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五・準と言う人
準と言う人(2)
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夜九時。
一日目の、円の夜ミーティングがあった。
当然だけど、この時点では一人としてバトルをした人はいなかった。
そりゃあそうだ。まだ一日目。人どうしが知り合うのには、それなりに時間がかかる。図書館に集まったわたしたちみたいに、互いに仲良くしよう、と言うのがせいぜい。バトルを仕掛けて答えを当てられるほど、突っ込んだ話をできない。もしできたとしたらかなりの猛者だ。
もちろん、なりふり構わずに答えを聞きだそうとする人もいて、おかしくはない。おかしくはないんだけ、ど。
はあ。
いくら考えたってしょうがない。ため息をついて、どうしようもないことを納得する。この場から、逃げ出すことはできないんだし。
とりあえず今日は寝る。また明日の朝八時から、緊張の時間が始まってしまうから。また続きは明日になってから考える!
<お兄ちゃん、助けて!ここから出して……>
朝はあっという間にやってきてしまう。
仮想空間なら、ずっと夜のままでもいいのにな。いや、それも困るか。
時が止まれば、永遠にこのゲームをやってないといけないから。そして、終わるってことは……生き残る一人が決まることでもある。
教室に集まると、すぐにミーティングが始まる。
やたら明るい円の声が響いた。キンキンして耳障りだ。
「おはようございます、みんな!よく眠れましたか?さわやかな朝だよ!さて、今日は新しいルールを追加します!」
周りがざわつく。そして、わたしたち図書館組はちらっと互いを見る。
ルール追加。
パソコンにあった予言の一つが、証明された?
「まだだれもバトルしないね。昨日朝から十二時間もあったのに。もったいない」
もったいないって?そんな問題じゃないでしょう。
バトルするってことは、相手を消すこと。それは仮想空間とは言え、ためらわずにできるわけがない。
円はひとり言のように続ける。
「じゃあ言うけどさ。確かにバトルしなければ、点数も増えないが消滅もしない。でも最後の日の0時、バトルでの獲得数ゼロの人はどっちにせよ負けて消える。答えを最多数集めた一名しか、元の世界に帰れない。生き残りたいならバトルしてね?追加ルールは夜までに発表するよ。楽しみにしててね!」
なかなか腰を上げないわたしたちを、円はあおっているように見えた。
だれも答えなかった。
わたしはもちろん、加川準も、図書館組も。あの柄の悪い、三村一紀でさえも。
一日目の、円の夜ミーティングがあった。
当然だけど、この時点では一人としてバトルをした人はいなかった。
そりゃあそうだ。まだ一日目。人どうしが知り合うのには、それなりに時間がかかる。図書館に集まったわたしたちみたいに、互いに仲良くしよう、と言うのがせいぜい。バトルを仕掛けて答えを当てられるほど、突っ込んだ話をできない。もしできたとしたらかなりの猛者だ。
もちろん、なりふり構わずに答えを聞きだそうとする人もいて、おかしくはない。おかしくはないんだけ、ど。
はあ。
いくら考えたってしょうがない。ため息をついて、どうしようもないことを納得する。この場から、逃げ出すことはできないんだし。
とりあえず今日は寝る。また明日の朝八時から、緊張の時間が始まってしまうから。また続きは明日になってから考える!
<お兄ちゃん、助けて!ここから出して……>
朝はあっという間にやってきてしまう。
仮想空間なら、ずっと夜のままでもいいのにな。いや、それも困るか。
時が止まれば、永遠にこのゲームをやってないといけないから。そして、終わるってことは……生き残る一人が決まることでもある。
教室に集まると、すぐにミーティングが始まる。
やたら明るい円の声が響いた。キンキンして耳障りだ。
「おはようございます、みんな!よく眠れましたか?さわやかな朝だよ!さて、今日は新しいルールを追加します!」
周りがざわつく。そして、わたしたち図書館組はちらっと互いを見る。
ルール追加。
パソコンにあった予言の一つが、証明された?
「まだだれもバトルしないね。昨日朝から十二時間もあったのに。もったいない」
もったいないって?そんな問題じゃないでしょう。
バトルするってことは、相手を消すこと。それは仮想空間とは言え、ためらわずにできるわけがない。
円はひとり言のように続ける。
「じゃあ言うけどさ。確かにバトルしなければ、点数も増えないが消滅もしない。でも最後の日の0時、バトルでの獲得数ゼロの人はどっちにせよ負けて消える。答えを最多数集めた一名しか、元の世界に帰れない。生き残りたいならバトルしてね?追加ルールは夜までに発表するよ。楽しみにしててね!」
なかなか腰を上げないわたしたちを、円はあおっているように見えた。
だれも答えなかった。
わたしはもちろん、加川準も、図書館組も。あの柄の悪い、三村一紀でさえも。
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