妹を助けたら異世界転生。現実世界でもう二度と味わえない幸せな生活を異世界で

風都 蒼

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知らない世界、知らない国、知らない街

ここが居場所

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 まだ、朝日が昇る前。
 「チツール街、出たけど・・どこ行けばいいの?」
 肩に乗っている氷狐ひょうこを起こす。デカいあくびをして猫のように手で目を擦った。
 【なんだ?もう着いたのか。】
 「はぁ。いいな。僕も寝たい。」
 【甘えるでない!ほれ、行くぞ!取り敢えず真っ直ぐ前だ。】
 「・・・・」
 返事はしない。でも歩き出した。氷狐は満足そうにキクの肩を撫でた。
 チツール街を出て道を歩く。遠くにはチツール山が見えた。




 
 朝早く協会に戻ったサクラとツバキはオーナーを探す。周りには多くの冒険者が集まっていた。その真ん中にオーナーはいた。
 「何かしているみたいですね。少し待ちましょうか。」
 サクラの言葉にツバキは頷く。

 「あれ?サクラとツバキちゃん。どうしたの?」
 「アハマさん。」
 「姉さん待ち?少し待っててねぇ~。今、懸賞金の説明してるから。あ、そういえば。ここの説明してないよね?」 
 「あ、はい。昨日するはずだったんですが・・」
 「・・・・俺が食べ物を勧めたから出来なかったんだぁ~うわぁ、俺のせいだ。ごめんね。」
 「いいえ!とても美味しかったです!」
 ツバキが頬に手を置いてそう言った。「じゃあ、説明するね」とアハマは言う。
 「ここ、冒険者協会は冒険者登録は勿論、人からの依頼だったり、討伐依頼などを貰える場所。それだけじゃなく、他の協会にはないであろう宿もあるよ!二人が寝ているのもウチの宿~。いい設備が揃ってるでしょう?姉さんが少しでも疲れを癒せるようにって作ったんだよ。あとは、今やってる魔物を懸賞に出して奪いやったり、チームを作って協力するパーティーなんかも登録すれば作れるよ。ツバキちゃん、いつでもここのお菓子食べにおいで。」
 アハマの説明が終わる。ツバキは「いいんですか!」と喜んだ。
 「・・パーティ・・」
 サクラが小さく呟く。
 「サクラとツバキちゃんパーティー登録していく?」
 「あ、・・え、あの、オーナーさんに聞きたかったんですけど、キク知りませんか?」
 「・・それは、オーナーに聞きな。俺は、仕事に戻るから。」
 そう言ってそそくさといなくなった。
 「何か知ってるみたい。」
 「ツバキさん。私・・」
 「ダメだよ。サクラさん。お兄ちゃんはサクラさんを置いていかない。」
 「そう・・そうですよね・・」 
 不安そうにサクラは協会の扉を見た。




 「氷狐。まだ着かないのか?」
 キクが手を仰ぎながら訴える。
 【暑いのか?】
 「・・暑い。」
 【しょうがない。】
 そう言って、氷狐は地面に足をつけた。そしてクルッと回る。精霊に姿を変えた。
 【・・ほれ、これで涼しくなっただろう。】
 「精霊の時は、詠唱ないんだ。」
 【いや、あるぞ。でも、氷魔法だけは詠唱なくても使える。当然だろう。氷の精霊なんだからな。】
 「そう言うことか。」
 【さっさと進むぞ。】
 少し涼しくなったキクはため息をついてから、歩みを進めた。氷狐は精霊姿のままキクの周りを彷徨いている。
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