妹を助けたら異世界転生。現実世界でもう二度と味わえない幸せな生活を異世界で

風都 蒼

文字の大きさ
上 下
28 / 35
知らない世界、知らない国、知らない街

居ないとダメ

しおりを挟む
 賞金についての話も終わり、オーナーがツバキとサクラに気付き近付いて来た。
 「・・朝早くにどうかしたのか?」
 「あの、キクを知りませんか?昨日の夜からいなくて、朝、帰ってくると思ったんですが・・帰ってこなくて・・。オーナーさんとアハマさんなら知ってるかなと・・」
 サクラはオーナーに聞く。オーナーはサクラとツバキを交互に見る。
 「残念ながら居場所は知らない。」
 「・・いなくなったんですか?」
 「私からは何も言えない。ただ、お前たちのため。それだけ。」
 オーナーは後ろを向いて、二人の前からいなくなった。
 「サクラさん・・」
 「宿に戻りましょう。ツバキさんは今日から気配察知の特訓ですよね?」
 「・・うん・・でも、お兄ちゃんがいないと・・・・」
 ツバキはキクが思っていた通りのことを言葉にした。その会話をアハマは影で聞いていた。
 「あの二人はダメか?」
 「うん。でも。俺は少し育ててみたい。」
 「珍しいな・・アハマがそう言うならやってみなさい。」
 オーナーはアハマにそう言って奥に入って行った。



 

 
 「はぁ、ちょっと休憩。」
 【な!早く進むぞ!】
 「休憩させて。」
 【人間はなんでこんなひ弱なんだか。】
 精霊姿の氷狐ひょうこがキクの周りを飛んでいる。氷狐は先に早く進みたいようだ。
 「精霊と人間を同じにしないで・・」
 岩の上に腰をかけて息を吐く。
 【はぁ、少し近くに行ってくる。】
 「僕から離れたら自由じゃなくなるんじゃないのか?」
 【サクラが精霊使いの魔法を使わない限り大丈夫だ。】
 「あっそ。」
 【魔物が出たら我を呼べ。】
 「あーはいはい。」
 軽い返事を聞いた氷狐は森の方へ飛んで行った。
 「疲れたー。はぁ。」
 キクは空を見上げる。
 「広いなぁ。僕には見られなかった景色だ。」
 ただ、ぼーっと空を見上げる。

 そんな時、嫌な臭いがキクの鼻を擽ぐった。
 「何この臭い・・」
 不愉快な臭いに鼻を摘む。キクは立ち上がり、臭いの根源の場所に向かって行っている。
  
 「自分でも驚いてる。なんで、来ちゃったんだろう。」
 目の前にはキクを遥かに超えるバケモノがいる。キクには敵わない相手。絶対に。
 「・・氷狐呼ばないと。」
 キクは詠唱をする準備をする。だが、声を発する前に敵の攻撃が来た。キクは危機一髪で横に避けた。
 「あぶっな」
 珍しくキクは焦っていた。
 「やばいなこれは。」
 詠唱をしようと思っても敵の攻撃で言葉を発せなかった。
 「チッ!」
 何回も当たらないように逃げ回る。どうしようか考えながら、逃げる。
 「いっ!」
 攻撃が腕を掠った。
 「どうしようか・・」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生しても山あり谷あり!

tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」 兎にも角にも今世は “おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!” を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

処理中です...