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十八・当たらない答え
当たらない答え(1)
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「絶対当たらない?」わたしは復唱する。どこかで聞いた、ような……。
「そう。わたしのは当たらない。あきらめて?」
紗英の目が怪しく光った。
もしかしてもう、次のことを考えている?
「加川(かがわ)先輩。どうしてそんなにすごい剣幕でにらむんです?何か怒るようなことしました?」
紗英は自信でもあるのか、笑顔さえ見せた。
「何も。ただ答えるだけだ。お前を消すために」
「うわ、こわーい!何でそんなご立腹なのかな?もしかして、先輩の大切な何か、に関わること?わたし、やらかしちゃったんですね!」
紗英の声が、準をまどわせていると感じた。
だめだ。このまましゃべらせたら今度こそ、準が危ない。
話すほど、答えのヒントを与えることになる。わたしは割って入った。
「紗英?なぜ”絶対当たらない”なんて言えるの?おかしいよ」
「莉々亜(りりあ)。何、探り入れてんの?そのまんまよ。当たらない。無理だってば」
その自信こそが、とても不思議なのに。
円はわたしに吹き込んだ。しかもそう言っているのは準だと。
だけど、どうして当たらないと言い切れる?
「やってみれば?みすみす外して、後がなくなればいい。今度こそわたしが先輩を消す!」紗英の声が刺すように響く。
「お前にはさせない。残るのはおれだ」
わたしは、準の思いをかなえてあげたいと思った。
妹をこの世界から連れ帰る。
それはつまり、紗英が負けて消えるということだ。
わたしの答えが”正義”?
今のわたしを見ればもう、そんなことはない。
紗英を倒そうと、今こうして戦う気全開で向かい合っているわたしが正義なんて、言えるはずがない。
わたしは目を閉じて考える。
絶対に当たらない答えって……それは。
「準。わたし、わかったと思う。紗英の答え」
「何だ?」
わたしは声にする代わり、背中に指で文字をなぞった。
準が目を見開いて……わたしたちは、覚悟を決めた。
”では二人続けて答えて下さい。加川準(かがわ・じゅん)から”
「そう。わたしのは当たらない。あきらめて?」
紗英の目が怪しく光った。
もしかしてもう、次のことを考えている?
「加川(かがわ)先輩。どうしてそんなにすごい剣幕でにらむんです?何か怒るようなことしました?」
紗英は自信でもあるのか、笑顔さえ見せた。
「何も。ただ答えるだけだ。お前を消すために」
「うわ、こわーい!何でそんなご立腹なのかな?もしかして、先輩の大切な何か、に関わること?わたし、やらかしちゃったんですね!」
紗英の声が、準をまどわせていると感じた。
だめだ。このまましゃべらせたら今度こそ、準が危ない。
話すほど、答えのヒントを与えることになる。わたしは割って入った。
「紗英?なぜ”絶対当たらない”なんて言えるの?おかしいよ」
「莉々亜(りりあ)。何、探り入れてんの?そのまんまよ。当たらない。無理だってば」
その自信こそが、とても不思議なのに。
円はわたしに吹き込んだ。しかもそう言っているのは準だと。
だけど、どうして当たらないと言い切れる?
「やってみれば?みすみす外して、後がなくなればいい。今度こそわたしが先輩を消す!」紗英の声が刺すように響く。
「お前にはさせない。残るのはおれだ」
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妹をこの世界から連れ帰る。
それはつまり、紗英が負けて消えるということだ。
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わたしは目を閉じて考える。
絶対に当たらない答えって……それは。
「準。わたし、わかったと思う。紗英の答え」
「何だ?」
わたしは声にする代わり、背中に指で文字をなぞった。
準が目を見開いて……わたしたちは、覚悟を決めた。
”では二人続けて答えて下さい。加川準(かがわ・じゅん)から”
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