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七・始まっていたゲーム
始まっていたゲーム(2)
しおりを挟む昼食が始まるとすぐに、けたたましいチャイムがスピーカーから流れた。
円の声だ。
「やあ!みんなゲームを味わってるかい?で、早速のお知らせだ。本当は夜ミーティングまで待とうかと思ったけど、喜ばしいニュースだからね」
わたしたちは、だまって食事を口に運ぶ。
「ねえ?ついにバトルが実行されたんだよ!すばらしい!いやあ、きみたちはやってくれると思ってた!」
聞かない。あんたのせいで、あいつは、三村一紀は暴走した。
名前も知らないうちの、中一女子を消した。
「そこでだ。これはさらなるルール追加。さっき夜までに発表って言ってたのとはちがう。今後は各食事時間にも、バトル成功があればつどで結果をここで報告する。その方がみんな、やる気になるよね?」
えっ!
みんなざわつき出す。当然だ。
刻々とバトルが進行して、人が減っていけば焦る。自分が狙われるスピードも上がる。早くだれかをバトルしなければ、と動くはずだ。そう仕向けたいんだ。
ガチャーン!
わたしは、わざとだがカレーの皿を落として、割った。
何でそんなことをしたんだろう?
ささやかな抵抗?怒りをぶちまけて、叫びたいのにできないから?
自分で自分がもう、わからない。
「あれあれあれー?うれしすぎて、お皿落としちゃだめだよ?遠野(とおの)さん?」
円がわたしを名指しした。
今のはきっと、どこかから見ている。あの天井、右側にぶら下がっているカメラから?
「すみません。手が、滑って」
「というわけだ。みんながんばってくれたまえ。何せ時間がなくなってくるからね。で、発表だ。詳しく知りたいだろう?」
あれ?何だろう?
わたしは、何か変だと感じる。一瞬だけで通り過ぎてしまった、何かの気づき。
だめだ、わかんない。
「栄えある第一号は、七番の三村一紀。十一番の笠倉未央をバトルして成功した。いいね、その調子。みなさん、拍手!」するわけもないのに、円はそう誘った。
さすがに立ち上がりはしなかったけど、一紀は得意そうだった。
さっきの男子たちが、うらやましそうに見ている。
一紀はどうやって相手の答えを知ったか。それは聞かなくても想像できる。
何か言って、脅したんではないだろうか。
円のルールでは、相手に暴力を加えてはいけない。消去対象になる。
でもそれが、はたからわかりづらい言葉によるものだったら?
すべてをカメラで、とらえられてはいないのかもしれない。だったら隙を突いて笠倉未央(かさくら・みお)を、見かけはさりげなく、でも脅して答えを聞き出すことだってできなくはない。
いや……待って?
脅しではなくて、逆の。優しい言葉だったら?
”きみを守ってあげるよ、ぼくらは仲間。だから教えて?”みたいな。
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