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知らない世界、知らない国、知らない街

行き先

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 「そろそろ考え終わったか?」
 街を歩いて数分。いまだに氷狐ひょうこは喋ろうとしない。
 「はぁ・・このままじゃ、僕迷子になるんだけどなぁ。」
 【・・・うるさいぞ。ちょうど考え終わった。行き場所は『フォールドネル』我の故郷。そこで、必要な物を揃えるぞ。】
 「案内して。」
 【あぁ。まずはこのチツール街を出てからな。それまで我は寝ている。出たら起こせ。】
 「自分勝手だな。」

 返事をする前に氷狐の寝息が聞こえてきた。キクはため息をついた。



 「サクラさん。じゃあ、おやすみなさい。」

 最後にそう言って部屋を出た。廊下に出たツバキは考えてから少し遠い部屋に行ってノックした。
 「お兄ちゃん。寝てる?」
 何回かノックする。でも、反応が返ってこない。ドアノブに手を乗せると鍵がかかってなかった。「お兄ちゃん?」と呼びながらベットの側まで近づいた。
 「あれ?お兄ちゃん?」
 布団を捲る。
 「お兄ちゃん?お兄ちゃん?」
 辺りを見渡す。でも、そこにキクはいない。ツバキは廊下に出る。
 「お兄ちゃん~。」
 小さい声で呼び、周りには誰もいないから当然誰も返事をしない。ツバキは迷惑だと考えてもサクラの部屋に戻った。
 「サクラさん。起きてる?」
 「はい・・起きていますよ。どうかしましたか?」
 「お兄ちゃんが部屋にいなかった。」
 「どこかに出かけて行ったんですかね?」
 「外暗いのに・・」
 「大丈夫ですよ。キクには精霊様がついていますから。明日には眠そうな顔であくびをしていますよ。」 
 「そうだよね?」
 納得はしていないみたいだったが、ツバキは部屋を出て自分の部屋に戻った。



 さくらは内心、不安だった。
 「・・なんだか、嫌な予感が・・神様、どうかキクが危ない目に合わないよう見守っていてください。」
 手を胸の前に握って願う。






 「おはよう、サクラさん・・・」
 あくびをしながら宿の廊下でサクラに会った。
 「どうしたの?」
 「キクの部屋を何回もノックしてるんですが反応がなく。」
 その言葉を聞いた時、ツバキはすぐにドアノブに手を伸ばした。
 「やっぱり開いてる・・。」
 二人は中に入る。
 「キク?」
 「お兄ちゃん?」
 「氷狐様?」
 「いない?」

 二人はキクの部屋を見渡す。

 「帰って来ていないのでしょうか?」
 「う~ん。」
 「とりあえず、冒険者協会に行ってみますか。アハマさんとオーナーさんに聞きに行きましょう。」
 「そうだね。早く行こうか。」

 一旦、部屋に戻り、準備をする。二人とも再集合し、協会に向かった。
 「お兄ちゃん、どこにいるの?」
 小さくそう呟いた。
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