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<表紙絵追加>■RINK_0016_ログインlive■
しおりを挟む——「リアルフィールドの世界」——
僕はアオイさんの胸を揉んだ事に
集中しすぎて全然気づかなかったが・・・
アオイさんの腰には日本刀が差してある。
RFでアオイさんが・・・
いや、ハヤブサが装備していたマストウエポン。
アオイさんは自分の日本刀をじっと見つめた。
“カチャ”
そして右手でそっと刀を抜いて、即答した。
「でも、これは正宗じゃない・・・」
「これはただの”なまくら”、装備はデフォ」
刀を片手で持つアオイさんの姿は、
凛と様になっていて、僕とユイは思わず見とれてしまった・・・。
「アッちゃん!かっこいいのだ!!」
ユイは素直に思ったままのワードを口にした。
アオイさんはユイのワードは無視して、
“シャー・・・カシャン”
ゆっくりと鞘(さや)に刀をしまった・・・。
刀をしまう音と同時に僕は冷静を取り戻しつつあった・・・
この世界は本当にRFの世界なのか?と疑いながら
あたりを見渡した・・・
見慣れた風景と何より空気も違和感なく吸える。
そして匂いもどこかで嗅いだ事のある匂い・・・
誰一人いない2車線、計4車線の国道・・・
この町並み・・・どこかで見た気が・・・
ふと僕は通りに面しているビル1階の店に目がいった。
「バーガーショップ、フレッシュ」
「・・・!」
僕が友達のふりをしている人間達と来た、ハンバーガーのお店だ。
僕は即座に立ち上がり、右上空を見上げたー
「・・・スカイツリー!」
僕達を見下す634メートル、真っ白な巨塔が堂々と立っている。
「そうよ、ここは東京」
「RFのファーストミッションと同じステージ」
「!」
「てことは・・・」
——ピピピ——
3人は同時に左腕に装着する端末“ブリッジ”を見た。
——「WCF軍ノ侵略ヲ阻止セヨ」——
「!!!!」
同じだ——!このざっくりとした司令は、
リリース直後のRFの仕様。
僕は自分の背後を見た。
——“ガタガタガタガタ”——
——「骸骨のエンブレム!」——
WCF軍の戦車が1台、こっちに向かってくる。
僕はとっさにユイの腕を掴み、すぐ脇の路地裏に走った——
「アオイさん!路地裏に隠れましょう!」
「いやよ」
「はぁ!?」
アオイさんは微動だにしない、
「ここが本当にRFの世界なら撃たれます!!」
「早くこっちに!」
「・・・」
「アオイさん!」
「アッちゃん!?」
僕とユイがいくら叫んでも道の中央から動こうとしない。
無理やりにでもアオイさんを路地裏に連れ出そうと
僕は路地裏から飛び出そうとした瞬間、
——“ガタンガタン・・・キィ”——
戦車がアオイさんの前方9メートル前に停車した。
“ガチャ”
僕はデフォ装備の“グロック19”の銃を取り出し
停車した戦車に構えた——
装弾数は16発!
初めて本物の銃を構えたが、無意識に何不自由なく安全バーも解除できた。
初めて銃を構える僕の手は少し震えていたが、
問題ないく標準は定まった。
——「大丈夫だ!問題ない!」——
この後の展開は全て僕の頭にはインプットされている!
——「戦車の主砲から空砲がなって、その後」——
僕は左手42度のビルに銃口を向けた。
「・・・・・・」
「く・・・空砲が鳴らないのだ?」
僕の隣で身を隠すユイが小さく呟いた。
どうやらユイもファーストミッションは覚えていたらしい。
「おかしい」
「空砲がなってその合図で、あのビルからWCF兵が出てくる」
「うん、そうなのだ!」
「ユイ・・・君はここにいて」
「うん・・・」
僕は国道の中央に立つアオイさんのもとにゆっくりと向かった。
「アオイさん、この後あのビルから」
アオイさんは僕の言葉に耳を傾けることなく
戦車に歩みを進めた。
「!」
「アオイさん近づいちゃダメだ!」
アオイさんは僕に振り向き・・・じっと見つめた。
「あの戦車を調べないと何もわからない」
「逃げたければ」
「お前はユイを連れて逃げろ」
「・・・」
確かに、今の僕達の手がかりは戦車しかない。
「僕も調べます!」
アオイさんは再び戦車に歩みを進めた。
「好きにしろ」
“バーン”s
銃声!?
いや銃声じゃない。
僕とアオイさんは瞬時に戦車に視線を向けた——。
戦車の扉、戦車の天井に当たる部分の扉が開いている。
若干アオイさんの後方にいた僕の視界は、
戦車全体を見渡せた。
——「!!」——
アオイさんの上空3メートルに1人のWCF兵士。
刀を構え、飛びかかっているのが視界に入った——。
WCF兵士は僕達JF兵士と同じくコンタクトスーツを着用しているが、
ベースは深い緑色に黒と薄い茶色の斑点模様、
そして、顔にはドクロのフェイスカバーを装着している。
「アオイさぁん!」
僕が叫ぶと同時に、アオイさんも兵士の気配に気づいた。
「!!」
その瞬間、
“バーン”
僕はグロックの引鉄(ひきがね)を引いた。
兵士は刀を振り上げたまま、アオイさんに体当たりした。
——“ドサー!”——
その反動で二人は地面に倒れ込む。
再び僕は兵士に銃を構えたが、引鉄を引いた瞬間僕は確信していた・・・。
——「間違いなく、HD(ヘッドショット)!」——
微動だにしない兵士を僕達は見つめた。
頭からは大量の血が地面に浸透している。
ユイは大量の血と人が死ぬ所を間近にし、震えている・・・。
RFで見慣れた光景だとしてもリアリズムで直視すると
ユイの反応が一番人間らしい反応だ。
僕もユイと同じく動揺した。
だが、僕の動揺は、
もう一つ大きな自分の潜在を確信したからだ・・・・。
——「僕は人を殺しても、動揺も罪悪感もない」——
事だ。
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