9 / 35
サクラからのご褒美
過去(3)
しおりを挟む
キクは頭を抑える。
「お願いだから・・・僕は・・一緒にいたくない。」
「お兄ちゃん・・・・・」
近寄ってキクの体に触れようとすると「触るな」と言われて一歩下がる。
「・・・キク。・・・ツバキさん・・私ッ」
「サクラごめんね。サクラは何も悪くない・・・僕が我儘言ってるだけだって・・分かってるから・・でも、ツバキとは入れない・・ツバキは汚い僕といるより綺麗な世界を見て回った方がいいよ・・・僕なんかといるよりね・・」
「お兄ちゃんは汚くないよ。お兄ちゃんは今までも今も綺麗で、かっこいいお兄ちゃんだよ?だから・・一緒に居てよ・・」
ツバキさんは悲しそうな声で言う。キクは首を横に振る。私は・・何も出来ずに二人を見ている。・・私が二人を合わせたのだから・・責任を持たないと・・・
「・・キク!キクは私の名前に由来などないと言っていたけど・・・キクにはこの名前が大事な物なのでしょう?ならちゃんと由来あるよ。キクにとって大事で綺麗な物・・そんな大事な名前を貰って嬉しくないわけないよ。私はこの名前、気に入っているよ。私はこの名前・・サクラを見たことがないのでなんとも言えないけど・・とても綺麗なんでしょう?見てみたい。・・・キク、簡単に家族を捨ててはダメ。あの時・・もう二度とツバキさんと会えなかったかもしれない。でもこうやって二人は出会えた。ならツバキさんを大事にしないと・・キクが何を背負っているのか私には想像し得ないけど・・・でも、どんな時でも一番側にいて嬉しいのは家族だなんだから・・・・昔の私にも家族がいた。少ししか覚えていないけど。・・・・私の家族はもういないから・・今、目の前で家族を捨てようとしているキクを止めたいの・・・私も家族を捨てそうになって謝れずに死んじゃったから・・・・・
私の家族は・・・優秀な魔法使いだった。だから私も自分は魔法使いになるんだと幼い時からずっと思っていた。それを知っていた両親は・・私に言わなかった。『貴方は魔法使いになれない』という事を。教えてくれればあんなこと言わなかった。
私が・・魔法を使えないと知ったのは両親からじゃなくて・・親戚の子供からだった。その子供に
「お前は両親が優秀なのにお前は出来損ない!やーい、お前は、両親と血が繋がっていない。」
子供の戯事だと思えば良かった。でも私自身も『出来損ない』と思ってしまうぐらいに魔法が使えなかった。最近は好きだから練習よりも両親が凄い魔法使いだから私も凄い魔法使いにならないといけないと言うプレッシャーで練習しているようになってしまった。今の練習に楽しさを感じていなかった。その時から私は魔法の練習をしなくなった。親にも心配されて魔法の練習をするように言われるが私はやらなかった。
そんなある日、お母さんに言われた。
「〇〇・・何かあったの?もう魔法嫌いになっちゃった?」
「・・・・・・嫌い・・」
「どうしちゃったの?前は楽しそうに特訓していたでしょう?」
「・・・・・もう特訓しない。」
「私は・・・〇〇と一緒に魔法使えるまで特訓したな・・」
「・・・・・・・」
「一緒にしない?」
「しない。」
「どうして・・一緒にしよう?」
「・・・・」
「〇〇・・」
「・・・うるさい。お母さんも知ってるでしょう。私が魔法を使えないこと!練習しても何も起こらないこと!お母さんと仲が良い家の人が私に言うの。『君はお母さんの子供なんだから早く魔法を使えるようになり、お母さんの負担を少しでも取ってあげなさい。優秀な魔法使いの子供なんだから』って、私にとって魔法の特訓は楽しむよりも期待に応えるための特訓でしかない。でもその特訓も私には意味がない。お母さんもお父さんも知っていたんでしょう?私に魔法の才がないって事を!早く言ってくれれば・・私は違う道を進む事だって出来た。でも私はこの歳までずっと魔法しかしてこなかった。そんな私に何が出来るの?教えてよお母さん。何もない私に何を期待してるの?魔法の才がない私に特訓すればいつか魔法が使えるようになると思ってるの?才能には勝てないよ・・・私は、魔法使いなんて嫌いだ!」
こんなこと言うつもりはなかった。お母さんは悪くない。お母さんはいつか私に魔法が使えるようになると思って言っているのに私は逃げてしまった。だから私が悪い。
私はお母さんに叫ぶように言った後、何も聞かずに走って自分の部屋に篭ってしまった。
次に両親に会った時二人は目を瞑って動かなかった。体温も冷たくて・・何も言わない。私はまだそのことが理解出来なくて・・ボーッと両親を見ている。すると後ろから肩を叩かれた。
「〇〇ちゃん・・ご両親は依頼を頼まれて・・ある子供を助けに行って行ったんだ。子供を助け出した後家に帰ろうとしていた時に襲われたらしいの。でも不思議ねぇ、あの人達は優秀な魔法使いなのにあっさり死んでしまうのね。」
「・・・・・そうですか・・・まぁ、人間そんなもんですよ。それが例え優秀な魔法使いでも・・」
「・・〇〇ちゃん?その言い方は・・」
「あ、そうですね。失礼します。」
私はその場から逃げた。雨が降っていて自分の目から涙が出ていることに気が付かなかった。
「・・・・何で?何で?・・・・何で・・・わたし・・酷いこと言って謝ろうとしたのに・・・どうして謝らせてくれないの?・・・・・私は?私はこれから・・・どうすれば・・・・・・・・」
泣き崩れてしまった。私は思ってしまった。
『あの時、あの時だけは・・違う子供より私を優先して欲しかった。』
と。血の繋がっていない子供よりも私を・・・
私は、酷いことを言って謝ることが出来ずに両親が死んでしまった。私は謝りたかった。最後に・・お母さんに謝りたかった・・・・だからキクにはツバキさんと離れてはダメです。このままツバキさんと離れて謝ろうとしたのにツバキさんが死んでしまったらキクはきっと後悔する。だから一緒に居てあげて・・お願いだから・・」
キクとツバキさんは私を見ている。ツバキさんは驚きながら
「サクラさん・・昔の記憶あるの?」
「・・はい・・居場所がなくなって困っている私に神様は転生の番人という場所をくれたんです。転生の番人になるために神様は私に魔法の才をくれんです。それの影響で私の記憶はほとんど無くなって今はさっきの記憶しかないんです。名前も思い出せないし・・・本当にこれが私の記憶なのかも怪しいのですが・・こんなことがあったので・・キクとツバキさんには一緒に居て欲しいんです。」
手を胸元でギュッと握って二人を見ながら言う。
「・・・・・」
「・・・・・」
二人は黙ってしまう。
お二人には幸せになってもらいたいのです。だからもう少し・・・喧嘩をして・・お二人が考えていること吐き出して考えていければ良いのです。だからゆっくり、ゆっくり・・私達の旅はまだ始まったばかりです。
「お願いだから・・・僕は・・一緒にいたくない。」
「お兄ちゃん・・・・・」
近寄ってキクの体に触れようとすると「触るな」と言われて一歩下がる。
「・・・キク。・・・ツバキさん・・私ッ」
「サクラごめんね。サクラは何も悪くない・・・僕が我儘言ってるだけだって・・分かってるから・・でも、ツバキとは入れない・・ツバキは汚い僕といるより綺麗な世界を見て回った方がいいよ・・・僕なんかといるよりね・・」
「お兄ちゃんは汚くないよ。お兄ちゃんは今までも今も綺麗で、かっこいいお兄ちゃんだよ?だから・・一緒に居てよ・・」
ツバキさんは悲しそうな声で言う。キクは首を横に振る。私は・・何も出来ずに二人を見ている。・・私が二人を合わせたのだから・・責任を持たないと・・・
「・・キク!キクは私の名前に由来などないと言っていたけど・・・キクにはこの名前が大事な物なのでしょう?ならちゃんと由来あるよ。キクにとって大事で綺麗な物・・そんな大事な名前を貰って嬉しくないわけないよ。私はこの名前、気に入っているよ。私はこの名前・・サクラを見たことがないのでなんとも言えないけど・・とても綺麗なんでしょう?見てみたい。・・・キク、簡単に家族を捨ててはダメ。あの時・・もう二度とツバキさんと会えなかったかもしれない。でもこうやって二人は出会えた。ならツバキさんを大事にしないと・・キクが何を背負っているのか私には想像し得ないけど・・・でも、どんな時でも一番側にいて嬉しいのは家族だなんだから・・・・昔の私にも家族がいた。少ししか覚えていないけど。・・・・私の家族はもういないから・・今、目の前で家族を捨てようとしているキクを止めたいの・・・私も家族を捨てそうになって謝れずに死んじゃったから・・・・・
私の家族は・・・優秀な魔法使いだった。だから私も自分は魔法使いになるんだと幼い時からずっと思っていた。それを知っていた両親は・・私に言わなかった。『貴方は魔法使いになれない』という事を。教えてくれればあんなこと言わなかった。
私が・・魔法を使えないと知ったのは両親からじゃなくて・・親戚の子供からだった。その子供に
「お前は両親が優秀なのにお前は出来損ない!やーい、お前は、両親と血が繋がっていない。」
子供の戯事だと思えば良かった。でも私自身も『出来損ない』と思ってしまうぐらいに魔法が使えなかった。最近は好きだから練習よりも両親が凄い魔法使いだから私も凄い魔法使いにならないといけないと言うプレッシャーで練習しているようになってしまった。今の練習に楽しさを感じていなかった。その時から私は魔法の練習をしなくなった。親にも心配されて魔法の練習をするように言われるが私はやらなかった。
そんなある日、お母さんに言われた。
「〇〇・・何かあったの?もう魔法嫌いになっちゃった?」
「・・・・・・嫌い・・」
「どうしちゃったの?前は楽しそうに特訓していたでしょう?」
「・・・・・もう特訓しない。」
「私は・・・〇〇と一緒に魔法使えるまで特訓したな・・」
「・・・・・・・」
「一緒にしない?」
「しない。」
「どうして・・一緒にしよう?」
「・・・・」
「〇〇・・」
「・・・うるさい。お母さんも知ってるでしょう。私が魔法を使えないこと!練習しても何も起こらないこと!お母さんと仲が良い家の人が私に言うの。『君はお母さんの子供なんだから早く魔法を使えるようになり、お母さんの負担を少しでも取ってあげなさい。優秀な魔法使いの子供なんだから』って、私にとって魔法の特訓は楽しむよりも期待に応えるための特訓でしかない。でもその特訓も私には意味がない。お母さんもお父さんも知っていたんでしょう?私に魔法の才がないって事を!早く言ってくれれば・・私は違う道を進む事だって出来た。でも私はこの歳までずっと魔法しかしてこなかった。そんな私に何が出来るの?教えてよお母さん。何もない私に何を期待してるの?魔法の才がない私に特訓すればいつか魔法が使えるようになると思ってるの?才能には勝てないよ・・・私は、魔法使いなんて嫌いだ!」
こんなこと言うつもりはなかった。お母さんは悪くない。お母さんはいつか私に魔法が使えるようになると思って言っているのに私は逃げてしまった。だから私が悪い。
私はお母さんに叫ぶように言った後、何も聞かずに走って自分の部屋に篭ってしまった。
次に両親に会った時二人は目を瞑って動かなかった。体温も冷たくて・・何も言わない。私はまだそのことが理解出来なくて・・ボーッと両親を見ている。すると後ろから肩を叩かれた。
「〇〇ちゃん・・ご両親は依頼を頼まれて・・ある子供を助けに行って行ったんだ。子供を助け出した後家に帰ろうとしていた時に襲われたらしいの。でも不思議ねぇ、あの人達は優秀な魔法使いなのにあっさり死んでしまうのね。」
「・・・・・そうですか・・・まぁ、人間そんなもんですよ。それが例え優秀な魔法使いでも・・」
「・・〇〇ちゃん?その言い方は・・」
「あ、そうですね。失礼します。」
私はその場から逃げた。雨が降っていて自分の目から涙が出ていることに気が付かなかった。
「・・・・何で?何で?・・・・何で・・・わたし・・酷いこと言って謝ろうとしたのに・・・どうして謝らせてくれないの?・・・・・私は?私はこれから・・・どうすれば・・・・・・・・」
泣き崩れてしまった。私は思ってしまった。
『あの時、あの時だけは・・違う子供より私を優先して欲しかった。』
と。血の繋がっていない子供よりも私を・・・
私は、酷いことを言って謝ることが出来ずに両親が死んでしまった。私は謝りたかった。最後に・・お母さんに謝りたかった・・・・だからキクにはツバキさんと離れてはダメです。このままツバキさんと離れて謝ろうとしたのにツバキさんが死んでしまったらキクはきっと後悔する。だから一緒に居てあげて・・お願いだから・・」
キクとツバキさんは私を見ている。ツバキさんは驚きながら
「サクラさん・・昔の記憶あるの?」
「・・はい・・居場所がなくなって困っている私に神様は転生の番人という場所をくれたんです。転生の番人になるために神様は私に魔法の才をくれんです。それの影響で私の記憶はほとんど無くなって今はさっきの記憶しかないんです。名前も思い出せないし・・・本当にこれが私の記憶なのかも怪しいのですが・・こんなことがあったので・・キクとツバキさんには一緒に居て欲しいんです。」
手を胸元でギュッと握って二人を見ながら言う。
「・・・・・」
「・・・・・」
二人は黙ってしまう。
お二人には幸せになってもらいたいのです。だからもう少し・・・喧嘩をして・・お二人が考えていること吐き出して考えていければ良いのです。だからゆっくり、ゆっくり・・私達の旅はまだ始まったばかりです。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……


一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる