をかしてくれ!!』
俺の手を取り上下に振り回す。

『あぁ、その時はまたやろう!
それと、あまり言いふらすなよ?!屋敷に押しかけられると困るからな?!』

『そうだな!分かったぞ!またな!!』
そう言い残すと走り去って行った。

慌ただしいが楽しい奴だな。
今度はみっちり鍛えてやるか、、、。

ラージンを眺めて居ると、そっとミネルバが手を取る。
『ハヤト殿、この恩は一生忘れない。
エルダー王国に寄った時は王宮を訪ねて欲しいの。
これを門兵に見せれば通してくれるわ。』

ミネルバは自分のペンダントを外して俺の手に握らせる。
そして顔を近づけたと思ったら頬にキスをし耳元で囁く。
『必ず来てね・・・』

俺はびっくりしたが少し照れ臭く笑い
『あぁ、落ち着いたら寄らせて貰うよ。
じゃあまたな!』

『うん。気をつけて!』

俺は手を振りながら馬車に乗り込み出発するのだった。

(あーあ、惚れたわね・・・)
(完全にね・・・)
(師匠は女殺しなの・・・)
女性陣が何やらヒソヒソと話している。


メル・マリ・エリside
『つ、遂に出来たわ!!3日に1本しか出来ないけど・・・伝説の秘薬エリクサー!』

メルが目を丸くして驚く!!
『エリ!!凄いじゃない!!どんな怪我も病気も状態異常も治療できる薬なんだよね?!
きっとハヤト様も褒めてくれるわ!!』

『本当?!褒めてくれるかなぁ?!頭撫でてくれるかなぁ?!』
エリが喜んではしゃぐ。

『私達も頑張って完成させないとね!』

メル達が地下室で没頭していると、アルノーが息を切らせて駆け込んでくる。

『メル様!門の前に重傷の子供を連れてた母親が来ております。
見たところ、もう時間がありません。
どう致しますか?!』

珍しくアルノーが動揺している。

エリはメルに頷くと、迷いなくエリクサーを持って門に向かって走り出す。

助けられる命なら助けなきゃ!助かる運命だからここへ来たのよ!!

彼女達が門へ着くと母親が血だらけの包帯をした息子にしがみ付き泣きながら声を掛けている。
その後ろには冒険者らしきパーティーが立ち尽くして俯いていた。

母親がメル達を見ると必死で土下座する。
『お願いしますぅぅぅぅ!!!息子を!息子を!助けてくださいぃぃぃぃ!!お願いしますぅぅぅ、、、』

息子は既に虫の息だ。左腕もなく左脇腹から大量の血が流れている。
魔物に食いちぎられたようだった。

エリが駆け寄りエリクサーを息子の口に流し込む。

『お願い!飲み込んで!』

息子の喉が微かに動いた・・・すると、
身体が金色に光出す。
みるみる顔色が良くなっていく。
無数にあった傷も消えていき、無くなった筈の左腕が包帯を突き破り元通りになていく。

母親と冒険者達は半ば諦めていた様で目の前で起こっている奇跡を呆然と見つめていた。

そして息子が目を開けて上半身を起こす。
『んっ?!お、俺は・・・ワーウルフに襲われて・・・腕が!!・・・ある・・・ん?
ち、力が溢れてくる・・・』

『レン!!!!よかった!!よかった!!
あぁぁぁぁー!!もうっ!!!心配したんだらねぇぇぇ!!!』
母親が泣きながら息子を抱きしめてあちこち触って確認する。
冒険者達もレンの周りに集まる。
『この馬鹿!!心配かけないでよ!!もう駄目かと思ったんでからぁぁぁ!!!』

冒険者の女の子が泣きながらレンに抱きついた。

冒険者の男が呟く。
『それにしても・・・凄いポーションだよな・・・。
英雄ハヤト・・・凄すぎるだろ、、』

母親は我に返りエリに土下座する。
『ありがとうございます!!ありがとうございます!!
ここに行けば可能性があると、ギルドマスターに言われて来たんです!!
本当にありがどうございました!!
薬代は必ずお支払い致します!!!』

エリは立ち上がりため息をつく。
『別にお金はいいわ!ギルドマスターに請求するから。
それに私の作ったポーションを試したかったから丁度よかったわ!
さあ!無茶はしないで頑張りなさい!!』

『あ、ありがとうございました。あの、お名前を教えてくれませんか?』
レンが立ち上がり頬を赤くして頭をさげる。

『英雄ハヤト様の弟子、エリよ! 
じゃあね!』
エリは笑顔で軽く手を振って屋敷に帰っていく。

その後ろ姿をいつまでも眺めているレンだった。

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