上 下
3 / 17

■RINK_003_日常□

しおりを挟む
◆AM7:45◇

僕はいつもとかわらない時間に家の玄関を出る。
家の前には車一台が通れるほどの道。
いつもと変わらない
毎朝恒例の専業主婦の井戸端会議。
そして、いつもと変わらない挨拶・・・。
専業主婦3人は、僕に気づきナチュラルな表情で微笑む。

「あら ジンギ君 おはよう」

僕はいつもと変わらない作り笑いを浮かべる

「あっ おはようございます!」
あっ・・・っと今気づいたかのようなフリをする。
これもいつもと変わらない・・・。

主婦達の足元には、退屈そうに寝そべる柴犬がチラっとこちらを見るが、
再び目を閉じて眠る・・・。
犬にとってもこの光景は日常なのだろう。

そして僕はいつもと変わらない通学路を進む・・・。
徒歩23分、近くも遠くもない学校へと続く通学時間。

その通学路をいつもと同じ歩幅、
いつもと同じタイミングで変わる3つの青信号。
いつもと同じ二十代のサラリーマンとOL、他の学校の高校生や小学生が並ぶバス停。

みんなかったるそうな表情でスマホを触り、朝から強い直射日光が
バスを待つ乗客を照らす。
毎回思う事だが・・・

-バス停の屋根って小さくないか?-

と心の中で復唱し、僕はその光景に視線を合わす事なく感覚で見つめる。
僕のいつもの日常だ・・・。

そして僕は同じ歩幅で右・・・左と歩みを進める。

ちなみに僕が通う<新桜花高等学校>は、
偏差値58。中の上、または上の下、程度の高校を選んで
2年前に一般入試で入学した。

平均は50だが、僕は3点高い53。
さすがに50ぴったしは普通すぎるし、50以下は嫌なので、53を基準に設定した。
当たり障りのない数字だ・・・。

学力はそこそこの進学校、だが部活動は盛んだ。
特に陸上は国体に出場し、都大会1位の100Mの同級生もいて、
たまにメディアに取り上げられる程度には強い。

そういえば、1度僕はミスを犯しそうになった・・・。
体育の授業で100M走1位の同級生に危なく勝ちそうになりかけた。
だが、83M付近で僕の前方に誰もいない事に気づき、
僕はスピードを落とした・・・。

思ったより・・・同級生は遅かった。

8人中3位の僕はわざと息を切らし
「最後バテちゃったさ~」と嘘をついた。
その言葉を聞いた国体の同級生は、勝ち誇った顔で、

「でも 途中までいい勝負だったぜ!」と僕に言った・・・

めでたい奴だと僕は思った。

普通なら、勉学もスポーツもその道を極めた方が
リア充アピールもできるし、
地位も名誉もお金も誰もが憧れる人生を送れる可能性が高い。

だが僕にとって・・・

-いつもと変わらない日常が一番幸せな事-

確かに・・・歴史学と人類学的で見ると・・・。
人間は挑戦する事で発展し勝者となり、
安定を求める者が敗者となり勝者に従う。

しかし僕にとっては後者は敗者ではない。
今の時代では安定思考こそが勝者だ!。

一生懸命頑張っても努力は裏切る。例え努力が実って成功を収めても
その成功を応援しようとする人間、その期待感が面倒な心理的影響を与え、
人間関係に災いが生まれる・・・。

そして、成功した人間のアラを探そうとするアンチ人間も存在する。

-僕はアンチ人間のストレス発散の材料にされるはご免だ¬-

面倒なのは同世代の人間関係だけではない、
その10代の成功にたかる金欲(きんよく)の大人達だ。

例えば、甲子園のスター、陸上界のスター、フィギュア界のスターなどの
スポーツマネー。ちなみにメディアやマスコミも含む。

学業では全国模試上位、飛び級での大学進学、海外の大学への留学。
大手企業や大学の研究院、政治家、官僚など
組織の重役達は優秀な10代の確保に必死だ。

その大人達の欲と、その欲に踊らされている10代。
その10代の周りにいる家族や親戚の人間。
その全ての人間が僕にとっては・・・どちらも滑稽(こっけい)で仕方ない。

目立たず普通の会社員になって、普通に結婚していい父親を演じて、
平均寿命である80代でこの世を去る。
これが僕が導き出した・・・今の時代のニーズにあった

「人生の勝ち組だ!」

しかし・・・
・・・・・・普通に生きるのは意外と難しい。

本当に難しい・・・その大きな要因は・・・

「恋だ」

体育の授業で危うく国体の奴に勝ちそうになってしまったのも
全ては隣のグラウンドで走高跳びの授業をしていた、
彼女が原因だ・・・
僕は走る前に彼女と目が合ってしまった・・・。

後で知った事だが、彼女は僕を見ていたのではなくて、
学校のスターである国体の同級生を見ていた。

普通に考えればわかる事だが、
あの時に目が合ってしまった僕は、
我を見失った・・・。


◆AM8:08◇

ちょうど20分・・・。

いつもと変わらず、僕の視線の右手に・・・学校の校門が見えてきた。
そして その前方から3人の女子が視線に入る。

3人組の真ん中には、黒のロングヘアーの女子が見える。

身長は158センチ、体重は42キロ。
視力は右目が1.2、左目は1.0。
胸囲(きょうい)は84センチ・・・
身体検査で得た情報なので間違いない。

僕が校門前でこんな事を考えている事も知らない彼女は
いつもと変わらない・・・友達と話す優しい笑顔。
そして、その頬には・・・

-えくぼ-

く・・・たまらなく可愛い・・・。

正直に言うおう・・・
僕がいつもと変わらず
AM8:08に校門前に着くように歩みを進めるのは
全て・・・

「神崎 アオイ」・・・さん。

あなたをじっと見つめていても不自然じゃない、
-この位置関係のためだ!-

この時間は僕にとって、
大切な生き甲斐だ!。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鋼月の軌跡

チョコレ
SF
月が目覚め、地球が揺れる─廃機で挑む熱狂のロボットバトル! 未知の鉱物ルナリウムがもたらした月面開発とムーンギアバトル。廃棄された機体を修復した少年が、謎の少女ルナと出会い、世界を揺るがす戦いへと挑む近未来SFロボットアクション!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

処理中です...