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知らない世界、知らない国、知らない街

居ないとダメ

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 賞金についての話も終わり、オーナーがツバキとサクラに気付き近付いて来た。
 「・・朝早くにどうかしたのか?」
 「あの、キクを知りませんか?昨日の夜からいなくて、朝、帰ってくると思ったんですが・・帰ってこなくて・・。オーナーさんとアハマさんなら知ってるかなと・・」
 サクラはオーナーに聞く。オーナーはサクラとツバキを交互に見る。
 「残念ながら居場所は知らない。」
 「・・いなくなったんですか?」
 「私からは何も言えない。ただ、お前たちのため。それだけ。」
 オーナーは後ろを向いて、二人の前からいなくなった。
 「サクラさん・・」
 「宿に戻りましょう。ツバキさんは今日から気配察知の特訓ですよね?」
 「・・うん・・でも、お兄ちゃんがいないと・・・・」
 ツバキはキクが思っていた通りのことを言葉にした。その会話をアハマは影で聞いていた。
 「あの二人はダメか?」
 「うん。でも。俺は少し育ててみたい。」
 「珍しいな・・アハマがそう言うならやってみなさい。」
 オーナーはアハマにそう言って奥に入って行った。



 

 
 「はぁ、ちょっと休憩。」
 【な!早く進むぞ!】
 「休憩させて。」
 【人間はなんでこんなひ弱なんだか。】
 精霊姿の氷狐ひょうこがキクの周りを飛んでいる。氷狐は先に早く進みたいようだ。
 「精霊と人間を同じにしないで・・」
 岩の上に腰をかけて息を吐く。
 【はぁ、少し近くに行ってくる。】
 「僕から離れたら自由じゃなくなるんじゃないのか?」
 【サクラが精霊使いの魔法を使わない限り大丈夫だ。】
 「あっそ。」
 【魔物が出たら我を呼べ。】
 「あーはいはい。」
 軽い返事を聞いた氷狐は森の方へ飛んで行った。
 「疲れたー。はぁ。」
 キクは空を見上げる。
 「広いなぁ。僕には見られなかった景色だ。」
 ただ、ぼーっと空を見上げる。

 そんな時、嫌な臭いがキクの鼻を擽ぐった。
 「何この臭い・・」
 不愉快な臭いに鼻を摘む。キクは立ち上がり、臭いの根源の場所に向かって行っている。
  
 「自分でも驚いてる。なんで、来ちゃったんだろう。」
 目の前にはキクを遥かに超えるバケモノがいる。キクには敵わない相手。絶対に。
 「・・氷狐呼ばないと。」
 キクは詠唱をする準備をする。だが、声を発する前に敵の攻撃が来た。キクは危機一髪で横に避けた。
 「あぶっな」
 珍しくキクは焦っていた。
 「やばいなこれは。」
 詠唱をしようと思っても敵の攻撃で言葉を発せなかった。
 「チッ!」
 何回も当たらないように逃げ回る。どうしようか考えながら、逃げる。
 「いっ!」
 攻撃が腕を掠った。
 「どうしようか・・」
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