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旅
チツール街 城門
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キク、サクラ、椿あと、氷狐が増えてチツール山を下山し始めた。
「そろそろ『身体強化+武器強化』魔法使った方が楽だと思うよキク。」
「そう?分かった。」
そう言われてキクは心の中で呟く。
スキル発動:『身体強化+武器強化』
その瞬間体が軽くなり疲れが取れた。
「あの時は意識してなかったけどなるほど・・・そんな効果があるのか。」
手を開いて見る。
「あの時?」
「変な奴に捕まった時。」
【キクはもしかして弱いのか?】
「・・・・氷狐。そんなことよりもどこに登ってると思ってる?」
【そんなの分かってることだろ?お主の肩にいるだろうに】
「分かってるよ。重いって言ってるんだ。」
【我に重いだと・・・お主は弱いのだなぁ。】
「はぁ。降りようとは思わないのか?」
【なんだ?身体強化の魔法をかけておきながら重いのか?】
氷狐は鼻で笑う。
「お二人とも喧嘩はほどほどにしてくださいね。」
【サクラ、お主は精霊使いなのだぞ。うるさいと叱れば我は従うしかない。そんな優しい言葉をかけていたら従わせたい時に言えなくなるぞ。】
「氷狐様。私は精霊様達を拘束したいとは思っていません。従いたくないのなら従わなくて良い。そんな関係でいたいのです。それは私の我儘でしょうか?」
【我に聞かれても困る。我は精霊立場でしかわからんからな。だが、お主がそうやりたいのなら良いんじゃないか?我はその考えもまた、好きだぞ。】
「ありがとうございます。」
氷狐が精霊に戻りながら呟くやっと自分で飛んでくれるみたいだ。
「サクラさん。誰と喋ってるの?二人とももしかしてキツネの言葉が分かるの?良いなぁ、私も喋りたい。」
「あ、すみません。椿さん。」
椿の頭にサクラは手をおいて「行け」と呟いた。
【この娘は椿と言うのか。ふむ。おい椿よ。お・・・
「!!人が浮いてる!何これ。あれ狐は?」
【この娘は我の姿が見れなかったのか?】
「うぁわ~小さい、可愛い。お兄ちゃん!狐は?」
「そこにいる浮いている奴だ。」
「もう!三人とも足が止まっていますよ!この調子だと日が暮れてしまいます。」
遅いスピードに空を見上げだサクラが叫ぶ。その声を聞いた椿は駆け足でキクはお構いなくいつも通りの歩幅で氷狐は狐に戻ってまたキク肩に飛び乗った。ズシッと肩が重くなり肩がガクっとなったが氷狐がため息を吐いて
スキル発動:『重量軽減』
と呟いた。
「その魔法なんだ?『重量軽減』って言っていたが。」
「そのままだ。重量を無視することが出来る。これなら軽いだろ?」
「ああ。」
何も考えずに森を降りていく。・・・・・
「・・・!降りれば魔力使わないで済むはずなのに!」
と気がついた。氷狐はシシシっと笑って【今更か?】と呟いた。
夕方になり辺りがオレンジ色で染まる。もう三人と一匹の目の前には城門が見える。
「見えてきました。」
そのサクラの一言で椿は深呼吸をした。
「やっとだー」
「椿さん、お疲れ様です。あとありがとうございます。」
「椿。疲れてない?」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん。」
森を下山しているときに出会ってしまった魔物を倒したのがほぼ椿で三人は呆然と椿の戦いを見ていたのだった。
「いやぁ、あのゴブリンは強かった。」
「椿さんでも苦戦していましたね。」
「氷狐が力を貸すって言っておきながら寝てたしね。」
【我のせいだと言うのか?許せん。我は力を蓄えていたんだ。文句は言わせん。】
「イッ」
氷狐がキクは首を噛んだ。
「まぁでも椿さんがいてくれて良かったです。」
下山のことを話し合っているといつの間にか城門に着いた。
「こんばんは。」
「旅のお方ですか?」
「いいえ。チツール山から来た者です。冒険者登録をしたくて来た次第です。」
「チツール山ですか?チツール山は今、危険視されていて入れなはずですが・・・」
「危険視される前から住んでいて・・」
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「トアキです。」
「・・・」
「ああのトアキ・サクラと言います。」
「・・・あ、すみません。トアキ様ですね。もしかしかして・・・」
「出来れば言いたくなかったのですが私達は英雄のトアキの娘と息子です。」
「し、失礼しました!お話は伺っていたのですがまさか今日来るとは思っておらず。」
「お話?」
「ええ、トアキ様ご本人から手紙を頂き、娘と息子がお邪魔すると知っていました。」
「そ、そうなんですか?」
「ええそう、王様から聞いていました。トアキ様ご家族ならばどうぞお通りください。」
城門が開いた。キクと椿は中に入ろうとしたがサクラは兵士の前から動かなかった。
「サクラ?」
「あの、私が英雄の娘、息子が来たことを伝えないで貰えないでしょうか?私達自ら王様に謁見しに行きたいと思っております。」
「そうですか。・・・分かりました。では、どうぞお入りください。」
「ありがとうございます。」
兵士の方はお辞儀をして三人を見送った。
「おい!良いのか?あの動物を街の中に入れて!チツール山から来た者達なんだろう?動物は何か感染症とかにかかっていたら・・・あぁ考えるだけでぞわぞわする。」
ある兵士がお辞儀をしていた兵士に駆け寄り言う。
「大丈夫だろう。なんせ英雄様のご家族だ。」
「そうなのか?まぁ、門番のお前が言うなら俺からは言えないが」
「一つ、気になることはある。」
「なんだ?」
「王様に聞いた話だと英雄の子供だと言ってこの街に来るのはサクラ様とキク様だけだと聞いていただが実際は女の子がもう一人いなかったか?」
「・・・確かに!どうするだ?その娘が暗殺者だったら。やべーよ。これがバレたら俺たち・・・」
「言うな、言うな、俺は忘れる。じゃ、俺は門番に戻る。・・・・そこ、止まりなさい。城門が開いているからって勝手に入ろうとしない!」
そう誰かに注意しながら兵士は戻って行った。
「そろそろ『身体強化+武器強化』魔法使った方が楽だと思うよキク。」
「そう?分かった。」
そう言われてキクは心の中で呟く。
スキル発動:『身体強化+武器強化』
その瞬間体が軽くなり疲れが取れた。
「あの時は意識してなかったけどなるほど・・・そんな効果があるのか。」
手を開いて見る。
「あの時?」
「変な奴に捕まった時。」
【キクはもしかして弱いのか?】
「・・・・氷狐。そんなことよりもどこに登ってると思ってる?」
【そんなの分かってることだろ?お主の肩にいるだろうに】
「分かってるよ。重いって言ってるんだ。」
【我に重いだと・・・お主は弱いのだなぁ。】
「はぁ。降りようとは思わないのか?」
【なんだ?身体強化の魔法をかけておきながら重いのか?】
氷狐は鼻で笑う。
「お二人とも喧嘩はほどほどにしてくださいね。」
【サクラ、お主は精霊使いなのだぞ。うるさいと叱れば我は従うしかない。そんな優しい言葉をかけていたら従わせたい時に言えなくなるぞ。】
「氷狐様。私は精霊様達を拘束したいとは思っていません。従いたくないのなら従わなくて良い。そんな関係でいたいのです。それは私の我儘でしょうか?」
【我に聞かれても困る。我は精霊立場でしかわからんからな。だが、お主がそうやりたいのなら良いんじゃないか?我はその考えもまた、好きだぞ。】
「ありがとうございます。」
氷狐が精霊に戻りながら呟くやっと自分で飛んでくれるみたいだ。
「サクラさん。誰と喋ってるの?二人とももしかしてキツネの言葉が分かるの?良いなぁ、私も喋りたい。」
「あ、すみません。椿さん。」
椿の頭にサクラは手をおいて「行け」と呟いた。
【この娘は椿と言うのか。ふむ。おい椿よ。お・・・
「!!人が浮いてる!何これ。あれ狐は?」
【この娘は我の姿が見れなかったのか?】
「うぁわ~小さい、可愛い。お兄ちゃん!狐は?」
「そこにいる浮いている奴だ。」
「もう!三人とも足が止まっていますよ!この調子だと日が暮れてしまいます。」
遅いスピードに空を見上げだサクラが叫ぶ。その声を聞いた椿は駆け足でキクはお構いなくいつも通りの歩幅で氷狐は狐に戻ってまたキク肩に飛び乗った。ズシッと肩が重くなり肩がガクっとなったが氷狐がため息を吐いて
スキル発動:『重量軽減』
と呟いた。
「その魔法なんだ?『重量軽減』って言っていたが。」
「そのままだ。重量を無視することが出来る。これなら軽いだろ?」
「ああ。」
何も考えずに森を降りていく。・・・・・
「・・・!降りれば魔力使わないで済むはずなのに!」
と気がついた。氷狐はシシシっと笑って【今更か?】と呟いた。
夕方になり辺りがオレンジ色で染まる。もう三人と一匹の目の前には城門が見える。
「見えてきました。」
そのサクラの一言で椿は深呼吸をした。
「やっとだー」
「椿さん、お疲れ様です。あとありがとうございます。」
「椿。疲れてない?」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん。」
森を下山しているときに出会ってしまった魔物を倒したのがほぼ椿で三人は呆然と椿の戦いを見ていたのだった。
「いやぁ、あのゴブリンは強かった。」
「椿さんでも苦戦していましたね。」
「氷狐が力を貸すって言っておきながら寝てたしね。」
【我のせいだと言うのか?許せん。我は力を蓄えていたんだ。文句は言わせん。】
「イッ」
氷狐がキクは首を噛んだ。
「まぁでも椿さんがいてくれて良かったです。」
下山のことを話し合っているといつの間にか城門に着いた。
「こんばんは。」
「旅のお方ですか?」
「いいえ。チツール山から来た者です。冒険者登録をしたくて来た次第です。」
「チツール山ですか?チツール山は今、危険視されていて入れなはずですが・・・」
「危険視される前から住んでいて・・」
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「トアキです。」
「・・・」
「ああのトアキ・サクラと言います。」
「・・・あ、すみません。トアキ様ですね。もしかしかして・・・」
「出来れば言いたくなかったのですが私達は英雄のトアキの娘と息子です。」
「し、失礼しました!お話は伺っていたのですがまさか今日来るとは思っておらず。」
「お話?」
「ええ、トアキ様ご本人から手紙を頂き、娘と息子がお邪魔すると知っていました。」
「そ、そうなんですか?」
「ええそう、王様から聞いていました。トアキ様ご家族ならばどうぞお通りください。」
城門が開いた。キクと椿は中に入ろうとしたがサクラは兵士の前から動かなかった。
「サクラ?」
「あの、私が英雄の娘、息子が来たことを伝えないで貰えないでしょうか?私達自ら王様に謁見しに行きたいと思っております。」
「そうですか。・・・分かりました。では、どうぞお入りください。」
「ありがとうございます。」
兵士の方はお辞儀をして三人を見送った。
「おい!良いのか?あの動物を街の中に入れて!チツール山から来た者達なんだろう?動物は何か感染症とかにかかっていたら・・・あぁ考えるだけでぞわぞわする。」
ある兵士がお辞儀をしていた兵士に駆け寄り言う。
「大丈夫だろう。なんせ英雄様のご家族だ。」
「そうなのか?まぁ、門番のお前が言うなら俺からは言えないが」
「一つ、気になることはある。」
「なんだ?」
「王様に聞いた話だと英雄の子供だと言ってこの街に来るのはサクラ様とキク様だけだと聞いていただが実際は女の子がもう一人いなかったか?」
「・・・確かに!どうするだ?その娘が暗殺者だったら。やべーよ。これがバレたら俺たち・・・」
「言うな、言うな、俺は忘れる。じゃ、俺は門番に戻る。・・・・そこ、止まりなさい。城門が開いているからって勝手に入ろうとしない!」
そう誰かに注意しながら兵士は戻って行った。
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