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十・勝つのはどっちか?
勝つのはどっちか?(3)
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みながざわついたのは、準(じゅん)の数字が高いことだった。
「どうして?加川さんがバトルしたのは、三村さん一人にでしょう?」
「あれ、言わなかったっけ?バトルして勝ったら、相手の持ってる数もプラスしてもらえるって。三村一紀(みむら・かずき)の持っていた笠倉未央(かさくら・みお)の一点と、三村自身の分が入ったんだよ」
円はしれっと言った。
「加川(かがわ)くんは、お得だったってことだね。もちろん、点数持ちの相手は強いかもってリスクはあるけど」
周りがささやき始める。
”じゃあ何、点数の高い奴を狙った方がいいってこと?”
”加川さんに勝てば、今ゼロのぼくでもいきなり一位になれる?”
”下克上か、それは明るい話題だな。”
みんな、うわべしか見ていない。
準は、襲われた宮内紗英(みやうち・さえ)を助けるために、バトルをしたのに。勝てるかどうかもわからなかったのに。
でも、そんなことはわかるはずがない。
おどろいたのは、相手の持ち点までもらえると知った、みんなの表情だ。
先に点数を得ている、ライアンや庄司佳奈のことをちらちら見る人もいる。でも何と言っても、準を見る目が変わった……気がする。
”下手に一人ずつを狙うより、あいつをバトルすればいいんだ。そしたら一気に点数が増える”そういう視線が、いくつも準へと向かっていた。
図書館組は、あえてお互いを見ないように前を見て動かない。
妙な動きをすれば、目をつけられるから。
今となっては、わたしたちが協定を結んだことも、だれかに気づかれているのかどうか。どっちにしても、少なくとも他の生徒には内緒にしていたい。
「あの、”当てられてしまった答え”は、公開されないんですか?」庄司佳奈(しょうじ・かな)が問う。
「知りたい?でも意味ないよ。生き残ってる人のヒントにはならないしね」
佳奈の引っかけから、するっと逃げる円。
「一応釘を刺しておくけど。すでにばれただれかと同じ答え、なんてことは一つもないからね」
そんなことは考えてなかった。
ってことは……。
一度出た答えは、他の人からは出ない。
本当は公開してもらった方が、残りの人のは当てやすいとも言う。
「ねえ。もう明日で期間も折り返しなんだけど、そんなんで大丈夫なの?もっとやる気にならないと、帰れないでしょ?バトルで当てるのって、難しいことじゃないよ?こっちとしても困るなあ」
またいやな言い方をする。お願いだからあおらないで欲しい。
「そうだねえ。なら、みんながやりやすくできるように考えてみるよ」
不気味な声でそう言った。
<早く、知らせなくちゃ。じゃないと、みんなが……>
「どうして?加川さんがバトルしたのは、三村さん一人にでしょう?」
「あれ、言わなかったっけ?バトルして勝ったら、相手の持ってる数もプラスしてもらえるって。三村一紀(みむら・かずき)の持っていた笠倉未央(かさくら・みお)の一点と、三村自身の分が入ったんだよ」
円はしれっと言った。
「加川(かがわ)くんは、お得だったってことだね。もちろん、点数持ちの相手は強いかもってリスクはあるけど」
周りがささやき始める。
”じゃあ何、点数の高い奴を狙った方がいいってこと?”
”加川さんに勝てば、今ゼロのぼくでもいきなり一位になれる?”
”下克上か、それは明るい話題だな。”
みんな、うわべしか見ていない。
準は、襲われた宮内紗英(みやうち・さえ)を助けるために、バトルをしたのに。勝てるかどうかもわからなかったのに。
でも、そんなことはわかるはずがない。
おどろいたのは、相手の持ち点までもらえると知った、みんなの表情だ。
先に点数を得ている、ライアンや庄司佳奈のことをちらちら見る人もいる。でも何と言っても、準を見る目が変わった……気がする。
”下手に一人ずつを狙うより、あいつをバトルすればいいんだ。そしたら一気に点数が増える”そういう視線が、いくつも準へと向かっていた。
図書館組は、あえてお互いを見ないように前を見て動かない。
妙な動きをすれば、目をつけられるから。
今となっては、わたしたちが協定を結んだことも、だれかに気づかれているのかどうか。どっちにしても、少なくとも他の生徒には内緒にしていたい。
「あの、”当てられてしまった答え”は、公開されないんですか?」庄司佳奈(しょうじ・かな)が問う。
「知りたい?でも意味ないよ。生き残ってる人のヒントにはならないしね」
佳奈の引っかけから、するっと逃げる円。
「一応釘を刺しておくけど。すでにばれただれかと同じ答え、なんてことは一つもないからね」
そんなことは考えてなかった。
ってことは……。
一度出た答えは、他の人からは出ない。
本当は公開してもらった方が、残りの人のは当てやすいとも言う。
「ねえ。もう明日で期間も折り返しなんだけど、そんなんで大丈夫なの?もっとやる気にならないと、帰れないでしょ?バトルで当てるのって、難しいことじゃないよ?こっちとしても困るなあ」
またいやな言い方をする。お願いだからあおらないで欲しい。
「そうだねえ。なら、みんながやりやすくできるように考えてみるよ」
不気味な声でそう言った。
<早く、知らせなくちゃ。じゃないと、みんなが……>
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