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2.After
巡る鐘の音
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エヴァーリヴは、本人が先ほど言っていたように、2人の住む家に着くなりティルの引いた椅子に座ることすらなく、まるで幼子のようにその興味の赴くままに家のなかを歩き回る。
寝室にも、その幼い足取りで侵入してきた。
「へぇ! ここがあなたたちの閨ね! ふぅん、そもそもさっきの客間もそうだけど、あなたたちはわりと場所の境なくまぐわっているようね、私の栄養源としては申し分ないかも」
いたずらっぽく笑う顔は、何度見てもフィーナそのもので、その姿形で淫猥な雰囲気をまとわせてなどほしくはないのだが、本人の意思ではなくティルの記憶によってエヴァーリヴがこの姿に見えているというなら、仕方のないことと思うしかない。
アメリアは、ティルが自分よりもエヴァーリヴの要望を叶えてしまったことですっかりへそを曲げてしまっている。今も、エヴァーリヴについているティルには一切構わずに客間の椅子に座ったままだ。
後で、何事か要求されるだろうが、そちらは応じなくてはいけないだろう。思わず苦笑したティルに、周縁の魔女エヴァーリヴは興味深げな態度で近寄った。
「? いかがなさいましたか?」
思わず尋ねたティルに、エヴァーリヴは一瞬含みのある微笑を浮かべてから、「いいえ、あぁ、この子もこんな風に笑うようになったんだな、って思っただけよ?」と答えた。そこで、いよいよティルも声を上げる。
「エヴァーリヴ様。ひとつお伺いしたいことがあるのです」
「えぇ、何か訊きたそうにしていたものね。何かしら?」
やはり見透かされていた。そんな感想と共に、ティルは彼女に問うた。
なるべく簡潔に、単刀直入に。でなければ、魔女の弄する言霊に知りたい物事を容易く紛れ込まされてしまうから。それを、十数年の日々で知っているから。
「私たちは、以前にどこかでお会いしているのでしょうか? いや、私たちだけでなく、私とアメリアも。私と貴女方との間に記憶の齟齬があるように思います。それについてお答えがほしいのです」
ティルの問いに、彼女はやはりフィーナそのものである幼い顔で可笑しそうに笑ってから、「えぇ、構わないわよ」と面白がるように答えたあと。
「その代わり」
ゆったりと、まるで蛇の舌のように滑らかにその小さな手を蠢かせ。
「あなたの精気を私に捧げなさい?」
ティルに答える間など与えずに、その逞しく育っている体に指を這わせた。
寝室にも、その幼い足取りで侵入してきた。
「へぇ! ここがあなたたちの閨ね! ふぅん、そもそもさっきの客間もそうだけど、あなたたちはわりと場所の境なくまぐわっているようね、私の栄養源としては申し分ないかも」
いたずらっぽく笑う顔は、何度見てもフィーナそのもので、その姿形で淫猥な雰囲気をまとわせてなどほしくはないのだが、本人の意思ではなくティルの記憶によってエヴァーリヴがこの姿に見えているというなら、仕方のないことと思うしかない。
アメリアは、ティルが自分よりもエヴァーリヴの要望を叶えてしまったことですっかりへそを曲げてしまっている。今も、エヴァーリヴについているティルには一切構わずに客間の椅子に座ったままだ。
後で、何事か要求されるだろうが、そちらは応じなくてはいけないだろう。思わず苦笑したティルに、周縁の魔女エヴァーリヴは興味深げな態度で近寄った。
「? いかがなさいましたか?」
思わず尋ねたティルに、エヴァーリヴは一瞬含みのある微笑を浮かべてから、「いいえ、あぁ、この子もこんな風に笑うようになったんだな、って思っただけよ?」と答えた。そこで、いよいよティルも声を上げる。
「エヴァーリヴ様。ひとつお伺いしたいことがあるのです」
「えぇ、何か訊きたそうにしていたものね。何かしら?」
やはり見透かされていた。そんな感想と共に、ティルは彼女に問うた。
なるべく簡潔に、単刀直入に。でなければ、魔女の弄する言霊に知りたい物事を容易く紛れ込まされてしまうから。それを、十数年の日々で知っているから。
「私たちは、以前にどこかでお会いしているのでしょうか? いや、私たちだけでなく、私とアメリアも。私と貴女方との間に記憶の齟齬があるように思います。それについてお答えがほしいのです」
ティルの問いに、彼女はやはりフィーナそのものである幼い顔で可笑しそうに笑ってから、「えぇ、構わないわよ」と面白がるように答えたあと。
「その代わり」
ゆったりと、まるで蛇の舌のように滑らかにその小さな手を蠢かせ。
「あなたの精気を私に捧げなさい?」
ティルに答える間など与えずに、その逞しく育っている体に指を這わせた。
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