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旅
賢者様
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オーナーはキクに賢者様について話す。でも、キクはどうでも良さそうだった。
「その話を僕は聞かなきゃいけない?」
話を遮って頬杖をついて言う。
「私は、聞いたほうがいいと思う。賢者様はきっとキクに関係があるから。」
少し違う雰囲気にキクは視線を逸らした。
「僕だけに話すんじゃなくてサクラとかツバキにも・・」
「私が、あの三人の中で一番強いのはキク、アンタだと思った。だから今、こう話している。」
「強いのはツバキとサクラだろう。」
「ツバキは・・確かに強い。それは、体力とか魔力だけの話。それに、一人では生きていけない。サクラに関しては世界が自分に関係ないと無関心に見える。儚くて脆い。キクは、体力も魔力も他より低い。だが、他よりも生きることに執着してる。それは、他のどんなことよりも強い魔力になる。キクほどの執着を私は見たことがない。」
真面目な顔をして、キクに話す。
「それは・・」
「誰かを探しているんじゃないのか?」
「ッ。」
図星なのかキクの体がビクッと少しだけ動いた。
「私に話してみないか?」
「・・もう賢者の話はいいのか?」
「なんだ?聞きたいのか・・意外だな。」
オーナーは珍しく、柔らかく笑った。
「賢者の話はもういい。僕が探している人に関してもオーナーさんに言う必要ない。もう用がないから僕は戻る。」
さっさと、部屋を出たいのか立ち上がった。
「少しだけ待ちな。」
オーナーも立ち上がって、キクを止めた。
「二人を悲しませることだけはしないであげなね。」
「アハマと同じことを言うんだな。姉弟って言うのはそう言うもんなんのか?」
「・・そうだね。似ているよ。もちろん、キクもツバキも。似てる。二人ともお互いを心配しているのに、本音を打ち明けられないところとかね・・」
何も言わずに、キクは部屋を出た。ドアの前でキクは「似てなんか・・ない。」と髪を掻き上げて悲しそうな顔をした。
ロビーに戻るとサクラとツバキが楽しそうに食べ物を食べていた。それを見たキクは行くのを躊躇った。
「あ、お兄ちゃん。一緒に食べよう。」
「う、うん」
ツバキがキクに気がついて呼んだ。キクは吃った声で返事をした。
「どうかした?キク。」
「うんん。疲れちゃっただけだよ。」
席に座ってサクラにそう言った。
「もうすぐでアハマさんが宿に案内してくれるって。だからそれまで、何か好きなもの食べていいって言っていたよ。」
メニューをキクに渡した。机の上にもすでに食べ物が置いてあった。
「全部・・甘いもの?」
机の上には甘いお菓子がたくさん置かれていた。
「この冒険者教会のお菓子すっごい美味しいんだよ。」
「・・頼みすぎじゃないか?」
「そ、そうかな?美味しくてつい。お兄ちゃんも食べよう。」
あははとツバキは頬を掻いた。
「ごめん。甘いものは・・」
「あっ・・ごめん。そうだよね。」
ツバキが気まずそうにキクから視線を逸らす。隣に座っているサクラが不思議そうにしていたのにキクは気がついた。
「気にしなくていいよ。ただ、少しトラウマがあるだけ・・。」
「それをサクラは知りたいのにね?」
そんな声がサクラの後ろから聞こえた。
「アハマさん!」
びっくりして後ろを振り返った。
「なんのトラウマか知りたいよね?」
「い、いえ。」
「本当のこと言っちゃいなよ。」
「・・少しだけ・・気になりますけど・・」
「でしょう・・っていた!」
アハマは頭を抑える。後ろには手を挙げているオーナーがいた。
「よそ様の事情に口を挟むな。」
「姉さん!謝るから~嫌わないで~。姉さん~」
オーナーの後を追いかけていなくなった。
「サクラ。別に気にしなくても・・もう前世のことだし。」
「私は・・聞きたい。キクに何かあったのか私、知らないから・・何が嫌いなのか、何が好きなのか・・全然知らない。それは少し寂しい。」
「・・前世の話だよ・・。僕の誕生日11月3日の日。お父さんが僕に珍しくケーキを買ってきてくれたんだ。」
「その話を僕は聞かなきゃいけない?」
話を遮って頬杖をついて言う。
「私は、聞いたほうがいいと思う。賢者様はきっとキクに関係があるから。」
少し違う雰囲気にキクは視線を逸らした。
「僕だけに話すんじゃなくてサクラとかツバキにも・・」
「私が、あの三人の中で一番強いのはキク、アンタだと思った。だから今、こう話している。」
「強いのはツバキとサクラだろう。」
「ツバキは・・確かに強い。それは、体力とか魔力だけの話。それに、一人では生きていけない。サクラに関しては世界が自分に関係ないと無関心に見える。儚くて脆い。キクは、体力も魔力も他より低い。だが、他よりも生きることに執着してる。それは、他のどんなことよりも強い魔力になる。キクほどの執着を私は見たことがない。」
真面目な顔をして、キクに話す。
「それは・・」
「誰かを探しているんじゃないのか?」
「ッ。」
図星なのかキクの体がビクッと少しだけ動いた。
「私に話してみないか?」
「・・もう賢者の話はいいのか?」
「なんだ?聞きたいのか・・意外だな。」
オーナーは珍しく、柔らかく笑った。
「賢者の話はもういい。僕が探している人に関してもオーナーさんに言う必要ない。もう用がないから僕は戻る。」
さっさと、部屋を出たいのか立ち上がった。
「少しだけ待ちな。」
オーナーも立ち上がって、キクを止めた。
「二人を悲しませることだけはしないであげなね。」
「アハマと同じことを言うんだな。姉弟って言うのはそう言うもんなんのか?」
「・・そうだね。似ているよ。もちろん、キクもツバキも。似てる。二人ともお互いを心配しているのに、本音を打ち明けられないところとかね・・」
何も言わずに、キクは部屋を出た。ドアの前でキクは「似てなんか・・ない。」と髪を掻き上げて悲しそうな顔をした。
ロビーに戻るとサクラとツバキが楽しそうに食べ物を食べていた。それを見たキクは行くのを躊躇った。
「あ、お兄ちゃん。一緒に食べよう。」
「う、うん」
ツバキがキクに気がついて呼んだ。キクは吃った声で返事をした。
「どうかした?キク。」
「うんん。疲れちゃっただけだよ。」
席に座ってサクラにそう言った。
「もうすぐでアハマさんが宿に案内してくれるって。だからそれまで、何か好きなもの食べていいって言っていたよ。」
メニューをキクに渡した。机の上にもすでに食べ物が置いてあった。
「全部・・甘いもの?」
机の上には甘いお菓子がたくさん置かれていた。
「この冒険者教会のお菓子すっごい美味しいんだよ。」
「・・頼みすぎじゃないか?」
「そ、そうかな?美味しくてつい。お兄ちゃんも食べよう。」
あははとツバキは頬を掻いた。
「ごめん。甘いものは・・」
「あっ・・ごめん。そうだよね。」
ツバキが気まずそうにキクから視線を逸らす。隣に座っているサクラが不思議そうにしていたのにキクは気がついた。
「気にしなくていいよ。ただ、少しトラウマがあるだけ・・。」
「それをサクラは知りたいのにね?」
そんな声がサクラの後ろから聞こえた。
「アハマさん!」
びっくりして後ろを振り返った。
「なんのトラウマか知りたいよね?」
「い、いえ。」
「本当のこと言っちゃいなよ。」
「・・少しだけ・・気になりますけど・・」
「でしょう・・っていた!」
アハマは頭を抑える。後ろには手を挙げているオーナーがいた。
「よそ様の事情に口を挟むな。」
「姉さん!謝るから~嫌わないで~。姉さん~」
オーナーの後を追いかけていなくなった。
「サクラ。別に気にしなくても・・もう前世のことだし。」
「私は・・聞きたい。キクに何かあったのか私、知らないから・・何が嫌いなのか、何が好きなのか・・全然知らない。それは少し寂しい。」
「・・前世の話だよ・・。僕の誕生日11月3日の日。お父さんが僕に珍しくケーキを買ってきてくれたんだ。」
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