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路地裏にて
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魔王討伐から2年。
魔王がいなくなったことにより勢力を拡大していくモンスターや、自分たちの領地を拡大する王国が増えた。
しかし、そのおかげで王都のギルドには依頼が以前に比べて大幅に増え、冒険者たちに活気が出てきた。
さらに他国との貿易も活発になり、商業の質も上がった。
そんな王都の路地裏にトウヤは灰色のコートを身にまとって大きな紙袋を抱えて歩いていた。
「ここも立派になったもんだなだぁ。少し前までは活気がなくて商品の質も悪かったのに。」
トウヤは自分のギルドへの近道としてこの道を使っていた。
いつもはこの道には人がおらず、いるとしても素行の悪い人達ばかりだった。
しかし、そんな道にこの日は1人の獣人が倒れていた。
彼女はトウヤの存在に気づくとフラフラの状態で立ち上がり、敵意に満ちた目でトウヤを見た。
「それ以上‥‥近づくにゃ人間。また‥‥また私を捕まえに来たのか。さもなければ‥‥お前を殺すぞ。」
よく見ると彼女には切り傷や青あざなどが多数あり、特に右足の損傷がはげしかった。さらに、首には奴隷の刻印がされた首輪がついていた。
「そんな怖がんなくても僕は何もしないよ。それにここは僕の家への帰り道だからね。まぁ君のことを見つけてしまったからには素通りってわけにもいかないかな。とりあえず僕の家においでよ、見たところ傷だらけだしね。」
トウヤは比較的優しく話しかけたつもりだったが、彼女は警戒をとこうとはせずに
「お前の家にゃんか行くわけにゃいだろ。そんな見え見えの嘘なんかひっかかるわけにゃいよ。」
「あー‥‥まぁそう聞こえちゃうよね。とりあえずその傷と出血量からすると結構危ない状態だから治させてもらうよ。今日が初対面だからといって、死なれたら夢見が悪いからね。」
トウヤが小さな声で何かをつぶやくと獣人の傷が一瞬で消え、何事もなかったかのような状態になった。
「ど‥‥どういうことだにゃ?お前、今何をしたのにゃ!?わ‥‥私にあった傷がどこにも‥‥。お前‥何者‥‥だ‥にゃ。」
極度の疲労と傷が治ったことに対しての驚き、死を免れたことによる安心によって獣人の女の子はその場に倒れてしまった。
彼女が彼を最後に見たとき、トウヤは額に脂汗を浮かべながら苦笑いしていた。
「さて、このあとどうするかな。とりあえず、僕の家に運ぶか。」
トウヤは片方の腕に大きな紙袋、もう片方の腕には女の子というとても不思議な格好のまま裏路地を抜けた。
右足を少し引きずりながら。
魔王がいなくなったことにより勢力を拡大していくモンスターや、自分たちの領地を拡大する王国が増えた。
しかし、そのおかげで王都のギルドには依頼が以前に比べて大幅に増え、冒険者たちに活気が出てきた。
さらに他国との貿易も活発になり、商業の質も上がった。
そんな王都の路地裏にトウヤは灰色のコートを身にまとって大きな紙袋を抱えて歩いていた。
「ここも立派になったもんだなだぁ。少し前までは活気がなくて商品の質も悪かったのに。」
トウヤは自分のギルドへの近道としてこの道を使っていた。
いつもはこの道には人がおらず、いるとしても素行の悪い人達ばかりだった。
しかし、そんな道にこの日は1人の獣人が倒れていた。
彼女はトウヤの存在に気づくとフラフラの状態で立ち上がり、敵意に満ちた目でトウヤを見た。
「それ以上‥‥近づくにゃ人間。また‥‥また私を捕まえに来たのか。さもなければ‥‥お前を殺すぞ。」
よく見ると彼女には切り傷や青あざなどが多数あり、特に右足の損傷がはげしかった。さらに、首には奴隷の刻印がされた首輪がついていた。
「そんな怖がんなくても僕は何もしないよ。それにここは僕の家への帰り道だからね。まぁ君のことを見つけてしまったからには素通りってわけにもいかないかな。とりあえず僕の家においでよ、見たところ傷だらけだしね。」
トウヤは比較的優しく話しかけたつもりだったが、彼女は警戒をとこうとはせずに
「お前の家にゃんか行くわけにゃいだろ。そんな見え見えの嘘なんかひっかかるわけにゃいよ。」
「あー‥‥まぁそう聞こえちゃうよね。とりあえずその傷と出血量からすると結構危ない状態だから治させてもらうよ。今日が初対面だからといって、死なれたら夢見が悪いからね。」
トウヤが小さな声で何かをつぶやくと獣人の傷が一瞬で消え、何事もなかったかのような状態になった。
「ど‥‥どういうことだにゃ?お前、今何をしたのにゃ!?わ‥‥私にあった傷がどこにも‥‥。お前‥何者‥‥だ‥にゃ。」
極度の疲労と傷が治ったことに対しての驚き、死を免れたことによる安心によって獣人の女の子はその場に倒れてしまった。
彼女が彼を最後に見たとき、トウヤは額に脂汗を浮かべながら苦笑いしていた。
「さて、このあとどうするかな。とりあえず、僕の家に運ぶか。」
トウヤは片方の腕に大きな紙袋、もう片方の腕には女の子というとても不思議な格好のまま裏路地を抜けた。
右足を少し引きずりながら。
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