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サクラからのご褒美
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キクは頭を抑える。
「お願いだから・・・僕は・・一緒にいたくない。」
「お兄ちゃん・・・・・」
近寄ってキクの体に触れようとすると「触るな」と言われて一歩下がる。
「・・・キク。・・・ツバキさん・・私ッ」
「サクラごめんね。サクラは何も悪くない・・・僕が我儘言ってるだけだって・・分かってるから・・でも、ツバキとは入れない・・ツバキは汚い僕といるより綺麗な世界を見て回った方がいいよ・・・僕なんかといるよりね・・」
「お兄ちゃんは汚くないよ。お兄ちゃんは今までも今も綺麗で、かっこいいお兄ちゃんだよ?だから・・一緒に居てよ・・」
ツバキさんは悲しそうな声で言う。キクは首を横に振る。私は・・何も出来ずに二人を見ている。・・私が二人を合わせたのだから・・責任を持たないと・・・
「・・キク!キクは私の名前に由来などないと言っていたけど・・・キクにはこの名前が大事な物なのでしょう?ならちゃんと由来あるよ。キクにとって大事で綺麗な物・・そんな大事な名前を貰って嬉しくないわけないよ。私はこの名前、気に入っているよ。私はこの名前・・サクラを見たことがないのでなんとも言えないけど・・とても綺麗なんでしょう?見てみたい。・・・キク、簡単に家族を捨ててはダメ。あの時・・もう二度とツバキさんと会えなかったかもしれない。でもこうやって二人は出会えた。ならツバキさんを大事にしないと・・キクが何を背負っているのか私には想像し得ないけど・・・でも、どんな時でも一番側にいて嬉しいのは家族だなんだから・・・・昔の私にも家族がいた。少ししか覚えていないけど。・・・・私の家族はもういないから・・今、目の前で家族を捨てようとしているキクを止めたいの・・・私も家族を捨てそうになって謝れずに死んじゃったから・・・・・
私の家族は・・・優秀な魔法使いだった。だから私も自分は魔法使いになるんだと幼い時からずっと思っていた。それを知っていた両親は・・私に言わなかった。『貴方は魔法使いになれない』という事を。教えてくれればあんなこと言わなかった。
私が・・魔法を使えないと知ったのは両親からじゃなくて・・親戚の子供からだった。その子供に
「お前は両親が優秀なのにお前は出来損ない!やーい、お前は、両親と血が繋がっていない。」
子供の戯事だと思えば良かった。でも私自身も『出来損ない』と思ってしまうぐらいに魔法が使えなかった。最近は好きだから練習よりも両親が凄い魔法使いだから私も凄い魔法使いにならないといけないと言うプレッシャーで練習しているようになってしまった。今の練習に楽しさを感じていなかった。その時から私は魔法の練習をしなくなった。親にも心配されて魔法の練習をするように言われるが私はやらなかった。
そんなある日、お母さんに言われた。
「〇〇・・何かあったの?もう魔法嫌いになっちゃった?」
「・・・・・・嫌い・・」
「どうしちゃったの?前は楽しそうに特訓していたでしょう?」
「・・・・・もう特訓しない。」
「私は・・・〇〇と一緒に魔法使えるまで特訓したな・・」
「・・・・・・・」
「一緒にしない?」
「しない。」
「どうして・・一緒にしよう?」
「・・・・」
「〇〇・・」
「・・・うるさい。お母さんも知ってるでしょう。私が魔法を使えないこと!練習しても何も起こらないこと!お母さんと仲が良い家の人が私に言うの。『君はお母さんの子供なんだから早く魔法を使えるようになり、お母さんの負担を少しでも取ってあげなさい。優秀な魔法使いの子供なんだから』って、私にとって魔法の特訓は楽しむよりも期待に応えるための特訓でしかない。でもその特訓も私には意味がない。お母さんもお父さんも知っていたんでしょう?私に魔法の才がないって事を!早く言ってくれれば・・私は違う道を進む事だって出来た。でも私はこの歳までずっと魔法しかしてこなかった。そんな私に何が出来るの?教えてよお母さん。何もない私に何を期待してるの?魔法の才がない私に特訓すればいつか魔法が使えるようになると思ってるの?才能には勝てないよ・・・私は、魔法使いなんて嫌いだ!」
こんなこと言うつもりはなかった。お母さんは悪くない。お母さんはいつか私に魔法が使えるようになると思って言っているのに私は逃げてしまった。だから私が悪い。
私はお母さんに叫ぶように言った後、何も聞かずに走って自分の部屋に篭ってしまった。
次に両親に会った時二人は目を瞑って動かなかった。体温も冷たくて・・何も言わない。私はまだそのことが理解出来なくて・・ボーッと両親を見ている。すると後ろから肩を叩かれた。
「〇〇ちゃん・・ご両親は依頼を頼まれて・・ある子供を助けに行って行ったんだ。子供を助け出した後家に帰ろうとしていた時に襲われたらしいの。でも不思議ねぇ、あの人達は優秀な魔法使いなのにあっさり死んでしまうのね。」
「・・・・・そうですか・・・まぁ、人間そんなもんですよ。それが例え優秀な魔法使いでも・・」
「・・〇〇ちゃん?その言い方は・・」
「あ、そうですね。失礼します。」
私はその場から逃げた。雨が降っていて自分の目から涙が出ていることに気が付かなかった。
「・・・・何で?何で?・・・・何で・・・わたし・・酷いこと言って謝ろうとしたのに・・・どうして謝らせてくれないの?・・・・・私は?私はこれから・・・どうすれば・・・・・・・・」
泣き崩れてしまった。私は思ってしまった。
『あの時、あの時だけは・・違う子供より私を優先して欲しかった。』
と。血の繋がっていない子供よりも私を・・・
私は、酷いことを言って謝ることが出来ずに両親が死んでしまった。私は謝りたかった。最後に・・お母さんに謝りたかった・・・・だからキクにはツバキさんと離れてはダメです。このままツバキさんと離れて謝ろうとしたのにツバキさんが死んでしまったらキクはきっと後悔する。だから一緒に居てあげて・・お願いだから・・」
キクとツバキさんは私を見ている。ツバキさんは驚きながら
「サクラさん・・昔の記憶あるの?」
「・・はい・・居場所がなくなって困っている私に神様は転生の番人という場所をくれたんです。転生の番人になるために神様は私に魔法の才をくれんです。それの影響で私の記憶はほとんど無くなって今はさっきの記憶しかないんです。名前も思い出せないし・・・本当にこれが私の記憶なのかも怪しいのですが・・こんなことがあったので・・キクとツバキさんには一緒に居て欲しいんです。」
手を胸元でギュッと握って二人を見ながら言う。
「・・・・・」
「・・・・・」
二人は黙ってしまう。
お二人には幸せになってもらいたいのです。だからもう少し・・・喧嘩をして・・お二人が考えていること吐き出して考えていければ良いのです。だからゆっくり、ゆっくり・・私達の旅はまだ始まったばかりです。
「お願いだから・・・僕は・・一緒にいたくない。」
「お兄ちゃん・・・・・」
近寄ってキクの体に触れようとすると「触るな」と言われて一歩下がる。
「・・・キク。・・・ツバキさん・・私ッ」
「サクラごめんね。サクラは何も悪くない・・・僕が我儘言ってるだけだって・・分かってるから・・でも、ツバキとは入れない・・ツバキは汚い僕といるより綺麗な世界を見て回った方がいいよ・・・僕なんかといるよりね・・」
「お兄ちゃんは汚くないよ。お兄ちゃんは今までも今も綺麗で、かっこいいお兄ちゃんだよ?だから・・一緒に居てよ・・」
ツバキさんは悲しそうな声で言う。キクは首を横に振る。私は・・何も出来ずに二人を見ている。・・私が二人を合わせたのだから・・責任を持たないと・・・
「・・キク!キクは私の名前に由来などないと言っていたけど・・・キクにはこの名前が大事な物なのでしょう?ならちゃんと由来あるよ。キクにとって大事で綺麗な物・・そんな大事な名前を貰って嬉しくないわけないよ。私はこの名前、気に入っているよ。私はこの名前・・サクラを見たことがないのでなんとも言えないけど・・とても綺麗なんでしょう?見てみたい。・・・キク、簡単に家族を捨ててはダメ。あの時・・もう二度とツバキさんと会えなかったかもしれない。でもこうやって二人は出会えた。ならツバキさんを大事にしないと・・キクが何を背負っているのか私には想像し得ないけど・・・でも、どんな時でも一番側にいて嬉しいのは家族だなんだから・・・・昔の私にも家族がいた。少ししか覚えていないけど。・・・・私の家族はもういないから・・今、目の前で家族を捨てようとしているキクを止めたいの・・・私も家族を捨てそうになって謝れずに死んじゃったから・・・・・
私の家族は・・・優秀な魔法使いだった。だから私も自分は魔法使いになるんだと幼い時からずっと思っていた。それを知っていた両親は・・私に言わなかった。『貴方は魔法使いになれない』という事を。教えてくれればあんなこと言わなかった。
私が・・魔法を使えないと知ったのは両親からじゃなくて・・親戚の子供からだった。その子供に
「お前は両親が優秀なのにお前は出来損ない!やーい、お前は、両親と血が繋がっていない。」
子供の戯事だと思えば良かった。でも私自身も『出来損ない』と思ってしまうぐらいに魔法が使えなかった。最近は好きだから練習よりも両親が凄い魔法使いだから私も凄い魔法使いにならないといけないと言うプレッシャーで練習しているようになってしまった。今の練習に楽しさを感じていなかった。その時から私は魔法の練習をしなくなった。親にも心配されて魔法の練習をするように言われるが私はやらなかった。
そんなある日、お母さんに言われた。
「〇〇・・何かあったの?もう魔法嫌いになっちゃった?」
「・・・・・・嫌い・・」
「どうしちゃったの?前は楽しそうに特訓していたでしょう?」
「・・・・・もう特訓しない。」
「私は・・・〇〇と一緒に魔法使えるまで特訓したな・・」
「・・・・・・・」
「一緒にしない?」
「しない。」
「どうして・・一緒にしよう?」
「・・・・」
「〇〇・・」
「・・・うるさい。お母さんも知ってるでしょう。私が魔法を使えないこと!練習しても何も起こらないこと!お母さんと仲が良い家の人が私に言うの。『君はお母さんの子供なんだから早く魔法を使えるようになり、お母さんの負担を少しでも取ってあげなさい。優秀な魔法使いの子供なんだから』って、私にとって魔法の特訓は楽しむよりも期待に応えるための特訓でしかない。でもその特訓も私には意味がない。お母さんもお父さんも知っていたんでしょう?私に魔法の才がないって事を!早く言ってくれれば・・私は違う道を進む事だって出来た。でも私はこの歳までずっと魔法しかしてこなかった。そんな私に何が出来るの?教えてよお母さん。何もない私に何を期待してるの?魔法の才がない私に特訓すればいつか魔法が使えるようになると思ってるの?才能には勝てないよ・・・私は、魔法使いなんて嫌いだ!」
こんなこと言うつもりはなかった。お母さんは悪くない。お母さんはいつか私に魔法が使えるようになると思って言っているのに私は逃げてしまった。だから私が悪い。
私はお母さんに叫ぶように言った後、何も聞かずに走って自分の部屋に篭ってしまった。
次に両親に会った時二人は目を瞑って動かなかった。体温も冷たくて・・何も言わない。私はまだそのことが理解出来なくて・・ボーッと両親を見ている。すると後ろから肩を叩かれた。
「〇〇ちゃん・・ご両親は依頼を頼まれて・・ある子供を助けに行って行ったんだ。子供を助け出した後家に帰ろうとしていた時に襲われたらしいの。でも不思議ねぇ、あの人達は優秀な魔法使いなのにあっさり死んでしまうのね。」
「・・・・・そうですか・・・まぁ、人間そんなもんですよ。それが例え優秀な魔法使いでも・・」
「・・〇〇ちゃん?その言い方は・・」
「あ、そうですね。失礼します。」
私はその場から逃げた。雨が降っていて自分の目から涙が出ていることに気が付かなかった。
「・・・・何で?何で?・・・・何で・・・わたし・・酷いこと言って謝ろうとしたのに・・・どうして謝らせてくれないの?・・・・・私は?私はこれから・・・どうすれば・・・・・・・・」
泣き崩れてしまった。私は思ってしまった。
『あの時、あの時だけは・・違う子供より私を優先して欲しかった。』
と。血の繋がっていない子供よりも私を・・・
私は、酷いことを言って謝ることが出来ずに両親が死んでしまった。私は謝りたかった。最後に・・お母さんに謝りたかった・・・・だからキクにはツバキさんと離れてはダメです。このままツバキさんと離れて謝ろうとしたのにツバキさんが死んでしまったらキクはきっと後悔する。だから一緒に居てあげて・・お願いだから・・」
キクとツバキさんは私を見ている。ツバキさんは驚きながら
「サクラさん・・昔の記憶あるの?」
「・・はい・・居場所がなくなって困っている私に神様は転生の番人という場所をくれたんです。転生の番人になるために神様は私に魔法の才をくれんです。それの影響で私の記憶はほとんど無くなって今はさっきの記憶しかないんです。名前も思い出せないし・・・本当にこれが私の記憶なのかも怪しいのですが・・こんなことがあったので・・キクとツバキさんには一緒に居て欲しいんです。」
手を胸元でギュッと握って二人を見ながら言う。
「・・・・・」
「・・・・・」
二人は黙ってしまう。
お二人には幸せになってもらいたいのです。だからもう少し・・・喧嘩をして・・お二人が考えていること吐き出して考えていければ良いのです。だからゆっくり、ゆっくり・・私達の旅はまだ始まったばかりです。
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