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十一・紙切れの主はだれ?
紙切れの主はだれ?(2)
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「それは……これまでと方法を変えた人も入るってこと?」わたしも尋ねる。
「どうかな?でも、予言によれば、いろんな意味で新しい人は信用しない方がいいってことかな」
「ねえ、図書館に来ない人たちってこの時間はどこにいるんでしょうか?」
「教室か、寮の自分の部屋じゃない?」
「ここにはもう、入れないんでしたっけ。本当に、グループが分かれたんですね」
図書館組のわたしたちと、それ以外の人たち。
校舎でも、他に小さなグループができてるかは知らない。
少しして、書庫から他の三人が帰ってきた。
「どう?何か見つかった?」
「いいや。今日の収穫はさっきの一枚だけ。でも意味深だろ」
高山郁生(たかやま・いくお)は考え深げに言った。
「なあ、おれの考えを言っていいか?そろそろ、頭が言えってうずうずしてる」
これまでの、いろんなものを足し合わせてみる。
昨日の円の発言や、今見つけた紙切れ、パソコンのお告げ。
「でも円がカメラで聞いてるかも」とは長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)。
そこでわたしは、前からの変な感じの正体がわかった。
「えっ。じゃあ、筆談でする?それにしても、カメラ拡大したら見られるか?」とだれかが言った。
筆談とは、声に出さずにみんなでノートに意見を書いて見せ合うことだ。
「もしそうだったら、パソコンの中身だって見てるでしょう?」
もめているところに、わたしは口をはさんだ。
「大丈夫だと思います。カメラは音を拾ってないはず」
「えっ?どうしてわかるの?」
わたしは、今までの円の反応を思い出しながら説明した。
「昼食のとき、カレー皿を落としたんです。あのとき、円はわたしの声を無視して次の話をした」
みんなの目がわたしに集まる。
「もし無視したならもう少し、間がちがうと思う。明らかに、わたしとはちがうタイミングで、円は話し出したんです。それからもうひとつ。"人に危害を加えたら消去する”ならなぜ、人を脅して答えを聞き出していた三村一紀(みむら・かずき)は、違反にされなかったのか?」
「三村って、脅して聞き出してたのか?」おどろいたのは長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)だ。
「たぶんそう。じゃないと、初対面で答えなんて当たらないはず」わたしは続けた。
「叩いたり、押さえつけたりしていたらカメラには映る。でも、言葉だけで脅したものはスルーされた。それは見過ごしたと言うよりは」
「言葉の内容は聞かない、好きに密談していいよ、ということ?」近藤七瀬が言う。
「円がそこまで親切だなんて思わないけど、結果的にはそうなるかと」
「どうかな?でも、予言によれば、いろんな意味で新しい人は信用しない方がいいってことかな」
「ねえ、図書館に来ない人たちってこの時間はどこにいるんでしょうか?」
「教室か、寮の自分の部屋じゃない?」
「ここにはもう、入れないんでしたっけ。本当に、グループが分かれたんですね」
図書館組のわたしたちと、それ以外の人たち。
校舎でも、他に小さなグループができてるかは知らない。
少しして、書庫から他の三人が帰ってきた。
「どう?何か見つかった?」
「いいや。今日の収穫はさっきの一枚だけ。でも意味深だろ」
高山郁生(たかやま・いくお)は考え深げに言った。
「なあ、おれの考えを言っていいか?そろそろ、頭が言えってうずうずしてる」
これまでの、いろんなものを足し合わせてみる。
昨日の円の発言や、今見つけた紙切れ、パソコンのお告げ。
「でも円がカメラで聞いてるかも」とは長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)。
そこでわたしは、前からの変な感じの正体がわかった。
「えっ。じゃあ、筆談でする?それにしても、カメラ拡大したら見られるか?」とだれかが言った。
筆談とは、声に出さずにみんなでノートに意見を書いて見せ合うことだ。
「もしそうだったら、パソコンの中身だって見てるでしょう?」
もめているところに、わたしは口をはさんだ。
「大丈夫だと思います。カメラは音を拾ってないはず」
「えっ?どうしてわかるの?」
わたしは、今までの円の反応を思い出しながら説明した。
「昼食のとき、カレー皿を落としたんです。あのとき、円はわたしの声を無視して次の話をした」
みんなの目がわたしに集まる。
「もし無視したならもう少し、間がちがうと思う。明らかに、わたしとはちがうタイミングで、円は話し出したんです。それからもうひとつ。"人に危害を加えたら消去する”ならなぜ、人を脅して答えを聞き出していた三村一紀(みむら・かずき)は、違反にされなかったのか?」
「三村って、脅して聞き出してたのか?」おどろいたのは長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)だ。
「たぶんそう。じゃないと、初対面で答えなんて当たらないはず」わたしは続けた。
「叩いたり、押さえつけたりしていたらカメラには映る。でも、言葉だけで脅したものはスルーされた。それは見過ごしたと言うよりは」
「言葉の内容は聞かない、好きに密談していいよ、ということ?」近藤七瀬が言う。
「円がそこまで親切だなんて思わないけど、結果的にはそうなるかと」
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