11 / 35
本音
椿が見ていた父
しおりを挟む
父はお兄ちゃんが言った通り弱い人だ。
ちゃんとは聞いていなかったが父は子供の頃家族、親戚から暴力を受けていた。唯一助けてくれたのは隣の家に住む幼馴染家族だけだった。助けたと言ってもただ『大丈夫?』と声をかけられたぐらいだが父にとってそれは嬉しい言葉だったらしい。その言葉に救われて父は暴力に耐えていた。親が亡くなって少しは改善すると思った。でも親の暴力を見て暴力で育った兄は何も変わらなかった。父に暴力振るうことが生活の一部だと思っている兄にとって父はただのサンドバッグ。父は耐えることを諦めた。助けを求める。
「助けて」
その一言で兄の人生は簡単に終わった。父は後悔などしていないと言った。
兄の人生を潰した後父は路頭に迷った。ずっと家族に閉じ込められていた身。外の事など知らない。親戚も頼れない。父は何もする事ができない。金がない、人脈もない、何もない。ただお腹が鳴りながら歩き続けた。限界だったのだろう。父は倒れた。その時助けてくれたのが母だった。母は父に何があったのか知っていた。それで父を探していてやっと見てけたらしい。母は父を介抱した。母は父に頭を下げた。
「私の家族が酷いことしてすみませんでした。何か私に出来ることはありませんか?」
その一言で父は気がついた。母は父に暴力を振るって来た親戚の子供だったのだ。母も父が受けている暴力を見て育った一人だったが母は道に迷わずにちゃんとした人生を送っていて父は感動したらしい。父は母に言った。
「そのままでいて下さい。兄のように暴力で人を支配しようとしないでください。」
と。
そんな会話を父とした覚えがあった。その後父は私に言った。
『今度は皆んなで桜。見にいこうな。泉華も誘って・・』
そう言ったんだ。ちゃんと言った。私に・・
『泉華をお兄ちゃんを傷つけてしまったらお前がお兄ちゃんを助けて俺を責めてくれ。』『自分じゃ自分を押さえられないんだ』『お父さんを止めてくれ』
私に言った。
『どうすれば泉華に謝ることが出来る?泉華は俺じゃない。泉華は・・・俺じゃない。あいつにあいつに暴力で支配しないでって言ったはずなのに・・どうして俺がこんなことしているんだ?俺はまだあいつらに囚われているのか?そんなはずない。俺は家族を捨てた。名前だって・・変えた。苗字も・・・俺は全部変えた。だがらあいつらと同じじゃない。暴力は俺の嫌いなもののはずなのに・・俺は何をしているんだ?俺が・・自分の子供に暴力で支配しようとしている?・・・そんなはずない。そんなはずはない。・・・椿・・俺は何処で間違えた?教えてくれ・・』
『泉華には『私に触れるな』と言う意味を教えたが本当はな『誰とでも仲良く心が開けるような子』って意味なんだ。もし伝える時があったら教えてやってくれ』
父は後悔したと言っていた。全部のことに。
あの時、助けを求めるべきではなかった。助けを呼んだから今の俺が出来てしまっている。
『ごめんな椿。ダメな父親で・・ごめんな。もし・・』
最後の会話にそう言った。その先は聞くことは出来なかった。私が言ってしまった。
「お父さんは・・どうして私に言うの?お兄ちゃんに直接言えば解決しないの?」
と。父は苦笑いをして私の頭を撫でてから出かけて行った。
そしたら父は死んだ。
私のせい?
私が家族を壊した?
私が・・・・・・・
ちゃんとは聞いていなかったが父は子供の頃家族、親戚から暴力を受けていた。唯一助けてくれたのは隣の家に住む幼馴染家族だけだった。助けたと言ってもただ『大丈夫?』と声をかけられたぐらいだが父にとってそれは嬉しい言葉だったらしい。その言葉に救われて父は暴力に耐えていた。親が亡くなって少しは改善すると思った。でも親の暴力を見て暴力で育った兄は何も変わらなかった。父に暴力振るうことが生活の一部だと思っている兄にとって父はただのサンドバッグ。父は耐えることを諦めた。助けを求める。
「助けて」
その一言で兄の人生は簡単に終わった。父は後悔などしていないと言った。
兄の人生を潰した後父は路頭に迷った。ずっと家族に閉じ込められていた身。外の事など知らない。親戚も頼れない。父は何もする事ができない。金がない、人脈もない、何もない。ただお腹が鳴りながら歩き続けた。限界だったのだろう。父は倒れた。その時助けてくれたのが母だった。母は父に何があったのか知っていた。それで父を探していてやっと見てけたらしい。母は父を介抱した。母は父に頭を下げた。
「私の家族が酷いことしてすみませんでした。何か私に出来ることはありませんか?」
その一言で父は気がついた。母は父に暴力を振るって来た親戚の子供だったのだ。母も父が受けている暴力を見て育った一人だったが母は道に迷わずにちゃんとした人生を送っていて父は感動したらしい。父は母に言った。
「そのままでいて下さい。兄のように暴力で人を支配しようとしないでください。」
と。
そんな会話を父とした覚えがあった。その後父は私に言った。
『今度は皆んなで桜。見にいこうな。泉華も誘って・・』
そう言ったんだ。ちゃんと言った。私に・・
『泉華をお兄ちゃんを傷つけてしまったらお前がお兄ちゃんを助けて俺を責めてくれ。』『自分じゃ自分を押さえられないんだ』『お父さんを止めてくれ』
私に言った。
『どうすれば泉華に謝ることが出来る?泉華は俺じゃない。泉華は・・・俺じゃない。あいつにあいつに暴力で支配しないでって言ったはずなのに・・どうして俺がこんなことしているんだ?俺はまだあいつらに囚われているのか?そんなはずない。俺は家族を捨てた。名前だって・・変えた。苗字も・・・俺は全部変えた。だがらあいつらと同じじゃない。暴力は俺の嫌いなもののはずなのに・・俺は何をしているんだ?俺が・・自分の子供に暴力で支配しようとしている?・・・そんなはずない。そんなはずはない。・・・椿・・俺は何処で間違えた?教えてくれ・・』
『泉華には『私に触れるな』と言う意味を教えたが本当はな『誰とでも仲良く心が開けるような子』って意味なんだ。もし伝える時があったら教えてやってくれ』
父は後悔したと言っていた。全部のことに。
あの時、助けを求めるべきではなかった。助けを呼んだから今の俺が出来てしまっている。
『ごめんな椿。ダメな父親で・・ごめんな。もし・・』
最後の会話にそう言った。その先は聞くことは出来なかった。私が言ってしまった。
「お父さんは・・どうして私に言うの?お兄ちゃんに直接言えば解決しないの?」
と。父は苦笑いをして私の頭を撫でてから出かけて行った。
そしたら父は死んだ。
私のせい?
私が家族を壊した?
私が・・・・・・・
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
異世界の親が過保護過ぎて最強
みやび
ファンタジー
ある日、突然転生の為に呼び出された男。
しかし、異世界転生前に神様と喧嘩した結果、死地に送られる。
魔物に襲われそうな所を白銀の狼に助けられたが、意思の伝達があまり上手く出来なかった。
狼に拾われた先では、里ならではの子育てをする過保護な里親に振り回される日々。
男はこの状況で生き延びることができるのか───?
大人になった先に待ち受ける彼の未来は────。
☆
第1話~第7話 赤ん坊時代
第8話~第25話 少年時代
第26話~第?話 成人時代
☆
webで投稿している小説を読んでくださった方が登場人物を描いて下さいました!
本当にありがとうございます!!!
そして、ご本人から小説への掲載許可を頂きました(≧▽≦)
♡Thanks♡
イラスト→@ゆお様
あらすじが分かりにくくてごめんなさいっ!
ネタバレにならない程度のあらすじってどーしたらいいの……
読んで貰えると嬉しいです!
追放シーフの成り上がり
白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。
前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。
これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。
ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。
ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに……
「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。
ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。
新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。
理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。
そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。
ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。
それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。
自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。
そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」?
戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。
みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜
ノデミチ
ファンタジー
西門 愛衣楽、19歳。花の短大生。
年明けの誕生日も近いのに、未だ就活中。
そんな彼女の癒しは3匹のペット達。
シベリアンハスキーのコロ。
カナリアのカナ。
キバラガメのキィ。
犬と小鳥は、元は父のペットだったけど、母が出て行ってから父は変わってしまった…。
ペットの世話もせず、それどころか働く意欲も失い酒に溺れて…。
挙句に無理心中しようとして家に火を付けて焼け死んで。
アイラもペット達も焼け死んでしまう。
それを不憫に思った異世界の神が、自らの世界へ招き入れる。せっかくだからとペット達も一緒に。
何故かペット達がチートな力を持って…。
アイラは只の幼女になって…。
そんな彼女達のほのぼの異世界生活。
テイマー物 第3弾。
カクヨムでも公開中。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる