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十・勝つのはどっちか?
勝つのはどっちか?(2)
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わたしがバトルするはずだった。でもできなかった。
代わりに、準(じゅん)に押しつけた……。
「何でお前が泣く?別にお前のせいじゃない」
「でも、でも!」
わたしは、自分の意気地のなさを憎んだ。
準が責めないのを知ってさらに。
「あの、わたし宮内紗英(みやうち・さえ)です。助けて下さって、ありがとうございました」
ああ、と準はうなずく。
「どうして当てられたんですか?あいつの答え」
「自信があったわけじゃない。偶然が味方したんだろう」
普通はそうだ。わたしだって、何個か予想はしたけど一つには決めきれない。
ただ、運が良かったというだけなのか。
☆
九時を過ぎているのを思い出し、わたしたちは急いで教室へと向かった。
「ほっ、まだ始まってないみたい」
生徒たちがざわざわしながら、周りの子とおしゃべりしていた。
と、席に座ると円のホログラムが、教卓にぼわっと現れた。口をへの字にして、ちょっと怒ってる風だ。
「遠野(とおの)さんたち、遅刻だよ!今回は仕方ないけど、時間は守ってね!」
「す、すみません」
「さて、というわけで夜のミーティング。今何人かの遅刻を許したのは、バトルと関係あったからだよ。自分都合の遅刻だったら、即消去だから」
バトル、と聞いて周りがざわついた。
「そう。では新たに増えたバトルと消去の報告をします!」
黒板にまた、最初の表が映し出される。
「今入ってきた三番加川準(かがわ・じゅん)が、あの七番三村一紀(みむら・かずき)をバトルして勝ちました!三村くん、有望株だったんだけどね。あえなく敗退。それから十五番の庄司佳奈(しょうじ・かな)が、十三番の浜野孝彦(はまの・たかひこ)をバトル成功。みんなもっとがんばってよ?ではここで一度名簿を更新します」
表が一度消えて、すぐにまた出た。
「消えた人はもう載せてないよ。それから今、残っている人の名前の後に獲得数を入れました。今の最高点は加川くんだね」
1 中村えり 中一
2 島田圭吾 中二
3 加川準(2)中二 三村一紀・笠倉未央を獲得
4 宮内紗英 中一
5 長谷川 祐紀 中一
8 近藤 七瀬 中一
9 遠野莉々亜 中一
10 高山郁生 中二
12 恩田桜 中二
14 渡部ライアン(1)中三 木野まなみを獲得
15 庄司佳奈(1)中一 浜野孝彦を獲得
代わりに、準(じゅん)に押しつけた……。
「何でお前が泣く?別にお前のせいじゃない」
「でも、でも!」
わたしは、自分の意気地のなさを憎んだ。
準が責めないのを知ってさらに。
「あの、わたし宮内紗英(みやうち・さえ)です。助けて下さって、ありがとうございました」
ああ、と準はうなずく。
「どうして当てられたんですか?あいつの答え」
「自信があったわけじゃない。偶然が味方したんだろう」
普通はそうだ。わたしだって、何個か予想はしたけど一つには決めきれない。
ただ、運が良かったというだけなのか。
☆
九時を過ぎているのを思い出し、わたしたちは急いで教室へと向かった。
「ほっ、まだ始まってないみたい」
生徒たちがざわざわしながら、周りの子とおしゃべりしていた。
と、席に座ると円のホログラムが、教卓にぼわっと現れた。口をへの字にして、ちょっと怒ってる風だ。
「遠野(とおの)さんたち、遅刻だよ!今回は仕方ないけど、時間は守ってね!」
「す、すみません」
「さて、というわけで夜のミーティング。今何人かの遅刻を許したのは、バトルと関係あったからだよ。自分都合の遅刻だったら、即消去だから」
バトル、と聞いて周りがざわついた。
「そう。では新たに増えたバトルと消去の報告をします!」
黒板にまた、最初の表が映し出される。
「今入ってきた三番加川準(かがわ・じゅん)が、あの七番三村一紀(みむら・かずき)をバトルして勝ちました!三村くん、有望株だったんだけどね。あえなく敗退。それから十五番の庄司佳奈(しょうじ・かな)が、十三番の浜野孝彦(はまの・たかひこ)をバトル成功。みんなもっとがんばってよ?ではここで一度名簿を更新します」
表が一度消えて、すぐにまた出た。
「消えた人はもう載せてないよ。それから今、残っている人の名前の後に獲得数を入れました。今の最高点は加川くんだね」
1 中村えり 中一
2 島田圭吾 中二
3 加川準(2)中二 三村一紀・笠倉未央を獲得
4 宮内紗英 中一
5 長谷川 祐紀 中一
8 近藤 七瀬 中一
9 遠野莉々亜 中一
10 高山郁生 中二
12 恩田桜 中二
14 渡部ライアン(1)中三 木野まなみを獲得
15 庄司佳奈(1)中一 浜野孝彦を獲得
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