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旅
精霊
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僕は朝の日差しが眩しくて目を覚ました。
「・・・・もう朝?」
目を擦りながら窓を開けると気持ち風が入って来た。短い髪が左右に揺れる。ぼーっと外を見ているとノックの音がして「起きてる?」と声が聞こえた。僕は「起きてるよ」と言いながらベットから飛び降りた。扉が開きサクラが入って来て
「もうツバキさんは起きてるよ。着替えたら下降りて来て朝ご飯。」
「あぁ、分かった。」
「じゃ、待ってるから」
そう言いサクラが出て行こうしていたのを僕は「サクラ」と言って引き留めた。サクラは振り返って僕を見る。
「おはよう」
「!おはよう」
最初、サクラはびっくりしていたが柔らかく微笑んで嬉しそうに言った。
「着替えてから行くよ」
「ええ」
サクラはルンルンで扉を閉めて出て行った。僕はリュックから一枚服を取り出して着替え始めた。
数秒で着替えられて部屋を出た。下に降りる前に洗面台に向かい顔を洗った。拭う前に鏡を見る。水がポツポツと下に落ちる。すると水に紛れて一粒の涙が頬を伝った。僕は慌てて顔をタオルで拭いた。首を横に振り下に降りて行った。
「あ!お兄ちゃん!」
「・・・椿。だからお兄ちゃんじゃないって」
「あ!・・・キク?・・・ん~。お兄ちゃんじゃダメ?どうもしっくりこないの。」
「はぁ~良いよ。もうお兄ちゃんで」
そう言うと椿は「やったー」と喜んだ。
「二人とも食べましょう?」
三人でテーブルを囲んで朝ご飯を食べた。その間チツール街のことを話していた。
「サクラ、チツール街でまず何をするんだ?」
「まず最初に冒険者登録をしに行ってそのあと王様に謁見しに行くの」
「ん?何って言った?王様?」
「ええ、王様に謁見するよ?」
「なんで?」
「えーと・・・実は転生の番人と言うのは王族の管轄内なので辞めたこととこれからのことについて話しそうかなと思ってるの・・・ごめん、勝手で」
「嫌、サクラがそう言うなら行こう。僕は大丈夫・・・」
「わ、私も大丈夫!」
椿も同意しサクラは柔らかく微笑んで「ありがとう」と言った。
三人は・・・椿は食器を水魔法で洗い、風魔法で乾かした。その様子を僕はじーと見ていた。
「お、お兄ちゃん?」
恥ずかしいのか照れ臭そうに頬を染める。
「イヤ、魔法は便利だなと感じただけだ。悪気はない。」
「キク。魔法。もっと欲張って貰えば良かったのに・・・」
「欲張ったら欲張ったで使い道のない魔法とかも後々出て来そうで、なら使い道のありそうな魔法に絞った方がいいと思った。」
椿が食器洗いを終わるのを待っていながら簡単に荷物の整理を行った。
全てが終わり三人は小屋の外に出ていた。
「サクラさん、この小屋どうするの?」
「しまいます。」
そう言ってサクラは前に手を伸ばして静かに目をつぶった。
「土、木の精霊よ。我らが有るべきところに帰りなさい。我、トアキ・サクラの名の下感謝を申し上げます。お世話にそしてありがとうございます。」
【・・・サクラ。我ら土の精いつでも呼んでくれ。我らは精霊使いの君に着いて行こう。我らはどこにでもいるぞ。頼ると良い。では】
【・・・えぇ。私達木の精も土達と同じ意見です。私達は待っていたのです。精霊使いを。サクラ。良い名前ですね。では木の精、土の精行くとしましょう。・・・】
微かだがそんな声を聞いた気がする。
「精霊達が私達を歓迎してくれましたね。」
その言葉と同時に小屋が光、無くなった。そう無くなったと言う言葉が正しい。壊れたよりも無くなったの方が。
「そうか、精霊が」
僕は見えない精霊に向かって頭を下げた。すると誰かが僕を撫でた感じがあった。
「フフ。氷の精も来てたみたいでキクを気に入ったみたいだよ。」
サクラは僕の頭を触って「行け」と呟いた。すると目の前に小さい女の人が浮いていた。いや?飛んでいたの方が良いのだろうか?羽が着いている。
「!」
【トアキ・キク。我はお主が気に入った。お主、攻撃魔法が使えんみたいだから、我が助けたやろう。】
「・・・ありがとう。えっと氷の精霊様?」
【アハハ!様は良いなぁ~。だがちょいと長過ぎる。我のことは氷狐と呼んでくれ氷狐様で良いぞ!】
「氷狐。」
【な、様はどうした!】
「氷狐。」
【はぁ~まぁ良い。なんだキク。】
「氷狐って名前に狐が入ってるけどもしかして」
【良い質問だな。そうだ。我は・・・狐になれる】
「うわぁー可愛い。」
【な、なんだ。この小娘は!おい!キク、助けろ。】
「狐って・・・」
【何か、勘違いしておるな。ちゃんと化け狐になれるわ。】
そう言って可愛らしい狐になった氷狐は宙返りをして人間の姿になった。キクは拍手をした。
【なんか、むかつく拍手だな。】
「はいはい。精霊に戻ってください。氷狐様。」
【ちっ。むかつくやつだな。まぁ良い我は寛大だからな。】
「サクラ。行こっか?」
「はい!椿さん、行きましょう」
「はーい!」
三人と一匹は森の中に入って行った。
これからの旅が楽しみだ。
そう誰かが小さく呟いた。
このお話を読んで頂いたありがとうございます。なかなかお話を上げるのが定まらなくですみません。
次のお話からいよいよ旅が始まります。旅に出るまでの流れが長くて飽きてしまった人もいるかと思いますがこれからも読んで頂けらば幸いです。
どうぞこれからも『妹を助けたら異世界転生。』をよろしくお願いします。
風都 蒼
「・・・・もう朝?」
目を擦りながら窓を開けると気持ち風が入って来た。短い髪が左右に揺れる。ぼーっと外を見ているとノックの音がして「起きてる?」と声が聞こえた。僕は「起きてるよ」と言いながらベットから飛び降りた。扉が開きサクラが入って来て
「もうツバキさんは起きてるよ。着替えたら下降りて来て朝ご飯。」
「あぁ、分かった。」
「じゃ、待ってるから」
そう言いサクラが出て行こうしていたのを僕は「サクラ」と言って引き留めた。サクラは振り返って僕を見る。
「おはよう」
「!おはよう」
最初、サクラはびっくりしていたが柔らかく微笑んで嬉しそうに言った。
「着替えてから行くよ」
「ええ」
サクラはルンルンで扉を閉めて出て行った。僕はリュックから一枚服を取り出して着替え始めた。
数秒で着替えられて部屋を出た。下に降りる前に洗面台に向かい顔を洗った。拭う前に鏡を見る。水がポツポツと下に落ちる。すると水に紛れて一粒の涙が頬を伝った。僕は慌てて顔をタオルで拭いた。首を横に振り下に降りて行った。
「あ!お兄ちゃん!」
「・・・椿。だからお兄ちゃんじゃないって」
「あ!・・・キク?・・・ん~。お兄ちゃんじゃダメ?どうもしっくりこないの。」
「はぁ~良いよ。もうお兄ちゃんで」
そう言うと椿は「やったー」と喜んだ。
「二人とも食べましょう?」
三人でテーブルを囲んで朝ご飯を食べた。その間チツール街のことを話していた。
「サクラ、チツール街でまず何をするんだ?」
「まず最初に冒険者登録をしに行ってそのあと王様に謁見しに行くの」
「ん?何って言った?王様?」
「ええ、王様に謁見するよ?」
「なんで?」
「えーと・・・実は転生の番人と言うのは王族の管轄内なので辞めたこととこれからのことについて話しそうかなと思ってるの・・・ごめん、勝手で」
「嫌、サクラがそう言うなら行こう。僕は大丈夫・・・」
「わ、私も大丈夫!」
椿も同意しサクラは柔らかく微笑んで「ありがとう」と言った。
三人は・・・椿は食器を水魔法で洗い、風魔法で乾かした。その様子を僕はじーと見ていた。
「お、お兄ちゃん?」
恥ずかしいのか照れ臭そうに頬を染める。
「イヤ、魔法は便利だなと感じただけだ。悪気はない。」
「キク。魔法。もっと欲張って貰えば良かったのに・・・」
「欲張ったら欲張ったで使い道のない魔法とかも後々出て来そうで、なら使い道のありそうな魔法に絞った方がいいと思った。」
椿が食器洗いを終わるのを待っていながら簡単に荷物の整理を行った。
全てが終わり三人は小屋の外に出ていた。
「サクラさん、この小屋どうするの?」
「しまいます。」
そう言ってサクラは前に手を伸ばして静かに目をつぶった。
「土、木の精霊よ。我らが有るべきところに帰りなさい。我、トアキ・サクラの名の下感謝を申し上げます。お世話にそしてありがとうございます。」
【・・・サクラ。我ら土の精いつでも呼んでくれ。我らは精霊使いの君に着いて行こう。我らはどこにでもいるぞ。頼ると良い。では】
【・・・えぇ。私達木の精も土達と同じ意見です。私達は待っていたのです。精霊使いを。サクラ。良い名前ですね。では木の精、土の精行くとしましょう。・・・】
微かだがそんな声を聞いた気がする。
「精霊達が私達を歓迎してくれましたね。」
その言葉と同時に小屋が光、無くなった。そう無くなったと言う言葉が正しい。壊れたよりも無くなったの方が。
「そうか、精霊が」
僕は見えない精霊に向かって頭を下げた。すると誰かが僕を撫でた感じがあった。
「フフ。氷の精も来てたみたいでキクを気に入ったみたいだよ。」
サクラは僕の頭を触って「行け」と呟いた。すると目の前に小さい女の人が浮いていた。いや?飛んでいたの方が良いのだろうか?羽が着いている。
「!」
【トアキ・キク。我はお主が気に入った。お主、攻撃魔法が使えんみたいだから、我が助けたやろう。】
「・・・ありがとう。えっと氷の精霊様?」
【アハハ!様は良いなぁ~。だがちょいと長過ぎる。我のことは氷狐と呼んでくれ氷狐様で良いぞ!】
「氷狐。」
【な、様はどうした!】
「氷狐。」
【はぁ~まぁ良い。なんだキク。】
「氷狐って名前に狐が入ってるけどもしかして」
【良い質問だな。そうだ。我は・・・狐になれる】
「うわぁー可愛い。」
【な、なんだ。この小娘は!おい!キク、助けろ。】
「狐って・・・」
【何か、勘違いしておるな。ちゃんと化け狐になれるわ。】
そう言って可愛らしい狐になった氷狐は宙返りをして人間の姿になった。キクは拍手をした。
【なんか、むかつく拍手だな。】
「はいはい。精霊に戻ってください。氷狐様。」
【ちっ。むかつくやつだな。まぁ良い我は寛大だからな。】
「サクラ。行こっか?」
「はい!椿さん、行きましょう」
「はーい!」
三人と一匹は森の中に入って行った。
これからの旅が楽しみだ。
そう誰かが小さく呟いた。
このお話を読んで頂いたありがとうございます。なかなかお話を上げるのが定まらなくですみません。
次のお話からいよいよ旅が始まります。旅に出るまでの流れが長くて飽きてしまった人もいるかと思いますがこれからも読んで頂けらば幸いです。
どうぞこれからも『妹を助けたら異世界転生。』をよろしくお願いします。
風都 蒼
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